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2021年10月20日19:58

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もの言えぬ証人

を読んだ。アガサ・クリスティ著/加島祥造訳。
 復活祭の日、エミリイ・アランデルの家に、彼女の甥や姪達が集まっていた。
しかし彼らの目的は彼女からお金をせびることだった。
古風でしっかりした性格のエミリィははっきりと断るが、その夜階段から転げ落ちて死にそうになり、それが皆が言うように犬のおもちゃのボールが階段に置き忘れられていたのが原因ではないと気づき、悩んだ挙げ句にポアロに手紙を出し、更に遺言状を書き換え・・・。
 実に面白かった。
最初からまあまあ多くのキャラクターが登場するが、それぞれの説明と、それぞれの視点からの他の人物に対する言動など、見事に印象づけており、そのまま殺人事件など起きなくても普通の物語として読めそうな状態まで持ち込む。
クリスティの「そのへんの青二才と一緒にしてもらったら困りますの」という声が聞こえてくる(笑)
 そうして事件が発生するまでの状況を説明し終わると、おもむろにポアロとヘイスティングズが登場。
この2人の最初の会話がまた振るっている。
「ポアロ、しがないワトソンだけど、ぼくがひとつ推理してみることにしようか?」
「喜んで聞きましょう。何です?」
「あんたは今朝、非常にあんたの興味をそそるような手紙を一通受け取ったね」
「まさにシャーロック・ホームズです。あなたの推理はまったく正しい」
ドラマの吹き替えの声がはっきりと聞こえてくる(笑)
しかも内容が(笑)
ちなみにヘイスティングズの推理をポアロが褒めるのは、この本でこれが最初で最後なのは言うまでもない(笑)
 肝心のミステリー部分だが、この話は最初の殺人未遂とそれに続く殺人・・・かどうか怪しい状況が提示され、しかも依頼者がすでに亡くなっているという非常に特殊な状況でポアロが調査を開始する。
そして殺人の動機たる遺産相続に至っては、全く関係ないと思われる人物にほぼ全額が譲られるという結果になっており、それもミステリーの一環を成している。
被害者兼依頼者はすでに亡くなっており、動機のある容疑者達にはなんの利益も生じていないというなかなか滅茶苦茶な状況から始まっているのだ。
このへんはタイミングやらなんやらがなかなか複雑に絡み合って混沌としているのだが、ポアロの調査とともに被害者がなぜ遺言状を書き換えたのかは明言はされないが途中でわかるようになっており、化夢宇留仁も確信を持って断言することができた。
しかし実際の犯人となるとやはり全然わからず、最後の謎解きでなるほど!と思わされる著者の術中(笑)
ちょっといくらなんでも断言するには情報が足りていないような気もしないでもないのだが、最初から最後まで実に面白く読めたのは確かだった。
いや〜〜〜〜、流石です。
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