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2021年11月07日13:14

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「色絵 金銀彩 蝶形小皿」

 今回は、「色絵 金銀彩 蝶形小皿」の紹介です。


写真1: 表面

写真2: 側面

写真3: 底面



生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 長径15.5cm 短径10.5cm 高台長径9.0cm 高台短径4.9cm 高さ2.6cm





 なお、この「色絵 金銀彩 蝶形小皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で、既に紹介しているところです。

 そこで、次に、その時の紹介文を再度掲載することをもちまして、この「色絵 金銀彩 蝶形小皿」の紹介とさせていただきます。





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              <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー228 伊万里古九谷様式色絵金銀彩蝶形小皿  (平成29年5月1日登載)
     

 前回の古伊万里ギャラリー227「伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢」(このブログでは前々回紹介の「色絵金銀彩鳳凰文中鉢」)に引き続いての「金銀彩」である。

 ただ、前回の古伊万里ギャラリー227「伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢」(このブログでは前々回紹介の「色絵金銀彩鳳凰文中鉢」)は甘手であったが、この小皿は、そんなことはなく、ちゃんと焼けている。

 また、この小皿には、金彩の釉剥げ、銀彩の酸化という欠点はあるものの、特に欠け、ニュー、ホツなどはなく、一応、無疵完品である。

 前回の古伊万里ギャラリー227「伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢」(このブログでは前々回紹介の「色絵金銀彩鳳凰文中鉢」)の説明でも紹介したが、



 『[伊万里]誕生と展開─創成からその発展の跡をみる─』(小木一良・村上伸之著 創樹社美術出版 平成10年10月1日刊)によれば、「伝世品類、生産窯出土陶片、及び消費地遺跡出土品などからみる限り、金銀彩は明暦初期頃から始まっていると考えられ、その多くが万治、寛文前半期の頃に集中しているように思われる。」(同書P.232)


とのことである。  

 この小皿も、万治、寛文前半期頃に作られたものであろう。

 万治、寛文期頃に作られた小皿は、比較的に薄作りで、厳しい造形のものが多い。
 この小皿も、比較的に薄作りで、厳しい造形であり、この時代の特徴をよく備えている。
 もっとも、欲を言えば、「もう少し、いかにも「蝶」と分かるような、もっと厳しい形に作って欲しかったな〜」と思っている。

 

江戸時代前期    長径15.5cm 短径10.5cm 高台長径9.0cm 高台短径4.9cm





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*古伊万里バカ日誌156 古伊万里との対話(金銀彩の蝶形小皿)(平成29年5月1日登載)(平成29年4月筆)  

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なご隠居さん)
  蝶 形 (伊万里古九谷様式色絵金銀彩蝶形小皿)


・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、例によって、「押入れ帳」を取り出し、「押入れ帳」の記載内容を眺め、主人の所にやってきた順番に従って今日の対話の相手となる古伊万里を選び出し、該当する古伊万里を押入れの中から引っ張り出してきて対話を始めた。

 

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主人: 先月に引き続いて「金銀彩」と対話をすることになるね。

蝶形: ご主人は、特に「金銀彩」を意識して買われているんですか?

主人: 別に、「金銀彩」が好きだからとか、特に「金銀彩」を集めようとしていたわけではないんだけどね。たまたま、「金銀彩」が続いて我が家にやってきたということかな。
 案外、そんなことってあるんだよね。同じような物が、次々と市場に登場してくるということが・・・・・。ところが、それが少しの期間続いたと思うと、パタリと止まってしまうんだ。不思議なもんだね。

蝶形: どうしてなんでしょうね・・・・・。

主人: どうしてなのかな〜。はっきりとは分からないけど、例えば、或るコレクターがコレクションを処分したとか、コレクターが亡くなってその相続人がコレクションを処分したというようなことが考えられるかな。
 コレクターというものは、同じ様な物を集める傾向にあるから、それが処分されると、同じ様な物が市場に出回るわけだね。

蝶形: なるほど、そんなことが考えられますね。
 ところで、私は、金彩はほとんど剥げ落ちて無くなっていますし、銀彩も酸化して黒ずんでしまい、汚らしい感じになっていますよね。見た目にもぱっとしませんが、こんなものに価値があるんですか?

主人: エッヘン、そこだよ、そこ(鼻高々の表情)。
 古伊万里初心者はそう思うんだよね。「なんだ、こんなつまらない物。どこに価値があるんだ!」と。ところがね、古伊万里上級者となると違うんだな。 「おゝ、良い物だ!」と思うんだよ。

蝶形: どうしてそんな風に思えるんですか?

主人: それを口で説明するのは、なかなか難しいね。長いこと古伊万里のコレクションをしていると、自然と分かってくるんだけどね。
 敢えて言えば、第一に、作られた時代がはっきり分かるということだね。それも、古い時代に作られたことがはっきり分かることだよ。骨董好きは、まず古いことに価値を見出すからね。
 「金銀彩」は、江戸時代前期の明暦初期頃から始まり、その多くが万治・寛文前期頃に作られているので、作られた時代が古く、かつ、その時代がはっきりしているから、本物の「金銀彩」と分かれば、「古い」という条件を満たすわけだ。
 また、古い時代に、しかも、比較的に短期間にしか作られなかったのなら、現在までの残存数というものは少なくなるよね。希少性があるということだね。骨董好きは、希少性にも価値を見出すからね。希少価値があるということが第二の条件かな。
 第三には、造形的にも、その時代の特徴を良く備えているということかな。「金銀彩」が作られた頃は、比較的に薄作りで厳しい造形のものが多いんだ。お前は、十分にその特徴を備えているものね。

蝶形: いろいろ聞いていますと、やはり、なんか、よく分かりませんね(><)

主人: 先程も言ったように、なかなか言葉での説明が難しいんだよ。要は、作られた時代の特徴を備えた本物だということが最低の条件かな。
 その最低の条件に、疵があればマイナス点が付き、無疵ならプラスが加算される。
 大きさも、大きければ迫力があるのでプラス、小さければマイナスだね。
 文様も、迫力があったり保存状態が良ければプラス加算で、そうでもないものは減点だよ。
 形や造形も、より厳しいものはプラス加算で、そうでもないものは現状維持かマイナスだ・・・・・。
 そういう評価や計算を瞬時に行って買うかどうかを決定しているんだ。

蝶形: なんか、抽象的で、主観的な要素も多そうですね・・・・・。

主人: そうね。古美術品の評価なり鑑定なんかは、客観的に計数的に行うことは難しいだろうね。感覚的な要素が多いから、日頃、感性を研ぎ澄まし、感性を磨いていることが重要なんだろうね。



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