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2022年09月01日08:32

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初の和製カラテ映画を現在21世紀に初見しての感慨。そして8月、1年の2/3が終わる。

 8月28日(日)に昨年2021年1月公開の外国映画「ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画」を観る。

「ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画」
                        (ジャガン・シャクティ)
インド宇宙研究機関での月打ち上げ計画が失敗し、国としては独自開発よりNASAとの協力下による宇宙開発方針に傾いて、計画の関係者は予算も少なく長期計画で実績も期待されない火星ミッションに移動させられる。体のよい左遷だが、それにめげず努力と工夫により、世界で初の火星ロケット打ち上げ第一回で成功に至る実話のサクセスストーリーが綴られる2時間10分の大作だ。とはいえ、成功の道筋が明解に明かされる訳ではなく、科学者の初心に立ち返るとか、主婦の女研究員の家事の節約精神の応用とか、とにかく夢を持って信じることとかの、抽象的精神論に終始する。それよりも何よりも、歌って踊って(だから2時間越えにもなるが)明るく進めば、物事は全て解決するとの脳天気な楽天性が大きく、これぞマサラムービー的インド映画の楽しさとして微笑ましく観た。貶す気にはならない。(まあまあ)

 日本初のカラテ映画と触れ込みの「激突!殺人拳」を、リアルタイムでは見逃していたので、日本映画専門チャンネルの千葉真一を偲ぶ特集で初めて観る。別にカラテ映画を避けていたわけではなく、同じ千葉真一の「逆襲!殺人拳」や「少林寺拳法」、倉田保昭や山下タダシのカラテ映画など、結構リアルタイムで観ている。

「激突!殺人拳」の公開は昭和49年2月、前年末に正月映画として公開された「燃えよドラゴン」の大ブームを受けて、当時フットワークの軽かった東映が、即座に亜流品に手を出したわけである。

 私が、この映画をリアルタイムではスルーしたのに理由があった。この前年の秋に、私は結婚した。当然、年に200本前後観ていた映画三昧人生を続けられるわけもなく、キネ旬ベストテン級映画を中心に鑑賞映画は年30〜40本前後に激減したのである。家内も映画は観ない方ではなかったが、世間並の女の子の感覚で、年30〜40本も観るなんてこの人かなりおかしいんじゃないかと思われていただろう。

 ということで、ブームのブルース・リー便乗映画・パクリ映画にまで手を伸ばす余裕はとてもなく、スルーした次第である。その後、「激突!殺人拳」の成功もあって、カラテ映画は東映プログラムピクチャーの大きな一角を占めることになっていく。

 この記念すべき第一作を見逃したが、その後かなりの本数のカラテ映画を観ているのは、二・三番館で三本立てのお目当て映画の併映として観たのがほとんどである。それだけ東映カラテ映画が氾濫していたわけだ。

 そんなことから今回「激突!殺人拳」初見となったわけだが、時を経てこんな形で出会ったのでそれなりの感慨を抱く結果になった。リアルタイムで接していたら、そのコピーぶりに失笑・冷笑しで終わっていただけかもしれない

 千葉真一のカラテアクションの本気度はかなりのものだと感じた。でも、相手を激殺した後、何とも悲しみの表情を浮かべるブルース・リーの哀愁に及ぶべくもない。

 でも、ここまで時間を置くと冷静になり、千葉真一が安易なブルース・リーのコピーでも亜流でも無いことが見えてきた。千葉演じる剣琢磨は我流のカラテが全てと信じ切っている自己中男で、侠気はあるものの金になることなら何でも手を出す悪党であり、イイ女とみれば直ぐに唇を奪う好色漢でもある。当時の東映ヒーローとしては、かなりユニークな存在だった。

 多分、最後は持ち前の侠気から、正義の心に目覚めて、東映ルーチンワークに落ち着くんだろうなと勝手に想像し、それにしてはラストが近付くにつれ、当時の90分枠でどう納められるのかなと危惧していたら、ラスト10分近くで鮮やかに畳み込み、余韻を持ったエンディングで幕切れとなる。高田宏治・鳥居元宏の脚本コンビの見事な職人芸だ。

 アクションを得意とする小沢茂宏の演出は水を得た魚の如く、クライマックスのタンカー船上での嵐の中のカラテ対決は、当時の撮影所パワーを存分に感じさせたセット撮影だった。素晴らしいのは、パクリ映画といって力を抜くことなく、大真面目にやっているところである。

 そう言えば、東映パクリ映画に昭和53年「宇宙からのメッセージ」なる作品かあった。アメリカで超話題になっている「スター・ウォーズ」が、日本ては本国から1年遅れの夏休み公開となったため、その直前のGWにやっちゃえやっちゃえと速成公開した映画であり、やる事がいかにも東映らしくて楽しい。こちらは、深作欣二作品ということもあり、リアルタイムで観た。

 東映の素敵なのは「激突!殺人拳」にせよ「宇宙からのメッセージ」にせよ、速成パクリ映画でも、それなりに大真面目に造るところである。少なくとも「宇宙からのメッセージ」の悪役ガバナス皇帝は成田三樹夫の怪演で、「スター・ウォーズ」のダース・ベイダーと一味違った異彩を放っていたし、そう言っちゃ悪いがキャリー・フィッシャーのレイア姫より志穂美悦子のエメラリーダ姫の方が、格段に綺麗だった。同時期の速成パクリ映画の東宝「惑星大戦争」よりも見所は多いと思う。

 この時期あたりまで、撮影所システムの活動屋魂は、日本でまだまだ健在だったようだ。

 前回日記以降に8月末までに観た自宅観賞映画は次の6本。

「トカレフ」「ダークスカイズ」
「ミッション・マンガル 崖っぷちの火星打ち上げ計画」「激突!殺人拳」
「レフト・ビハインド」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」

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