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2022年09月23日23:35

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そのまんまタイトル2!「侵入する男」

以前に録画して放置してあった映画を観たのですが、これが面白かった!
しかし、前回レビューした映画同様、邦題のイマイチさが理由で、どうしても観るのを後回しにしてしまうタイプの映画であると思うのです。
侵入する男・・・。
原題が「侵入者」なので、そのまんま+性別を明らかにした分、やっぱり分かりやすくはなっているのですが。

映画の内容自体も、他にたくさんあるタイプのスリラーなのです。
最初は良い人だと思って付き合い始めた人が実は・・・というやつ。
以前「シリーズ胸糞」としてレビューを書いた「隣人は静かに笑う」や「招かれざる隣人」も、まさにそのタイプでした。
しかし、この2つは猛烈にインパクトのある胸糞オチがあるのですが、「侵入する男」はそこまでウリになる個性があるわけでもないのです。

タイトルでも内容の概要でも、面白さを伝えるのが困難な映画。
でも、妙に面白かったのは間違いないのです。
昔からあるスタイルのスリラーを、何かを捻るわけでは無く、現在の映画として丁寧にアップデートしたタイプの映画と言えます。
こちらの感情を煽ったり、ギョッとさせたりする演出が巧みなのです。

主人公の、金持ちの黒人夫婦が田舎で家を買うというお話です。
元の持ち主は、銃大好きの典型的な白人オヤジ。
こうなると、人種差別問題を色濃くした内容になりそうなのですが、このオヤジは全然黒人に対しての差別意識は無いのです。
むしろ、あれやこれやと世話を焼き、家の売却後も何かと顔を出してはアドバイスやおせっかいをするのです。
まあ、間違いなくトランプ支持者だとは思いますが。

ここでタイトルを思い出すと、そうかこいつが侵入する男なのかと分かるわけです。
これはネタバレではありません。
ほんの冒頭の説明に過ぎないのです。
結構早い段階でヤバい奴だと分からせて、徐々にエスカレートしていくのです。

この辺の流れや演出が絶妙です。
ここまでかと思わせると、ちょっと超えてくる。
あるシーンでは「マジかよ!」と声を出してしまいました。
その後に起こる事に比べるとたいした事では無いのですが、見事にギョッとさせるのです。

ホラー映画のビックリシーンを「ジャンプスケア」と呼びます。
飛び上がるほど驚くシーンというわけですが、この映画ではこれが上手い。
ジャンプスケアは、いきなり大きな音を出せば良いからダメな演出だと言われたりしますが、実は決してそんな事は無いのです。
緊張と緩和のコントロールが出来ているから可能なわけで、これはそれほど簡単な事ではありません。

なにより、この白人オヤジの演技が最高です。
キチガイオヤジファンは必見です。
終盤で見せる「ベロベロベロンチョ!」のシーンは、何かを突破した様な爽快感すら感じました。
キチガイオヤジはまあ、普段の生活の中でもよく見るものですが、やっぱり映画で観るのが一番!
ちゃんと反撃されるしね。
実生活では、決して2メートル範囲に入らないよう気を配りたいものです。

学校や職場では、事前に距離を取って相手を見る事が出来るので、ある程度付き合いをする人を選べるのですが、この映画の様に係わらざるを得ない人がキチガイだと本当に困ってしまいます。
こういう恐怖は昔からあったわけで、だから本作の様なスリラーが昔から作られていたのでしょう。

本作の被害者夫婦の奥さんの方は、比較的このオヤジに同情的なためにイライラすると感じる人が多い様ですが、どうでしょう?
好意的にグングン寄ってくる人を拒絶するのは、なかなか勇気のいる事です。
悪気は無いのだから・・・と話を聞いている内に、どんどん相手のペースに巻き込まれてしまう。
これって身近な恐怖ですよね。

もしこれが孤独な人だったら、相談する人もいないし、自分と親密になってくれたという嬉しさもあって、完全に相手のいいなりになってしまうかもしれません。
結果、高額な壺や仏壇を買うハメになったりして。
優しさや思いやりのある人ほど被害者になってしまうのが、今の日本のスタンダードです。
是非この映画を観て、サッパリとした結末に勇気をもらいましょう。
詐欺師やキチガイに、情けは無用!

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