mixiユーザー(id:140098)

Javascript の設定が無効になっているため、一部の機能を利用できません。

詳細はヘルプをご覧ください。

2024年06月03日18:00

60 view

羽島市映画資料館（森卓也コレクション展示）

5月28日（火）。名古屋駅を発ち、新幹線ひかりで岐阜羽島駅下車、羽島市歴史民俗資料館・映画資料館へ向かう。

本来は在来線で近くまで行けるのだが、あいにくの台風雨なのでタクシーで。
映画資料館では4/6～6/16まで『企画展アニメーションの歴史展～映画評論家森卓也さんのコレクションと共にアニメの歴史をたどる～』が開催中。

森さんは岐阜県羽島市からも近い愛知県一宮市に長く住まわれていたが、ご縁があり、この資料館に資料の一部を寄贈することとなった。
それを受けて、コレクションの中から一般の人にも理解され易いものを選び「アニメーションの歴史展」という形で公開となったそうだ。

展示の解説によれば「森さん監修の下で進めるのが理想だが、新型コロナ、インフルエンザの脅威が収束していない中、高齢の森さんのお体の負担を考慮し、館独自に進めることにした（大意）」とのこと。
アニメの歴史を調べるにあたっては森さんの著書『アニメーション入門』『森卓也のコラム・クロニクル』を活用したそうだ。
館の方ともお話させていただいたが、とても穏やかで良い方々で、森さんへの深い敬意がうかがわれありがたかった。
展示物は著作権の関係もあり撮影は禁止とのことだが、当方と森さんの長い交流をご理解いただき、一部を撮影させていただくことが出来た。深くお礼申し上げたい。

企画展の解説によれば、
森卓也さんは1933年愛知県一宮市生まれ。
戦前・戦後の、アニメに対する世間の評価が高いとは言えなかった頃からアニメーションという分野をいち早く研究し紹介した。
戦前のニュース映画館で合間に上映されていた短編漫画映画に親しんで育ち、1958（昭和33）年に『映画評論』誌の読者論壇に投稿、同誌に『動画映画の系譜』を分割連載、映画評論家としてのキャリアをスタート。
アニメに限らず、映画からテレビドラマ、舞台に落語と、深い造詣に基づき多彩に執筆。
森さんの芯にあるのは「おもしろおかしいものを追求したい」という純粋な想いではないか、としている。

展示はまず「アニメーションの歴史」と題し、太古の昔から現在に至るアニメーションの歴史を森さんのコレクションや著書を元にたどる。
①アニメーションの起源
②フィルム以前のアニメーション
③初期のフィルムアニメーション（『テアトル・オプティーク』等）
④フィルムアニメーションの進化（仏の『ファンタスマゴリー』等）
⑤アメリカン・アニメーションの飛躍とウォルト・ディズニー
⑥戦争とアニメーション（『桃太郎　海の神兵』等）
⑦テレビの台頭と劇場アニメ
フェナキストスコープの実物展示を挟んで
⑧日本アニメの幕開け（『白蛇伝』等）
⑨セルアニメからデジタルアニメへの移行
⑩アニメーションの現在と未来
と展開。

ガラスケースには
トルンカ作品、ディズニーとその作品、『海の神兵』等のスチル写真、ロビーカード、切り抜き、レコード、パンフレット、等々。
展示台に『季刊ファントーシュ』３冊、『キネマ旬報』（宮崎駿論）、図録『日本アニメの飛翔期を探る』、ワーナーアニメなどのビデオパッケージ、複写など白黒含む写真多数、広島フェスのスナップ、政岡憲三氏のポートレート、等々を展示。

壁面には
「歴史に残るアニメーターたち』と題して、フライシャー兄弟、ウォルト・ディズニー、ハンナ・バーベラ、テックス・アヴェリー、フレッツ・フレレング、ハラス・バチェラー、アタマノフ、ヴコティッチ、万兄弟、政岡憲三、森やすじ、手塚治虫、宮崎駿、新海誠、等々をパネル紹介。
ジブリ作品から『鬼滅の刃』までのポスター多数。

左手のガラスケースには「森卓也さんから寄贈いただいた品々」としてアニメ以外の映画や落語、非売品資料、等に、キャノン製フィルムプリンター、手塚治虫のサイン入り『ぼくの孫悟空』と手塚邸での手塚氏との写真（森さんがとても嬉しそう）、LD、ビデオ、DVD、映画フィルムの切れ端、等々。
横には『アニメーション入門』など森さんの著書10冊ほどに直筆原稿（くるくるとした推敲の跡が懐かしい！）。
これらの上の壁にコマを焼き付けた横長のフィルム多数。

中央のガラスケースには、『となりのトトロ』のセルや宮崎駿監督のサインなど。
広くはないが森さんの著書を理解し、森さんへの敬意が伝わる展示で感動的。細かい資料も多いので点数もかなりになると思われる。

二階は歴史民俗資料館。階段には急逝した鳥山明氏追悼のポスターが並ぶ。
二階の展示がまた圧巻。元は映画館だったとのことで様々な映写機と撮影機、編集機器がずらりと並び、実際に使われていた赤い四連シートも目を引く。
いわゆる民俗資料の数々も豊かな往時を偲ばせてどれも見応えがある。懐かしかったり、もの珍しかったり。
反対側は現役のシアターホール。パイプ椅子だが80人を収容出来、今も定期的にテーマを決めて「映画のつどい」という上映会を開催中とか。
一角には「映画ポスターライブラリー」も設置、デジタルで検索可能。
壁には映画ポスターが並び雰囲気も満点。

一階二階を観て周り、館の方々のご親切にも触れて、ここに森さんのコレクションが収蔵されたのはとても良いことと確信が持てた。
志を同じくされた渡辺泰さん、おかだえみこさんも既に亡く、もう森さんしかお持ちでない資料もある筈。様々な事情で全ては収蔵出来なかったとのことだが、それでもありがたいことだ。すっかり安心した。

ご親切にタクシーを呼んでいただき岐阜羽島駅へ。