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2022年08月02日09:54

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再聴275:PAUL SIMON

ポール・サイモン(Paul Simon)はアメリカのSSW。サイモンとガーファンクルの「サイモン」の方ですね。

僕がポールのソロ活動を初めて聴いたのは、ラジオ番組「全米トップ40」から流れて来た「50 Ways To Leave Your Lover」というヒット曲。邦題は「恋人と別れる50の方法」で、確か日本のドラマのタイトルにもなった。歌詞の内容は精神科医(女医さんです)が患者さん(男性です)に「不倫しない?」と誘惑する、みたいな感じ(だと僕は受け取った)。サイモンとガーファンクル解散後としては3枚目のソロ・アルバム「Still Crazy After All These Years」からのシングル・カットになる。ただ当時アルバムは買ったのだけれど「うーん、どうなんだろう」と今一つだった記憶がある。今聴くと楽しめるのだけれど。

その後、「One Trick Pony」「Hearts And Bones」とリリースされる度に購入。それなりに楽しんできたのだけれど、手放しで「面白い」とまではいかなかった。続く「Graceland」は大評判になったアルバムだし、グラミーも受賞。故中村とうよう氏にボロクソに言われたけど、これは結構楽しめた。で、次の「The Rhythm Of The Saints」が多分「おお、凄いじゃん」と思ったポールの初めてのアルバム。「Graceland」は南アフリカのミュージシャンとのコラボ的なアルバムだったのに対し、「The Rhythm Of The Saints」はブラジルのミュージシャンとのコラボ的なアルバム。「Graceland」以上にパーカッシヴな面が前面に押し出されていて、そこが僕のツボにジャスト・フィットした。

ポール・サイモンって、「Graceland」は南アフリカ、「The Rhythm Of The Saints」はブラジル、みたいな感じに割とアルバム毎に嗜好を凝らすことが多い人みたい。「Surprise」ではブライアン・イーノとコラボ、「Songs From The Capeman」はポール制作のブロードウェイのミュージカル作品、みたいな感じ。そんな中で僕が最も好きなポールの作品は「Stranger To Stranger」。ウィキから引用するとこのアルバムは「現代作曲家ハリー・パーチの43音階理論とそれを演奏するため発明された微分楽器を用いる試みがなされた」とのこと。詳しいことは分からないのだけれど、ハリー・パーチというアメリカ人現代音楽家は、「12平均律の不具合に気がついていた彼は即座に純正律へ傾倒し、さまざまに改造された楽器のアンサンブルを組織し始める」人だったらしい。12平均律とは1オクターブを12等分したもの。ピアノだと1オクターブの中に白鍵と黒鍵が合計12個あるのがそれ。ここでいう「等分」というのは、数学でいう等差数列ではなくて等比数列になるとのこと。えっと……ここまで色々なサイトを参照にして書いているけど、書いている僕自身があまり理解していない(汗)。まあ、それはそれとして、このハリー・パーチの43音階理論というのは、1オクターブの中に43の音を入れ込んだ音階。インドやアラブの音楽の音階も1オクターブを12以上に等分しているので、そういう音に近いのかも。

まあ、とにかくそんな「43音階理論とそれを演奏するため発明された微分楽器を用いる試みがなされた」アルバムである「Stranger To Stranger」は聴いた途端に「なんだ、これ?面白いじゃん」となった次第。アヴァンギャルドっていう程でもないし、ポップなようでポップでもないし、時々バックの演奏は変になるし、ポールのヴォーカルもそんな演奏にハマっているようでそうでないようで。どこまでその「43音階理論」が活用されているのか、皆目見当が付かないのだけれど、とにかく何度聴いても面白い作品に仕上がっていると思う。

50 Ways To Leave Your Lover / Paul Simon

Obvious Child / Paul Simon

Can’t Run But / Paul Simon

The Werewolf / Paul Simon

Street Angel / Paul Simon

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