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2022年02月27日10:56

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音声分析官の大冒険!「ブラックボックス 音声分析捜査」

昨年の11月に、地元の映画館「サールナートホール 静岡シネ・ギャラリー」がこの映画の紹介をツイートした事があったのですが、これが大いにバズったのです。
おそらくこの映画はあまり大きなプロモーションもされていなかったので、地方の映画館のツイートで初めて知ったという人が少なく無かったのでしょう。
残念だったのは、これに気を良くしたのかこの後に「予告が解禁されました!期待値アガりますね。機体は落ちるんですけど。」という渾身のツイートが、まったくバズらなかった事です。
僕はとても良いと思ったのですけど・・・。

このバズったツイートでは簡潔に内容を説明しているので、そのまま引用します。
「乗員乗客全員が死亡したために墜落原因がわからなくなったジェット機の残骸からブラックボックスを回収し、そこに残されていた音声記録だけで機材トラブルか操縦ミスかテロかを割り出していく天才分析官が、常人には聴き取れない「ある音」に気づいてしまい・・・」

このあらすじだけで興味を持った人は、是非劇場でご覧ください。
みんなはそうしました。
ただ、この内容と予告を観ただけではいまいち興味が湧かない、どうせ地味なマニア向け映画なんでしょう?という人は、この後も読んで頂ければと思います。

確かに前半は想像通りの内容です。
回収したブラックボックスの音声ファイルを何度も聴き、ノイズを消したり一部を拡大したりして怪しい音を探していく過程は「コレコレ!」という気持ちになるでしょう。
ただ、これが延々と続いたらキツいな・・・とも思うはずです。
「THE GUILTY/ギルティ」という、電話でのやり取りだけで展開する映画がありましたが、本当に最後まで電話でオヤジが話している映像を見せられるので、映画としてはあまりにどうかと思いました。
これもそんな感じだったら、完全に寝落ちしていたでしょう。

確かに前半はウツラウツラとしてしまうところもありましたが(映画が退屈なわけではなく、疲れと老いによるもの)、この映画はきちんと「映画であること」を考えてある作品でした。
天才分析官は部屋から飛び出し、大冒険の旅に出るのです!
車で爆走し、他人の家に忍び込み、ボートを漕ぎます!
陰気なメガネのオタクといったイメージだった分析官、いつの間にか巨大な陰謀に立ち向かう熱血ヒーローになっているのです!

多少オーバーな表現かもしれませんが、要はサスペンス、スリラー系のエンターテイメント作品として、誰もがシンプルに楽しめる映画なのでした。
難しい作品かも、と躊躇する方に対しては、たとえ前半でよく分からなくても大丈夫、と言っておきます。
ウツラウツラの僕でも問題無かったからです。

じゃあ、ただの娯楽サスペンス映画だったの?もっと尖った作品だと思ったのに!
逆にそんな風に思う方もいるでしょう。
ちょっと待って!(尾木ママの保険CM風に)
確かに万人に向けたエンターテイメントとして完成されてはいますが、同時にかなりの社会派な面も持ち合わせた作品でもあるのです。
そこについてはネタバレ無しでは語れない部分なので・・・

(以下、ネタバレにご注意ください)

この映画で扱っている重要なテーマは2つ、1つは情報の改竄(かいざん)、そしてもう1つはAI(人工知能)です。
今日本にいる私達には、誰よりも身近なテーマと言えます。
情報の改竄については、現在の政府があらゆるデータを散々改竄しまくっていて、もう海外からの信頼は風前の灯レベルなのに、日本国民だけは政府に支配されたマスコミがほとんど取り上げない(ほぼ隠ぺい)ため特に気にもしていないという異常な状態になっています。

そしてAIについては、僕の会社では社員を減らす目的で大々的に導入されています。
最初から「大変有能で、これだけ社員を削減できる」という出来上がったシナリオに沿って進められているため、結果がどうであろうとジャンジャン人は切られます。
残った人はそのAI様の尻拭いを永遠にさせられる「AI奴隷」となるだけ。
もうすでに日本は、かつてSF映画で観た「ディストピア」としてすっかり完成されているのです。

SNSには自由な意見がある?
すでに大量の幽霊アカウントによる政府寄りの一方的な意見が、ツイッターやヤフーニュースのコメント欄に洪水を成していますが、やがてそれらはAIに変わるのでしょう。
もともと他人を不快にするだけの短絡的なコメントを機械的に書くだけの簡単なお仕事なので、機械化は容易いはずです。
人間の方が大量のAIの意見に浸食され、自分で物を考えられなくなっていくのも時間の問題なのです。
こうなれば、独裁にカリスマはもう必要ありません。

映画では最後に真実が明かされて終わりますが、現代社会においてはすでに真実というものの価値はもうありません。
フェイク、フェイク。
その一言で、あらゆるものの価値はゴミと同様に成り下がります。
きちんと検証する方はいるでしょうが、そこに興味を持つ人はごくわずかです。
むしろ、バカバカしくて短絡的な方が、多くの人にとって魅力なのですから。

この映画のラストの後。
「結局あれはフェイク動画と判明した」とされ、主人公の努力も露と消える。
リアルタイムのツイッターを眺めていると、実際にはそんなものなのかもしれないな〜と思わずにはいられませんでした。

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