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2022年06月06日18:50

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昨年の公開作品、3本の感想。

 6月2日(木)に昨年の2021年1月公開「アンチ・ライフ」を観る。

「アンチ・ライフ」(ジョン・スーツ)
パンディミックや環境破壊で汚染された地球を見限り、ニューアースへと移住を図る富裕層集団。アクチュアリティ溢れる設定で、これは梶尾真治の大長編大傑作SF「怨讐星域」を想起させる滑り出しだったが、そんな大仰なものではなく、移動宇宙船内の密室で未知の存在と闘う低予算B級SF臭が芬々たる92分の小品であった。ブルース・ウィリスがよくもこんなB級テイスト映画につきあっているなぁと感心する。その点ではニコラス・ケイジと双璧で、だからこの御両者は出演本数がやたらに多い。ただ、その謎の敵がネガティブ思想から呼び覚まされた太古から連綿と存在する神か悪魔かを彷彿させ、そこはなかなか深味がある反面、強力〇〇〇ぶっかけたら死んじゃったとの、B級にしても笑っちゃう仕掛けが混在しているあたりも、ガラクタおもちゃ箱センスで楽しい。そんな存在の不死身さと、人類はそれと闘って生き残れるか否かとの幕切れは、後味は良くないが深い余韻を残す。(まあまあ)

 ○○ぶっかけたら死んじゃったとのオチでガックリさせたのが、「人類SOS」。ラスト直前までは、ジョン・ウィンダムの傑作SF「トリフィドの日」の雰囲気を低予算ながらよく映像化していたので、このラストの改悪は赦し難かった。(B級ガラクタおもちゃ箱らしくて微笑ましくもあったが…)

 この○○ぶっかけたら死んじゃったとのオチを得々と大仰に展開していたのが、M・ナイト・シャマランの「サイン」、ホントこのインド人、困った人だ。誰か、何とかしてよ。

 6月5日(日)に昨年の令和3年5月公開「海辺の彼女たち」を観る。

「海辺の彼女たち」(藤元明緒)
「技能実習生」の名目で来日して出稼ぎに来た3人のベトナム人女性の過酷な現実を、これでもかこれでもかと追っていく。労働力として頼って入国させているにも関わらず、滞在証明もなければ、当然ながら健康保険もあるわけがない。その矛盾した現実を提示したのは良いが、それに対し、どう意味付けを見出しどう構成するのかが劇映画として曖昧で、こっちもそうなんですかと思うだけに止まってしまう。入国前に無責任の彼氏に妊娠させられたヒロインが苦境に追い込まれるのを観ても、俺は国民皆保険の中で大日本の国家保護に感謝しなきゃなぁとの、検討違いの感想に至ってしまった。幕切れも、これからヒロインがどうこの現実を受け止め、どう生きてくいくかが興味の焦点だったのに尻切れトンボに終わってしまう。ただ、序盤の3人の女性の、少女を思わせる無邪気な明るいやりとり、終盤の追いつめられたヒロインのつきつめた顔など、それらの長廻しに映像バワーは感じられる。ちなみに、新鋭・藤元明緒監督は女性かと思ってネットに当たったら、髯をたくわえた男性だった。前に枝優花監督の性別に関して触れたが、最近は名前だけではホントに性別不明のものが増えてきた。(まあまあ)

 6月6日(月)、昨年の令和3年5月公開のキネ旬ベストテン日本映画第10位の「花束みたいな恋をした」を観る。

「花束みたいな恋をした」(土井 裕泰)
学生時代に知り合った有村架純と菅田将暉の、2016年から19年までの出会いから別れまでの恋模様。二人のラブラブから価値観の微妙なすれ違いに至るまでが、センセーショナルな事件もなく淡々と描かれる。いや、オールドファンの私の眼には、出会って早々のベッドイン、いきなり親元を飛び出しての同棲と、充分にセンセーショナルなのだが、現代では普通の光景なんだろう。(「同棲時代」のタイトルがショッキンクだった昭和の爺さんの感覚です。古くてスミマセン)その意味で、想像の範疇は出ないのだが、私には一種の時代劇的感覚で、映画的リアリティは感じられた。(そう感じるお前の方が時代劇的存在だよと、冷やかされそうであるが)ただ、二人の心のすれ違いが、男が女を女房として養うために生活力をつけようと、どんどん現実的に妥協していくのに対し、女はロマンティッシズムを捨てられないとのドラマ構造は、意外と古めかしい。(まあまあ)

 余談だが菅田将暉の役名の名が「麦」だが、門脇「麦」なる女優さんもいるし、前に触れたようにホントに名前だけでは性別判定が難しい時代になってきた。

 6月に入ってから観た自宅観賞映画は次の12本。

「アンチ・ライフ」「ブルーラグーン」「サバイバー」「EXIT」
「ゲット・ショーティー」「スパイクス・ギャング」
「また、あなたとブッククラブで」「オーバードライヴ」「海辺の彼女たち」
「ソルジャー・ストーリー」「殺したいほどアイ・ラブ・ユー」
「花束みたいな恋をした」

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