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2021年11月28日10:12

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請戸港の記憶

先日の浪江町訪問で、新しい請戸港を目にした。よく言えば小規模でも近代的な港、ちょっと意地悪に言えば文化の香りがしない港に化けたという印象だ。でも、再開したのは去年の4月。なんと9年もの月日を経過しているのである。よくぞここまで立ち直ったと思うべきだろう。

それでも心に寂しさが込み上げるのは、震災前の請戸港を見聞きしているから。ここは都路の川から流れた水が遠い旅をして海へ注ぐ場所だ。ヒラメやカレイなどの常磐ものも水揚げされるが、私にはカツオと鮭の印象が強い。前者は「都路村史」を編纂した故・吉太郎先生から「請戸から天秤棒で担いだカツオを都路まで売りに来た」という昔話を聞いていた。川でつながってはいるが、途方もない距離である。昔の人の脚力の凄さは想像もできない。

鮭の収穫時は私も何度か足を運んだ。ヤナが設けられた河口付近では許可を得て鮭釣りをする人が多く、飲食店や土産物屋も並んでいた。「鮭供養」という石碑を見たのもここが初めて。11月は地元漁師と観光客で賑わっていたのである。それが津波で壊滅に近い状態になった。たぶん私が撮影した写真には、その犠牲者も含まれている。もう15年以上前の話だが、私にとって忘れられない場所の1つだ。また足を運ぶことになるだろう。

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