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2021年11月05日11:41

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「色絵 金銀彩 鳳凰文 中鉢」

 今回は、「色絵 金銀彩 鳳凰文 中鉢」の紹介です。

写真1: 見込面

写真2: 側面

写真3: 底面・・・高台内銘:二重角福


生 産 地 : 肥前・有田
製作年代:江戸時代前期
サ イ ズ : 口径;14.4cm 高さ;4.7cm 底径;7.9cm




 なお、この「色絵 金銀彩 鳳凰文 中鉢」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。

 つきましては、その際の紹介文を、次に、再度掲載することをもちまして、この「色絵 金銀彩 鳳凰文 中鉢」の紹介に代えさせていただきます。



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             <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー227 伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢 (平成29年4月1日登載)


 卵殻手とまではいかないまでも、かなりの薄作りである。
 輪花形の鋭い造形で、口縁に手を当てると、チクチクするほどである。

 見込みいっぱいに鳳凰を描き、外周には梅の枝を描いている。
 鳳凰は中国の伝説上の霊鳥で、縁起の良い鳥とされ、また、桐の木にしかとまらないとされている。
 したがって、鳳凰と植物との組み合せは、「鳳凰」に「桐」が一般的で、花札だって「鳳凰」に「桐」である。

 ところが、この鉢では、「鳳凰」に「梅」の組合わせになっている。これには何か理由があるのだろうか。或いは、完全に和様化してしまい、中国の伝説などには囚われなくなってしまっているからなのだろうか。

 外周に描かれた梅の枝は、黒と金銀彩で描かれている。
 金銀彩は、一時は大変に人気が高かったようであるが、銀彩が時の経過とともに酸化して黒ずんでしまうために急速に人気を失い、短期間しか作られなかったようである。

 『[伊万里]誕生と展開─創成からその発展の跡をみる─』(小木一良・村上伸之著 創樹社美術出版 平成10年10月1日刊)によれば、「伝世品類、生産窯出土陶片、及び消費地遺跡出土品などからみる限り、金銀彩は明暦初期頃から始まっていると考えられ、その多くが万治、寛文前半期の頃に集中しているように思われる。」(同書P.232)とのこと。

 しかし、この鉢の製作年代については、万治、寛文前半期よりは若干若いかもしれない。

 裏には、赤で、折れ松葉が三つ描かれ、銘は二重角福である。

 

   江戸時代前期    口径:14.4cm  高台径:7.9cm 




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*古伊万里バカ日誌155 古伊万里との対話(ひび焼(?)の鉢)(平成29年4月1日登載)(平成29年3月筆)      

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なご隠居さん)
  鳳 凰 (伊万里古九谷様式色絵金銀彩鳳凰文中鉢


・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、今回も、主人の所にやってきた順番に従って対話をすべく、「押入れ帳」をめくり、該当する古伊万里をみつけ出し、押入れからその古伊万里を引っ張り出してきて対話をはじめた。

 
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主人: 今回、押入れから出してみて、「我が家にはこんな物もあったんだっけか!」と認識を新たにしたよ。

鳳凰: すっかり、その存在を忘れられてしまっていたんですね(><)  ちょっと悲しく、寂しいです(><)  ご主人のところには、それほど古くやってきたわけではないのでしょうに・・・・・(><)

主人: 悪い、悪い。すっかり忘れてしまっていた(-_-;)
 押入れ帳の記載事項を読むと、お前のことは、平成24年の9月に、或る骨董市で買っているんだね。買ってから4年半しか経ってないんだけれど、すっかり忘れてしまっていた。 
 最近、記憶力が低下したからかな〜。それに、2011年の東日本大震災以後は、買ってきてすぐに押入れに入れてしまうことが多いので、じっくり鑑賞もしていないから、記憶に残っていないのかもしれないね。東日本大震災以前は、暫くの間、身近に置いてじっくりと鑑賞し、しかる後に押入れに入れていたんだ。しかし、東日本大震災の際に何点かに被害を受けてからは、地震が恐ろしくなり、なるべく身近に置かないで、すぐ押入れに入れることにしているんだよ。

鳳凰:: そういう事情もあったんですか。地震で被害に遭うよりは忘れられたほうがまだマシですものね。そんなことなら我慢します。

主人: ところで、お前は、「ワケアリ」商品ということで、比較的に安く売られていたんだ。

鳳凰: どんな「ワケアリ」だったんですか?

主人: 「甘手」だということだ。よく焼けてないということだね。「甘手」は不完全なものとされ、いわば「傷物」とされているんだ。お前には、全体的に粗い目のニューが入っていることからもそのことが分かるよね。それに、指ではじいてみると、良く焼けた磁器は、キーン・キーンという金属的な音がするが、お前の場合は、ちょっと、ボコ・ボコというような陶器のような音がすることからも分かるよ。

鳳凰: でも、全体的にニューが入っていることでもありますから、甘手だということには納得しますが、それが傷物に属するんだとするのはおかしいですね・・・・・。わざわざ全体的にニューが出現するように作る「ひび焼」というものもあるくらいですから・・・・・。

主人: それはそうなんだけどね・・・・・。
 確かに、磁器の冷たい雰囲気とは異なる柔らかな印象を与えるために、わざわざ意図的にひびを生じさせ、文様としての装飾性を持たせる「ひび焼」というやきものが存在するよね。
 それは、釉薬と素地の収縮率との差を利用して釉薬にわざわざひびを生じさせて作るようで、青磁や陶胎染付のものに特徴的に見られるけれども、色絵の磁器については、「ひび焼」とは言わないんじゃないかな。色絵素地と釉薬が合わず、結果的に釉薬にひびが入ってしまったものは、「ひび焼」とは言わないんだと思う。やはり、不完全なものとして、「傷物」ということになってしまうんだと思う。

鳳凰: だけどですよ。甘手かどうかは本焼の段階で分かるんでしょう。色絵は、本焼きした物に上絵具で絵付けして低火度で焼き付けるわけですから、甘手の傷物にわざわざ絵付けするようなことはしないと思うんですよ。傷物に絵付けをしても、出来上がった物も傷物ですから、結局は売れなかったり、安く買いたたかれたりしてしまいますよね。それが分かっているのに、なぜ、私のように、完品と同じように、手抜きなく色絵付けしているのか、それが分からないんです。

主人: それもそうなんだけどね・・・・・。
 確かに、甘手は、伝世するうちにひびの中にしみが入って黒っぽい文様のようなものが生じてしまい、ちょっときたならしくなってしまうけれども、出来た当座は、ひびも目立たず、むしろ、磁器の冷たい雰囲気とは異なる柔らかな印象すら与えるので、案外評価は高かったのかもしれないね。少なくとも、傷物とはみていなかったのかもしれないね。お前が言うように傷物の上に一生懸命に上絵を施すはずがないものね。
 現代では、甘手は傷物との評価だが、この件については、考え方を改める必要があるかもしれないね。

鳳凰: 是非そうしてほしいですね。



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