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2021年10月31日20:13
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太陽フレアとオーロラについて イタリア統一160年(2）首都ローマの歴史を振り返る 2021年10/31(日）衆議院選挙関連
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10月31日(日）
衆議院選挙の投開票日を迎える今日は、ハローウィンとも重なる。あいにく多摩地区は曇りがちで、昼前後にかけて雨に見舞われた。気温は17度、湿度は80％を越えた。午後３時ごろ、西の空には、雲の切れ目からうっすらと青空がのぞいたものの、午後4時台には再び雨が降り出した。天気が不安定で、傘が手放せない一日だった。
第1章は、10月31日に投開票を迎える衆議員選挙関連を、第2章は太陽フレアとオーロラについて取り上げる。最終第３章は、イタリアの現首都ローマの民主化運動について紹介する。
第1章 本日衆議院選挙の投開票日
衆議院選挙の都道府県別投票率は、地方都市ほど高い傾向がある。前回2017年の秋、全国都道府県別で、投票率1位を獲得したのは、64％に達した山形県だった。全国の平均は53％、前々回2014年の衆議院選挙の都道府県別で最も投票率が高かった島根県は、2017年時60,64%で、4位まで下がっていた。なお島根県は2014年まで都道府県別の投票率では16年連続1位となっていた。コロナ禍で行われる2021年の衆議院選挙は、自民党が過半数に達する見通しが立った。政権批判票の受け皿を目指した立憲民主党は、公示前と同程度になると予想される。逆に維新の会が、議席を大幅に増やす見込みだ。
本日、期日前投票所でトラブルが発覚した。北海道函館市選挙管理委員会が、誤って選挙権のない12歳の少年に投票させたことを明らかにしたのである。期日前投票所に父親と訪れた少年は、母親の入場券で受付を通過した。保護者である父親は、母親の代理として認められたと勘違いしたと、率直に述べた。現場の係員が選挙人名簿との照合を十分にしないまま手続きを進め、投票用紙を交付した。小選挙区に投票した後、係員が手続きの勘違いに気付き、差し止めたという。比例代表と最高裁判所裁判官の国民審査の投票用紙はその場で回収した。小選挙区の投票用紙は、少年が書いたものか区別が付かず、有効扱いになる。
第2章 大規模な太陽フレアとオーロラの関連性
��2021年10月29日に太陽フレアが発生 オーロラの発生の仕組み
情報通信機構と米航空宇宙局(NASA)は、日本時間29日午前0時35分に大規模なフレア（太陽表面の爆発現象）が発生したことを明らかにした。NASAは証拠として、太陽観測衛星SDOが撮影した画像を世界に向けて公開した。
写真 掲載元 IT Media Newsより https:/
高エネルギー粒子が放出されることにより、地球を周回する人工衛星が直撃を受ける。日本時間30日午後から31日にかけて、全地球測位システム（GPS）の障害が起こる可能性があるという。我々人類は、地球の厚い表層大気に守られているため、直接被害は受けにくい。車のカーナビやスマホの位置情報に頼って生活するビジネスマンは、少なからず影響が出る。4年前の太陽フレアによる障害が実際起こっていた。国土地理院によると、2017年9月11日付けで、同月8日の昼頃衛星利用測位システム（ＧＰＳ）の誤差が通常より水平方向で１〜５メートル大きくなっていたとする解析結果を発表した。茨城県つくば市の基準点データを調べると、８日午前１０時から午後３時ごろにかけて、誤差が大きくなっていた。普段は水平方向に位置情報のずれは2mの範囲内にとどまる。フレアの影響により、一時的に誤差が南北で最大７メートル、東西で３メートルに広がったのである。垂直方向の誤差は５メートルから１５メートルになった。
参考 2017年9月12日付け 産経ニュースより https:/
2017年の太陽フレアにより、GPSに誤差が生じたとはいえ、日常生活に大きな支障はなかった。今後最大規模のフレアが起こると、電力供給やクレジットカードの読み取り不良など、我々の日常を大きく変える恐れがある。
恒星太陽の活動は、地球の気候と共に人類の生活とは切っても切れない関係にある。北極圏と南極大陸を中心に観測できるオーロラは、太陽からの贈り物だ。夜空を彩どる緑のカーテンに、古くから人類は思いを馳せていた。
写真＝カナダのノースウェスト準州の州都イエローナイフのオーロラ 掲載元 HISホームページより https:/
オーロラは、太陽から吐き出された高エネルギー粒子が、北極点と南極点にかけて走る地場にぶつかることにより、発生する。オーロラベルトと呼ばれる発生地域は、極地点に集中する。カナダのノースウェスト準州のイエローナイフは、オーロラ観測スポットとして、日本からもツアーが組まれるようになった。人口わずか1万9000人の州都は、観光業と共に鉄鋼業で経済が成り立つ。
オーロラを代表する緑色の光は、大気中の22％になる酸素原子である。なお大気中の残り78％のうちほとんどを占める窒素原子は、ピンクや紫色に発光する。酸素原子よりも大気中で低い位置に多く、太陽からのエネルギーが届きにくい。従って、窒素原子の発光には、多くのエネルギーが必要だ。そもそも発光は、通常の基底状態にある原子が、太陽からの荷電粒子の衝突により、エネルギーを得て励起することで起こる。エネルギーを得た粒子が、元の状態に戻る際、光を放つ。天文学では「輝線」ともいう。
光の色を決める波長は、励起状態と基底状態のエネルギーの差によって決定する。高度200kmから500kmでは赤色に、高度100kmから200kmでは緑色に、高度80kmから100kmでは紫色に発光する。
詳細 TELSTAR 2020年9月19日付け オーロラは何で色が決まるのか http://
低緯度地域からは、高度200kmを越える赤色のオーロラが観測できる場合がある。1400年前に、日本では国内最古の天文記録となる「赤色のオーロラ」が観測されていた。古文書によると、「赤い記」、または「扇形の真っ赤な光」が現れたという。目撃者は、赤い光をキジの尾にたとえていた。オーロラの色は励起（れいき）された原子の組成に基づいており、酸素原子は緑に、窒素原子は青（時に赤や紫）に変わる。現在の日本の磁気緯度は25度、古文書に残る1400年前の赤いオーロラの出現時は33度だった。磁気嵐が起こると、観測できる範囲に含まれる。
日本では1957年から観測が始まり、北海道では度々赤いオーロラが発生している。近年では2003年10月29日、陸別町にある銀河の森天文台と名寄市にある木原天文台などで低緯度オーロラが観測された。
写真＝陸別町で観測された赤いオーロラの写真 掲載元 銀河の森天文台より 公式ホームページ 低緯度オーロラより https:/
過去1000年の間で、太陽フレアによる被害が起きていた。1859年、イタリアの首都ローマで、オーロラが発生したとの記録がある。天文学者は、当時起こった最大規模となる磁気嵐を「完璧な太陽風」と呼ぶ。観測者であったイギリスの天文学者リチャード・キャリントンにちなみ「キャリントン・フレア」ともいう。リチャード・キャリントン博士は、一連の現象が起こる5年前から太陽の黒点観測を続けていた。望遠鏡を覗き込んだところ、2つの明るい点を見つけたのである。当時から彼は、太陽活動とオーロラの関係性を見出していたものの、科学界では認められていなかった。現代のNASAで働く天文学者デイヴィッド・ハサウェイ氏によると、太陽フレアといわれる磁気爆発は、わずか1時間から2時間で、原子爆弾1000万発分のエネルギーが発せられるという。1859年は、エネルギーが桁外れに大きく、白色光フレアとして観測された。現代世界で同じ規模の白色色フレアが起こると、大規模停電が起こり、大きな混乱を引き起こす。現代の科学者は、太陽フレアの被害を最小限に抑える研究も行っている。
参考リンク WIRED 2009年9月9日付 https:/
第３章イタリアの首都ローマの民主化運動
キャリントンフレアが起こった1859年、日本では横浜が開港した記念すべき年だった。イタリア半島も重大な局面を迎えていた。サルデーニャ王国の軍人ガリバルディが、半島の諸国を兵合し、イタリア統一まであと一歩に迫っていた。オーロラの観測地ローマ自体は、長くカトリックの教皇が、権力の座に居座っていた。西暦756年に、フランク王国のピピンが、ランゴバルト王国から占領したラヴェンナを含む北イタリア地方を教皇に謙譲した「ピピンの寄進」から始まる。
写真 掲載元 世界史・現代史まとめ https:/
イタリアの歴史に関する日記 2021年7月7日付け UEFA EURO2020企画（6）イタリアの歴史 西ローマ帝国の滅亡について ＥＵＲＯ2020準決勝 イタリア 対 スペイン戦レポート https:/
ピピンは、西暦751年にフランク王国のメロヴィング朝から王位を簒奪し、カロリング朝を創設した際、当時の教皇ザカリウスに承認を取り付けていた。ザカリウスの方は、ビサンツ帝国のレオン3世が西暦721年に出した聖像禁止令を巡り、批判の声をあげていたのである。当時東隣で力を伸ばすイスラム王朝の脅威を取り除くため、レオン3世は製造破壊運動（イコノクラスム）を推奨し、聖像養護派を弾圧したのである。教皇ザカリウスは、ピピンとの関係を強化し、レオン3世をけん制していた。ピピンの寄進の2年前に当たる西暦754年、教皇ザカリウスの後継者ステファヌス2世は、フランク王国に赴き、ランゴバルト王国の討伐を働きかけた。教皇の求めに応じたピピンが軍を率いて、ランゴバルト王国を打ち倒して、現在のローマ周辺地域を手に入れた。ピピンが、教皇領として与えたことにより、フランク王国とローマ教皇は一体化したのである。西暦800年に、ピピンの後を継ぐカール大帝は、レオ3世から皇帝の位を授かった。
写真＝カール大帝の即位時の西ヨーロッパの地図 掲載元 なまぐさ坊主の聖地巡礼より
http://
カロリング家が勢力を伸ばすに従い、教皇領も拡大の一途を辿った。11世紀から12世紀、教皇と皇帝が対立した叙任権闘争、12世紀にウルバヌス1世による十字軍の結成を初め、教皇は強大な力を持ち続けた。
聖職者の任命権を巡り、教皇と世俗君主がいがみ合いに発展した叙任権闘争は、西暦1075年に表面化した。教皇グレゴリウス７世が世俗君主による叙任を禁じたため神聖ローマ皇帝ハインリヒ４世らと激しい抗争が生じた。ハインリヒ4世は、聖職叙任権を否認したことにより、教皇から破門宣告を受ける。臣や諸侯は教皇側に付き、皇帝ハインリヒ4世は孤立した。ハインリッヒ4世が、阻害されたのは深い事情がある。
彼は父3世の改革路線を受け継ぎ、西暦1060年代からザクセン東の辺境領へと遠征していた。シュヴァーベン大公ルドルフとケルンテン公ベルトルトの反乱を鎮圧し、領土拡大に努める。バイエルン公オットー・フォン・ノルトハイムとの争いでは、犠牲が大きかった。バイエルン公オットーは、幼年時のハインリヒ4世誘拐事件に加担した過去がある。西暦1070年にオットーは、公国の存在を脅かすハインリヒ4世暗殺計画を企てていた。密告者によってハインリッヒ4世は、オットーの計画を知り、制裁を加える。バイエルン公領を没収し、腹心のヴェルフ家に譲った。新たに公領の主は、ヴェルフ1世となり、税の取り立て権利を与えられた。公領の奪回を狙うオットーは、兵を率いて、ハインリッヒ4世と戦った。1073年にザクセン戦争が口火を切った。オットー軍が圧倒する中、ハインリッヒ4世はハルツ城に立てこもり、脱出の機会をうかがっていた。6月29日に閉じこもった皇帝は、8月10日に逃げ出した。バイエルン公オットーは、ザクセン公マグヌスの支持をとりつけている。軍勢において皇帝側が明らかに不利だった。翌1074年1月27日にヘルスフェルトにおいて、皇帝側はいち小部隊とともに、より大きなザクセン軍と対峙した。ザクセン軍は勝機を見出す中、戦争により疲弊した農民の反乱を恐れ、短期決着をめざしながら失敗した。対して皇帝側は、戦争を回避する方法を模索したのである。2月2日双方停戦で合意に達した。
西暦1075年、捲土重来を期する皇帝ハインリッヒ4世は、ザクセン軍対策として、兵をより集め、再び戦に出る。同年6月9日「ウンシュトゥルトのホムブルクの戦い」では、ボヘミア公ヴラチスラフ2世を味方につけて、形成逆転となった。農民を集めたザクセン軍は、互角に渡り合えず、ザクセンとテューリンゲンを通って退却した。ザクセン軍を叩いたことにより、ハインリッヒ4世は、大きな力を手に入れた。
強権的なハインリッヒ4世は、決して無敵の存在ではなかった。神聖ローマ帝国領内で、抵抗組織が出来上がり、ローマ教皇とひそかに通じていた。当時の神聖ローマの皇帝は、諸侯と教皇の支持がなければ、長く居座ることが出来なかった。ハインリッヒ4世に反旗を翻す諸侯の意向を汲み、教皇グレゴリウス7世は、制裁を下したのである。叙任権問題に関与したハインリッヒ4世に破門宣告をし、皇帝の地位を剥奪した。
写真 掲載元 NHK高校世界史（１２）西ヨーロッパ世界の成立 〜教皇と皇帝〜
http://
破門されたハインリッヒ4世は、再び皇帝の地位に返り咲くため、あらゆる策を練る。バイエルン公領を一時譲り受けたヴェルフ1世からも見放されていた。軍の指揮権がない以上、戦争による領土や地位奪還は難しい。皇帝だったプライドを捨てて、北イタリアのカノッサに立ち寄った教皇グレゴリウス7世の下を訪れたのである。雪の中場外で3日間も待ち続けたとの逸話がある。あの有名な「カノッサの屈辱」である。教皇は、寒さで凍える皇帝に同情したのか、破門宣告を解いた。無罪放免となったハインリヒは、これまでの苦労を忘れたかのように、仲間を集めて、教皇を襲撃する。以降ドイツ皇帝とローマ教皇は、半世紀以上にわたって抗争が繰り広げられた。
｛以下ウィキペディア ハインリヒ4世 (神聖ローマ皇帝)の生涯から引用文｝
神聖ローマ帝国の侯はハインリヒ4世に代わる王（対立王）としてシュヴァーベン大公ルドルフを立て教皇も承認したが、ハインリヒ4世は数年かけて力を蓄えてこの事態の打開に成功、1080年10月15日のエルスターの戦いでは敗北したものの、ルドルフは戦時の傷がもとで死去した。勢いに乗ったハインリヒ4世はローマを包囲、1084年に対立教皇クレメンス3世を擁立して帝冠を受けた[23][25]。ハインリヒ4世の手によってグレゴリウス7世はローマを追われ、ロベルト・イル・グイスカルドに救出されたがローマに戻れずサレルノで客死した。しかし、諸侯の反乱はなおも継続、グレゴリウス7世の後を継いだウィクトル3世とウルバヌス2世もハインリヒ4世との対決姿勢を崩さず、長男の共治王コンラートの離反まで招いた[27]。1098年にコンラートの王位剥奪と1101年のコンラートの急死で一旦収まったが[28]、次男のハインリヒ5世も反逆、1105年にハインリヒ5世に廃位され、翌1106年にリエージュにおいて破門の身のまま失意の内に死去した[29][30]。55歳であった。
｛引用文終わり｝
叙任権問題は、西暦1122年にドイツのヴォルムスで神聖ローマ皇帝ハインリッヒ5世と教皇カリストゥス2世との間で取り決めが交わされた。オーストリア辺境伯レオポルド3世が仲介に当たる中、「叙任権は教会にあり、皇帝は世俗の権威のみを与える」とする教皇の主張が通った。ハインリッヒ5世が妥協したことにより、叙任権問題は解決に至った。条約を結んだ場所から「ヴォルムス協定」という。
カトリックの教皇は、ドイツ、フランスを含め国を跨いで影響を及ぼした。10世紀に聖地エルサレム奪還を掲げる十字軍の結成が発端である。13世紀に教皇インノケティウス3世の時代に中部イタリア地方の大半を支配した。インノケティウス3世は他国の政治にも干渉する。ドイツ国王の選出にも関わり、反対意見を唱える新聖ローマ帝国のオットー4世を破門した。王妃離婚問題からフランスのフィリップ２世を、さらにカンタベリー大司教叙任問題でイギリス王ジョンに破門宣告を下す。ローマ教皇のもとで、英独仏の君主が引きずり下されたのである。強大な権威を持つ教皇に、君主が屈服する事態から「教皇は太陽、皇帝は月」と呼ばれるにいたった。西暦1204年には、第4回十字軍の結成を呼びかけ、聖地エルサレムに派遣した。教皇の命令を無視して、十字軍はコンスタンチノプールを占拠し、ラテン帝国を立てたのである。一時は十字軍に破門宣告を下しながら、ローマ教会が主導するラテン帝国の建国に理解を示し、破門を取り消すにいたった。ローマ教会の介入に異を唱えた修道士が処刑される事態が相次ぎ、西暦1055年に東西に分離した正教会は溝が深まり、再統一されないまま現在にいたる。
写真 掲載元 ビサンツ帝国 第五章 亡命政権 http://
教皇の力は、十字軍の終焉と共に、衰えつつあった。西暦1303年のアナーニー事件により、教皇の立場は危うくなった。フランスのカペー朝フィリップ4世が、イギリスとの戦争に向けて軍費調達のため、国内の聖職者に課税したことが原因である。ローマ教皇ボニファティウス8世は、ただちに課税禁止令を出し、フランス国内においての教皇庁への献金も停止する。ローマ郊外東へ60kmに位置するアナーニーに滞在していた教皇は、反教皇派のフランス人らに捕らわれ、退位を突きつけられた際、暴行を受ける被害にあった。監禁されて3日目に、教皇に信頼を寄せる市民に助けられ、ローマに戻ったものの、暴行の傷が元なのか、死を迎えた。その後に選出されたドミニコ会修道士のベネディクトゥス11世は、就任翌年の1304年に赤痢で亡くなった。教皇選挙会議、いわゆるコンクラーベが11ヶ月にもわたる中、フランス王の意向が反映されるようになった。1305年に、新しく教皇の座には、ボルドーの大司教を勤めていたフランス人が選出され、クレメンス５世として戴冠した。クレメンテ５世はフィリップ４世の命令により、1309年に教皇庁を南フランスのアヴィニヨンに移した。教皇はローマから離れ、アヴィニョンで軟禁状態になる。約７０年に及ぶ「教皇のバビロン捕囚」の始まりだ。西暦1309年から1377年まで68年にわたり、ローマ教皇の座がフランスのアヴィニョンに移されていた。教皇グレゴリウス11世が、シエナのカタリナの助言によりローマに戻り、アヴィニョン捕囚から開放されたものの、翌1778年に逝去した。ローマ市内で新たに教皇ウルバヌス6世が選ばれるものの、教皇の選挙に関与するフランス側が、対抗馬としてクレメンテ7世を建てる。ローマとアヴィニョンにおいて、教皇が並び立つシスマ（教会大分裂）が起こった
1409年のピサ教会会議でシスマの解消が焦点になったものの、解決には程遠かった。3人の教皇が鼎立して、権威失墜が引き起こされた。西暦1417年にコンスタンツ公会議でマルティヌス5世が選出されるまで、複数の国家による教皇の擁立が続いたのである。当時イタリア半島では、ヴェネチア共和国、フィレンツェ共和国、ミラノ公国、ナポリ王国など、複数の王国や公国、または共和国が乱立していた。カトリックを信仰する諸侯を、ローマ教皇は束ねていた。一時は権威が失墜していたものの、次第に回復する。
時は19世紀半ば、ヨーロッパ全土の民主化運動により、教皇の地位が脅かされることになる。1848年に、フランス2月革命の影響が、ヨーロッパ全土に波及し、イタリア半島でも民主化を求める声が大きくなった。同年11月に、教皇ピウス9世が逃亡すると、同月15日に首相ペッレグレーノ・ロッシが暗殺された。無政府状態になったローマは、翌1849年2月9日に共和国として生まれ変わった。ジュゼッペ・マッツィーニ、アウレリオ・サッフィ、カルロ・アルメッリーニのが、三頭執政官として就任した。
写真 掲載元 山武の世界史 第33回世界史講座のまとめ�◆淵ぅ織螢△療�一）
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共和制を認めないフランス軍を率いるナポレオン3世が、宣戦布告すると、軍人ガリバルディが応戦した。戦いは、フランス軍が勝利を収め、同年7月3日に共和制は廃止され、翌1950年に教皇は再びローマに戻った。1861年にイタリア王国が成立して以降、ローマは教皇座として残ったものの、1870年の晋仏戦争によって大きく変わる。ドイツ統一を果たすプロイセンとの戦いでフランス軍が破れ、ローマから撤退した。代わりにイタリア王国が浸攻し、軍事的占領をする。同1870年10月に住民投票の結果を持って、イタリア王国が正式にローマ教皇領を併合し、翌1871年7月以降首都になった。教皇ピウス9世は、領主を奪われながら、ローマの1角で抵抗を続けていた。イタリア王国とは国交を結ぶことなく、ピウス9世は聖職者に支えながら、宮廷内で閉じこもる日が続いた。ピウス9世とイタリア王国の関係を「ローマの対立」という。1929年２月にムッソリーニが率いる時のファシスト党が、ローマ教皇ピウス11世と和解に持っていった。住居として利用していた建物名から「ラテラノ条約」を結び、ローマ市内のサン＝ピエトロ聖堂周辺地域を、奨励金つきで与えた。新たにローマ教皇が元首となる「ヴァチカン市国」が建国されたのである。
写真＝サン＝ピエトロ大聖堂 掲載元 楽天ブログ きらりの旅日記 2017年10月3日より https:/
付属協定により、イタリア王国の宗教は唯一カトリックのみであるとする、合意文書に双方サインした。第2次世界大戦以降、イタリアが共和制に移行しても、旧教皇領の一部「バチカン市国」は残った。1984年にラテラノ条約は改定され、カトリックを唯一の宗教として認めるとの文言は削除された。
イタリアといえば、16世紀の近代天文学の父「ガリレオ・ガリレイ」の生誕の地である。彼の出身ピサ大学では、天体観測所が設置され、晴れた日は毎晩夜空に望遠鏡が向けられている。国の方は、長い間カトリックの権威である教皇が力を持っていた。教皇は、十字軍の結成を働きかけ、周辺諸国の政治にも介入し、ドイツやフランスの皇帝を屈服させてきた。8世紀以降、東のビサンツ帝国との対立が深まったものの、強大なフランク王国との強い絆で乗り切り、教皇領の拡大にも繋がった。1453年にオスマン帝国によってビサンツ帝国が滅ぼされるまで、イスラム系国家の侵攻から逃れることができた。1870年にイタリア王国成立9年目にガリバルディが、諸国を取りまとていく中、教皇の立場が危うくなった。教皇ピウス9世は、サン＝ピエトロ聖堂内に閉じこもり、徹底した抵抗を図ったのである。1929年にイタリア王国との間でラテラノ条約を結び、ようやく聖堂周辺地域に限り、教皇の領有が認められ「バチカン市国」として復活した。カトリックの総本山であり、世界最小の国土面積の全域が、世界遺産に登録された。過去の歴史から教皇によって、ヨーロッパのキリスト教国家の行方は大きく左右された。現代世界では、全世界13億人にのぼるカトリック信者の最高指導者として、自由で平和な世界を願って、祈り続けている。ヨーロッパの歴史は、教皇と共にあった。
衆議院選挙の投開票日を迎える今日は、ハローウィンとも重なる。あいにく多摩地区は曇りがちで、昼前後にかけて雨に見舞われた。気温は17度、湿度は80％を越えた。午後３時ごろ、西の空には、雲の切れ目からうっすらと青空がのぞいたものの、午後4時台には再び雨が降り出した。天気が不安定で、傘が手放せない一日だった。
第1章は、10月31日に投開票を迎える衆議員選挙関連を、第2章は太陽フレアとオーロラについて取り上げる。最終第３章は、イタリアの現首都ローマの民主化運動について紹介する。
第1章 本日衆議院選挙の投開票日
衆議院選挙の都道府県別投票率は、地方都市ほど高い傾向がある。前回2017年の秋、全国都道府県別で、投票率1位を獲得したのは、64％に達した山形県だった。全国の平均は53％、前々回2014年の衆議院選挙の都道府県別で最も投票率が高かった島根県は、2017年時60,64%で、4位まで下がっていた。なお島根県は2014年まで都道府県別の投票率では16年連続1位となっていた。コロナ禍で行われる2021年の衆議院選挙は、自民党が過半数に達する見通しが立った。政権批判票の受け皿を目指した立憲民主党は、公示前と同程度になると予想される。逆に維新の会が、議席を大幅に増やす見込みだ。
本日、期日前投票所でトラブルが発覚した。北海道函館市選挙管理委員会が、誤って選挙権のない12歳の少年に投票させたことを明らかにしたのである。期日前投票所に父親と訪れた少年は、母親の入場券で受付を通過した。保護者である父親は、母親の代理として認められたと勘違いしたと、率直に述べた。現場の係員が選挙人名簿との照合を十分にしないまま手続きを進め、投票用紙を交付した。小選挙区に投票した後、係員が手続きの勘違いに気付き、差し止めたという。比例代表と最高裁判所裁判官の国民審査の投票用紙はその場で回収した。小選挙区の投票用紙は、少年が書いたものか区別が付かず、有効扱いになる。
第2章 大規模な太陽フレアとオーロラの関連性
��2021年10月29日に太陽フレアが発生 オーロラの発生の仕組み
情報通信機構と米航空宇宙局(NASA)は、日本時間29日午前0時35分に大規模なフレア（太陽表面の爆発現象）が発生したことを明らかにした。NASAは証拠として、太陽観測衛星SDOが撮影した画像を世界に向けて公開した。
写真 掲載元 IT Media Newsより https:/
高エネルギー粒子が放出されることにより、地球を周回する人工衛星が直撃を受ける。日本時間30日午後から31日にかけて、全地球測位システム（GPS）の障害が起こる可能性があるという。我々人類は、地球の厚い表層大気に守られているため、直接被害は受けにくい。車のカーナビやスマホの位置情報に頼って生活するビジネスマンは、少なからず影響が出る。4年前の太陽フレアによる障害が実際起こっていた。国土地理院によると、2017年9月11日付けで、同月8日の昼頃衛星利用測位システム（ＧＰＳ）の誤差が通常より水平方向で１〜５メートル大きくなっていたとする解析結果を発表した。茨城県つくば市の基準点データを調べると、８日午前１０時から午後３時ごろにかけて、誤差が大きくなっていた。普段は水平方向に位置情報のずれは2mの範囲内にとどまる。フレアの影響により、一時的に誤差が南北で最大７メートル、東西で３メートルに広がったのである。垂直方向の誤差は５メートルから１５メートルになった。
参考 2017年9月12日付け 産経ニュースより https:/
2017年の太陽フレアにより、GPSに誤差が生じたとはいえ、日常生活に大きな支障はなかった。今後最大規模のフレアが起こると、電力供給やクレジットカードの読み取り不良など、我々の日常を大きく変える恐れがある。
恒星太陽の活動は、地球の気候と共に人類の生活とは切っても切れない関係にある。北極圏と南極大陸を中心に観測できるオーロラは、太陽からの贈り物だ。夜空を彩どる緑のカーテンに、古くから人類は思いを馳せていた。
写真＝カナダのノースウェスト準州の州都イエローナイフのオーロラ 掲載元 HISホームページより https:/
オーロラは、太陽から吐き出された高エネルギー粒子が、北極点と南極点にかけて走る地場にぶつかることにより、発生する。オーロラベルトと呼ばれる発生地域は、極地点に集中する。カナダのノースウェスト準州のイエローナイフは、オーロラ観測スポットとして、日本からもツアーが組まれるようになった。人口わずか1万9000人の州都は、観光業と共に鉄鋼業で経済が成り立つ。
オーロラを代表する緑色の光は、大気中の22％になる酸素原子である。なお大気中の残り78％のうちほとんどを占める窒素原子は、ピンクや紫色に発光する。酸素原子よりも大気中で低い位置に多く、太陽からのエネルギーが届きにくい。従って、窒素原子の発光には、多くのエネルギーが必要だ。そもそも発光は、通常の基底状態にある原子が、太陽からの荷電粒子の衝突により、エネルギーを得て励起することで起こる。エネルギーを得た粒子が、元の状態に戻る際、光を放つ。天文学では「輝線」ともいう。
光の色を決める波長は、励起状態と基底状態のエネルギーの差によって決定する。高度200kmから500kmでは赤色に、高度100kmから200kmでは緑色に、高度80kmから100kmでは紫色に発光する。
詳細 TELSTAR 2020年9月19日付け オーロラは何で色が決まるのか http://
低緯度地域からは、高度200kmを越える赤色のオーロラが観測できる場合がある。1400年前に、日本では国内最古の天文記録となる「赤色のオーロラ」が観測されていた。古文書によると、「赤い記」、または「扇形の真っ赤な光」が現れたという。目撃者は、赤い光をキジの尾にたとえていた。オーロラの色は励起（れいき）された原子の組成に基づいており、酸素原子は緑に、窒素原子は青（時に赤や紫）に変わる。現在の日本の磁気緯度は25度、古文書に残る1400年前の赤いオーロラの出現時は33度だった。磁気嵐が起こると、観測できる範囲に含まれる。
日本では1957年から観測が始まり、北海道では度々赤いオーロラが発生している。近年では2003年10月29日、陸別町にある銀河の森天文台と名寄市にある木原天文台などで低緯度オーロラが観測された。
写真＝陸別町で観測された赤いオーロラの写真 掲載元 銀河の森天文台より 公式ホームページ 低緯度オーロラより https:/
過去1000年の間で、太陽フレアによる被害が起きていた。1859年、イタリアの首都ローマで、オーロラが発生したとの記録がある。天文学者は、当時起こった最大規模となる磁気嵐を「完璧な太陽風」と呼ぶ。観測者であったイギリスの天文学者リチャード・キャリントンにちなみ「キャリントン・フレア」ともいう。リチャード・キャリントン博士は、一連の現象が起こる5年前から太陽の黒点観測を続けていた。望遠鏡を覗き込んだところ、2つの明るい点を見つけたのである。当時から彼は、太陽活動とオーロラの関係性を見出していたものの、科学界では認められていなかった。現代のNASAで働く天文学者デイヴィッド・ハサウェイ氏によると、太陽フレアといわれる磁気爆発は、わずか1時間から2時間で、原子爆弾1000万発分のエネルギーが発せられるという。1859年は、エネルギーが桁外れに大きく、白色光フレアとして観測された。現代世界で同じ規模の白色色フレアが起こると、大規模停電が起こり、大きな混乱を引き起こす。現代の科学者は、太陽フレアの被害を最小限に抑える研究も行っている。
参考リンク WIRED 2009年9月9日付 https:/
第３章イタリアの首都ローマの民主化運動
キャリントンフレアが起こった1859年、日本では横浜が開港した記念すべき年だった。イタリア半島も重大な局面を迎えていた。サルデーニャ王国の軍人ガリバルディが、半島の諸国を兵合し、イタリア統一まであと一歩に迫っていた。オーロラの観測地ローマ自体は、長くカトリックの教皇が、権力の座に居座っていた。西暦756年に、フランク王国のピピンが、ランゴバルト王国から占領したラヴェンナを含む北イタリア地方を教皇に謙譲した「ピピンの寄進」から始まる。
写真 掲載元 世界史・現代史まとめ https:/
イタリアの歴史に関する日記 2021年7月7日付け UEFA EURO2020企画（6）イタリアの歴史 西ローマ帝国の滅亡について ＥＵＲＯ2020準決勝 イタリア 対 スペイン戦レポート https:/
ピピンは、西暦751年にフランク王国のメロヴィング朝から王位を簒奪し、カロリング朝を創設した際、当時の教皇ザカリウスに承認を取り付けていた。ザカリウスの方は、ビサンツ帝国のレオン3世が西暦721年に出した聖像禁止令を巡り、批判の声をあげていたのである。当時東隣で力を伸ばすイスラム王朝の脅威を取り除くため、レオン3世は製造破壊運動（イコノクラスム）を推奨し、聖像養護派を弾圧したのである。教皇ザカリウスは、ピピンとの関係を強化し、レオン3世をけん制していた。ピピンの寄進の2年前に当たる西暦754年、教皇ザカリウスの後継者ステファヌス2世は、フランク王国に赴き、ランゴバルト王国の討伐を働きかけた。教皇の求めに応じたピピンが軍を率いて、ランゴバルト王国を打ち倒して、現在のローマ周辺地域を手に入れた。ピピンが、教皇領として与えたことにより、フランク王国とローマ教皇は一体化したのである。西暦800年に、ピピンの後を継ぐカール大帝は、レオ3世から皇帝の位を授かった。
写真＝カール大帝の即位時の西ヨーロッパの地図 掲載元 なまぐさ坊主の聖地巡礼より
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カロリング家が勢力を伸ばすに従い、教皇領も拡大の一途を辿った。11世紀から12世紀、教皇と皇帝が対立した叙任権闘争、12世紀にウルバヌス1世による十字軍の結成を初め、教皇は強大な力を持ち続けた。
聖職者の任命権を巡り、教皇と世俗君主がいがみ合いに発展した叙任権闘争は、西暦1075年に表面化した。教皇グレゴリウス７世が世俗君主による叙任を禁じたため神聖ローマ皇帝ハインリヒ４世らと激しい抗争が生じた。ハインリヒ4世は、聖職叙任権を否認したことにより、教皇から破門宣告を受ける。臣や諸侯は教皇側に付き、皇帝ハインリヒ4世は孤立した。ハインリッヒ4世が、阻害されたのは深い事情がある。
彼は父3世の改革路線を受け継ぎ、西暦1060年代からザクセン東の辺境領へと遠征していた。シュヴァーベン大公ルドルフとケルンテン公ベルトルトの反乱を鎮圧し、領土拡大に努める。バイエルン公オットー・フォン・ノルトハイムとの争いでは、犠牲が大きかった。バイエルン公オットーは、幼年時のハインリヒ4世誘拐事件に加担した過去がある。西暦1070年にオットーは、公国の存在を脅かすハインリヒ4世暗殺計画を企てていた。密告者によってハインリッヒ4世は、オットーの計画を知り、制裁を加える。バイエルン公領を没収し、腹心のヴェルフ家に譲った。新たに公領の主は、ヴェルフ1世となり、税の取り立て権利を与えられた。公領の奪回を狙うオットーは、兵を率いて、ハインリッヒ4世と戦った。1073年にザクセン戦争が口火を切った。オットー軍が圧倒する中、ハインリッヒ4世はハルツ城に立てこもり、脱出の機会をうかがっていた。6月29日に閉じこもった皇帝は、8月10日に逃げ出した。バイエルン公オットーは、ザクセン公マグヌスの支持をとりつけている。軍勢において皇帝側が明らかに不利だった。翌1074年1月27日にヘルスフェルトにおいて、皇帝側はいち小部隊とともに、より大きなザクセン軍と対峙した。ザクセン軍は勝機を見出す中、戦争により疲弊した農民の反乱を恐れ、短期決着をめざしながら失敗した。対して皇帝側は、戦争を回避する方法を模索したのである。2月2日双方停戦で合意に達した。
西暦1075年、捲土重来を期する皇帝ハインリッヒ4世は、ザクセン軍対策として、兵をより集め、再び戦に出る。同年6月9日「ウンシュトゥルトのホムブルクの戦い」では、ボヘミア公ヴラチスラフ2世を味方につけて、形成逆転となった。農民を集めたザクセン軍は、互角に渡り合えず、ザクセンとテューリンゲンを通って退却した。ザクセン軍を叩いたことにより、ハインリッヒ4世は、大きな力を手に入れた。
強権的なハインリッヒ4世は、決して無敵の存在ではなかった。神聖ローマ帝国領内で、抵抗組織が出来上がり、ローマ教皇とひそかに通じていた。当時の神聖ローマの皇帝は、諸侯と教皇の支持がなければ、長く居座ることが出来なかった。ハインリッヒ4世に反旗を翻す諸侯の意向を汲み、教皇グレゴリウス7世は、制裁を下したのである。叙任権問題に関与したハインリッヒ4世に破門宣告をし、皇帝の地位を剥奪した。
写真 掲載元 NHK高校世界史（１２）西ヨーロッパ世界の成立 〜教皇と皇帝〜
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破門されたハインリッヒ4世は、再び皇帝の地位に返り咲くため、あらゆる策を練る。バイエルン公領を一時譲り受けたヴェルフ1世からも見放されていた。軍の指揮権がない以上、戦争による領土や地位奪還は難しい。皇帝だったプライドを捨てて、北イタリアのカノッサに立ち寄った教皇グレゴリウス7世の下を訪れたのである。雪の中場外で3日間も待ち続けたとの逸話がある。あの有名な「カノッサの屈辱」である。教皇は、寒さで凍える皇帝に同情したのか、破門宣告を解いた。無罪放免となったハインリヒは、これまでの苦労を忘れたかのように、仲間を集めて、教皇を襲撃する。以降ドイツ皇帝とローマ教皇は、半世紀以上にわたって抗争が繰り広げられた。
｛以下ウィキペディア ハインリヒ4世 (神聖ローマ皇帝)の生涯から引用文｝
神聖ローマ帝国の侯はハインリヒ4世に代わる王（対立王）としてシュヴァーベン大公ルドルフを立て教皇も承認したが、ハインリヒ4世は数年かけて力を蓄えてこの事態の打開に成功、1080年10月15日のエルスターの戦いでは敗北したものの、ルドルフは戦時の傷がもとで死去した。勢いに乗ったハインリヒ4世はローマを包囲、1084年に対立教皇クレメンス3世を擁立して帝冠を受けた[23][25]。ハインリヒ4世の手によってグレゴリウス7世はローマを追われ、ロベルト・イル・グイスカルドに救出されたがローマに戻れずサレルノで客死した。しかし、諸侯の反乱はなおも継続、グレゴリウス7世の後を継いだウィクトル3世とウルバヌス2世もハインリヒ4世との対決姿勢を崩さず、長男の共治王コンラートの離反まで招いた[27]。1098年にコンラートの王位剥奪と1101年のコンラートの急死で一旦収まったが[28]、次男のハインリヒ5世も反逆、1105年にハインリヒ5世に廃位され、翌1106年にリエージュにおいて破門の身のまま失意の内に死去した[29][30]。55歳であった。
｛引用文終わり｝
叙任権問題は、西暦1122年にドイツのヴォルムスで神聖ローマ皇帝ハインリッヒ5世と教皇カリストゥス2世との間で取り決めが交わされた。オーストリア辺境伯レオポルド3世が仲介に当たる中、「叙任権は教会にあり、皇帝は世俗の権威のみを与える」とする教皇の主張が通った。ハインリッヒ5世が妥協したことにより、叙任権問題は解決に至った。条約を結んだ場所から「ヴォルムス協定」という。
カトリックの教皇は、ドイツ、フランスを含め国を跨いで影響を及ぼした。10世紀に聖地エルサレム奪還を掲げる十字軍の結成が発端である。13世紀に教皇インノケティウス3世の時代に中部イタリア地方の大半を支配した。インノケティウス3世は他国の政治にも干渉する。ドイツ国王の選出にも関わり、反対意見を唱える新聖ローマ帝国のオットー4世を破門した。王妃離婚問題からフランスのフィリップ２世を、さらにカンタベリー大司教叙任問題でイギリス王ジョンに破門宣告を下す。ローマ教皇のもとで、英独仏の君主が引きずり下されたのである。強大な権威を持つ教皇に、君主が屈服する事態から「教皇は太陽、皇帝は月」と呼ばれるにいたった。西暦1204年には、第4回十字軍の結成を呼びかけ、聖地エルサレムに派遣した。教皇の命令を無視して、十字軍はコンスタンチノプールを占拠し、ラテン帝国を立てたのである。一時は十字軍に破門宣告を下しながら、ローマ教会が主導するラテン帝国の建国に理解を示し、破門を取り消すにいたった。ローマ教会の介入に異を唱えた修道士が処刑される事態が相次ぎ、西暦1055年に東西に分離した正教会は溝が深まり、再統一されないまま現在にいたる。
写真 掲載元 ビサンツ帝国 第五章 亡命政権 http://
教皇の力は、十字軍の終焉と共に、衰えつつあった。西暦1303年のアナーニー事件により、教皇の立場は危うくなった。フランスのカペー朝フィリップ4世が、イギリスとの戦争に向けて軍費調達のため、国内の聖職者に課税したことが原因である。ローマ教皇ボニファティウス8世は、ただちに課税禁止令を出し、フランス国内においての教皇庁への献金も停止する。ローマ郊外東へ60kmに位置するアナーニーに滞在していた教皇は、反教皇派のフランス人らに捕らわれ、退位を突きつけられた際、暴行を受ける被害にあった。監禁されて3日目に、教皇に信頼を寄せる市民に助けられ、ローマに戻ったものの、暴行の傷が元なのか、死を迎えた。その後に選出されたドミニコ会修道士のベネディクトゥス11世は、就任翌年の1304年に赤痢で亡くなった。教皇選挙会議、いわゆるコンクラーベが11ヶ月にもわたる中、フランス王の意向が反映されるようになった。1305年に、新しく教皇の座には、ボルドーの大司教を勤めていたフランス人が選出され、クレメンス５世として戴冠した。クレメンテ５世はフィリップ４世の命令により、1309年に教皇庁を南フランスのアヴィニヨンに移した。教皇はローマから離れ、アヴィニョンで軟禁状態になる。約７０年に及ぶ「教皇のバビロン捕囚」の始まりだ。西暦1309年から1377年まで68年にわたり、ローマ教皇の座がフランスのアヴィニョンに移されていた。教皇グレゴリウス11世が、シエナのカタリナの助言によりローマに戻り、アヴィニョン捕囚から開放されたものの、翌1778年に逝去した。ローマ市内で新たに教皇ウルバヌス6世が選ばれるものの、教皇の選挙に関与するフランス側が、対抗馬としてクレメンテ7世を建てる。ローマとアヴィニョンにおいて、教皇が並び立つシスマ（教会大分裂）が起こった
1409年のピサ教会会議でシスマの解消が焦点になったものの、解決には程遠かった。3人の教皇が鼎立して、権威失墜が引き起こされた。西暦1417年にコンスタンツ公会議でマルティヌス5世が選出されるまで、複数の国家による教皇の擁立が続いたのである。当時イタリア半島では、ヴェネチア共和国、フィレンツェ共和国、ミラノ公国、ナポリ王国など、複数の王国や公国、または共和国が乱立していた。カトリックを信仰する諸侯を、ローマ教皇は束ねていた。一時は権威が失墜していたものの、次第に回復する。
時は19世紀半ば、ヨーロッパ全土の民主化運動により、教皇の地位が脅かされることになる。1848年に、フランス2月革命の影響が、ヨーロッパ全土に波及し、イタリア半島でも民主化を求める声が大きくなった。同年11月に、教皇ピウス9世が逃亡すると、同月15日に首相ペッレグレーノ・ロッシが暗殺された。無政府状態になったローマは、翌1849年2月9日に共和国として生まれ変わった。ジュゼッペ・マッツィーニ、アウレリオ・サッフィ、カルロ・アルメッリーニのが、三頭執政官として就任した。
写真 掲載元 山武の世界史 第33回世界史講座のまとめ�◆淵ぅ織螢△療�一）
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共和制を認めないフランス軍を率いるナポレオン3世が、宣戦布告すると、軍人ガリバルディが応戦した。戦いは、フランス軍が勝利を収め、同年7月3日に共和制は廃止され、翌1950年に教皇は再びローマに戻った。1861年にイタリア王国が成立して以降、ローマは教皇座として残ったものの、1870年の晋仏戦争によって大きく変わる。ドイツ統一を果たすプロイセンとの戦いでフランス軍が破れ、ローマから撤退した。代わりにイタリア王国が浸攻し、軍事的占領をする。同1870年10月に住民投票の結果を持って、イタリア王国が正式にローマ教皇領を併合し、翌1871年7月以降首都になった。教皇ピウス9世は、領主を奪われながら、ローマの1角で抵抗を続けていた。イタリア王国とは国交を結ぶことなく、ピウス9世は聖職者に支えながら、宮廷内で閉じこもる日が続いた。ピウス9世とイタリア王国の関係を「ローマの対立」という。1929年２月にムッソリーニが率いる時のファシスト党が、ローマ教皇ピウス11世と和解に持っていった。住居として利用していた建物名から「ラテラノ条約」を結び、ローマ市内のサン＝ピエトロ聖堂周辺地域を、奨励金つきで与えた。新たにローマ教皇が元首となる「ヴァチカン市国」が建国されたのである。
写真＝サン＝ピエトロ大聖堂 掲載元 楽天ブログ きらりの旅日記 2017年10月3日より https:/
付属協定により、イタリア王国の宗教は唯一カトリックのみであるとする、合意文書に双方サインした。第2次世界大戦以降、イタリアが共和制に移行しても、旧教皇領の一部「バチカン市国」は残った。1984年にラテラノ条約は改定され、カトリックを唯一の宗教として認めるとの文言は削除された。
イタリアといえば、16世紀の近代天文学の父「ガリレオ・ガリレイ」の生誕の地である。彼の出身ピサ大学では、天体観測所が設置され、晴れた日は毎晩夜空に望遠鏡が向けられている。国の方は、長い間カトリックの権威である教皇が力を持っていた。教皇は、十字軍の結成を働きかけ、周辺諸国の政治にも介入し、ドイツやフランスの皇帝を屈服させてきた。8世紀以降、東のビサンツ帝国との対立が深まったものの、強大なフランク王国との強い絆で乗り切り、教皇領の拡大にも繋がった。1453年にオスマン帝国によってビサンツ帝国が滅ぼされるまで、イスラム系国家の侵攻から逃れることができた。1870年にイタリア王国成立9年目にガリバルディが、諸国を取りまとていく中、教皇の立場が危うくなった。教皇ピウス9世は、サン＝ピエトロ聖堂内に閉じこもり、徹底した抵抗を図ったのである。1929年にイタリア王国との間でラテラノ条約を結び、ようやく聖堂周辺地域に限り、教皇の領有が認められ「バチカン市国」として復活した。カトリックの総本山であり、世界最小の国土面積の全域が、世界遺産に登録された。過去の歴史から教皇によって、ヨーロッパのキリスト教国家の行方は大きく左右された。現代世界では、全世界13億人にのぼるカトリック信者の最高指導者として、自由で平和な世界を願って、祈り続けている。ヨーロッパの歴史は、教皇と共にあった。
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