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2021年11月09日15:12

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吉野直子ハープ・リサイタル@日立シビック

コロナ禍の第5波が沈静化して、第6波の到来はいつ来るのか心配しながら、自重していた音楽会に恐る恐る行きはじめました。行ける時に行っておかないと…という気持ちがあるからです。3週続いたオーケストラ公演の次はハープだけのソロ・リサイタルでした(11/7)。出演者は日本を代表するハープ奏者の吉野直子氏。半年前の水戸室内管弦楽団の107回定期で、ボイエルデュー作曲のハープ協奏曲を、吉野氏の独奏で聴いたばかりでした。協奏曲や室内楽ではハープを聴く機会は何度もありましたが、ハープのソロ・リサイタルは初めてだったのです。

どのあたりの席が、ハープ独奏を聴くのに最適なのかチケットをオファーする前に検討しました。you_tubeで吉野氏が独奏する映像を確認すると、演奏者の体はハープ本体の左側にあって、楽器はステージに向かって左手45°ぐらいハープを斜めに配置。したがって、ハープの音はステージに向かって右手45°の上部に向かって響くと考え、私は2階席のバルコニー席でハープの弦と正対できる位置に取りました。思った以上にハープの音が空間的によく聴こえる席でした。
会場となった日立市シビックセンター・音楽ホールは800人規模で2階構成のシューボックス型で、吸音は控えめで残響は満席時1.8秒。ハープの音色の特徴を考えたら、まあまあフィットしそうな予想はありましたが、演奏者本人のトークの中でも、このホールはハープの音がよく響き、なおかつ細かい音も客席に届きそうなイメージを持ったと語っていました。(ただし聴く席にこだわったのに、前日までこのリサイタルのことを手帳に書き忘れていて、カレンダーに小さい「ハープ」という文字に気づかなったらカシマスタジアムへ行っていたかも…w)そういえば、サントリー(小)ホールで吉野氏のリサイタルを聴いた知り合いが、全然、ハープの音が響かなくて聞きづらかったと怒っていたことを思い出しました。

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演目は以下の通り
ルイエ(グランジャニー編):トッカータ
モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第15番 K.545
吉松隆:ライラ小景

アッセルマン:泉
トゥルニエ:ソナチネ 作品30
ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
ルニエ:ピエス・サンフォニック「交響的小品」
(アンコール)ドビュッシー:アラベスク第1番

なにより面白かったのは、ハープの仕組みやハープ音楽史のことなどいろいろ解説があったことです。47本の弦、7本のペダルで半音の調整、重さ40〜50キロぐらい。ド(C)の音の弦は赤色、ファ(F)の音の弦は紺色。前半は、ハープでもこんな表現の可能性を感じさせるもの、後半がいかにもハープらしい曲という構成。

例えばモーツァルトのソナタ 第15番は、ピアノを弾く人なら必ず出会う曲です。私も第1楽章ならギリギリ弾けるはず…w。二声・三声程度のピアノ曲なら、ハープでは確実に弾くことができることを見せていただきました。さすがモーツァルトの音楽は、楽器を選びません。
吉松隆の「ライラ小景」のライラ(リラ)は「こと座」を意味し、夜空の星、宇宙を感じさせる現代的な音楽でおもしろかったです。
後半のアッセルマン作曲の「泉」は、水戸室内管の定期のソリストアンコールでも弾かれた曲で、とてもキレイな曲でした。
ドビュッシーのピアノ曲がハープで弾かれると、油彩画が水彩画になったような透明感が鮮明に出てきました。

なにより、オーケストラの中のハープは高音しか聴こえないこと多いのですが、ハープのソロを聴くと、中音や低音が力強い持続音になっていたため、たった1台のハープの音から豊かなポリフォニーを作り出していることが分かっておもしろかったです。

ハープ絡みの話で恐縮ですが、私、ベン・シャーンの「キタラを弾く人」というリトグラフを持っています。ハープの先祖のような竪琴ですね。絵をみていると、いにしえの素朴な音色が感じられます。ワイン瓶と比較すると分かると思いますが、わりと大きい作品です。ベン・シャーンは手の表現に独特のものがあって、それは他の作品でも色濃く出ていますね。今回のハープ・リサイタルで吉野氏の指の動きをよく見たかったのに、双眼鏡を忘れてしまって残念でした。

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