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2021年09月23日11:54

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殺人詩篇

を読んだ。ウィル・ハリス著。斎藤数衛訳。
 英文科の教授であるクリフ・ダンバーは、去年9月に妻に先立たれ、3週間前には親友だった司書主任のリンク・スコフィールドが自宅のガレージで刺殺され、自分も教授を辞職する日が迫っており、気が滅入っていた。
そこにやって来たリンクの娘であるパールに、リンクの事件を調べてほしいと頼まれる。
殺害現場から黒人のチンピラ2人が逃走するところを目撃した者がおり、ポケットから14ドルが盗まれていたことから単なる通りすがりの強盗だろうと思われていたのだが、リンクは時価30万ドルと言われる稀覯本「ベイ版詩集」を抱えたままだった。
その本は先日知事選に名乗りを上げたペリー・ウィンスロップが図書館に寄付したものだった・・・。
 ライトなミステリーで、とても面白かった。
しかしまず大いに戸惑ったことを挙げておく。
殺された主人公の親友は62歳。62歳の親友ということなので、それに近い年齢の主人公を想像する化夢宇留仁。
しかし昨年亡くなった奥さんの年齢は28歳。
いくらなんでも60歳近いおっさんの奥さんが28歳というのは極端すぎるだろうと30代後半くらいの年齢に想像し直す。
主人公はベトナム帰りで、当時は中尉だった。
40代くらいに再修正(笑)
ややこしいから年齢も明記しておいてくれ(笑)!
 構成としては特別なトリックがあるわけではなく、犯人探しさえもおざなりで、通りすがりの強盗に襲われたのでなければ「ベイ版詩集」が偽物である可能性が高いと考え、それを証明してゆく過程で事件のあらましもわかってくるというもので、ある種の倒叙ミステリーと言えるかもしれない。
この偽物の証拠探しに活躍するのがスーパー校正ガール(笑)モナ・ムーア院生で、彼女が登場した途端にそれまで負け犬感が漂っていた主人公含めて超前向きな雰囲気に物語が変貌(笑)
それまで退職後は行く宛もないし、家で本でも読んで隠居して、伸びたあごひげで窒息して終わりにするか(笑)とか考えていた主人公クリフも、素手でナイフを持った暴漢2人を圧倒し、自宅玄関を機関銃で撃ちまくられても慌てず騒がず逆に相手を罠に落としたりと、超スーパーマンに(笑)
 会話がいちいち軽妙でしゃれているのも楽しい。
特に司書のアキラ・ヨネナカがかっこよく、他にもそこかしこで日本を高く買った描写が出てくるのも嬉しくなる。
他の登場人物も誰も彼もが魅力的で、アイス・ティーを淹れるのが上手なおばあちゃんがあんな大活躍をするとは(笑)
敵(?)にあたるウィンスロップも新聞記事に出てくる記者との受け答えとかがいかにもアメリカの政治家っぽくしゃれていて、思わず応援したくなった(笑)
 あらら?と思うところもある。
主人公がスーパーヒーローすぎるのもそうだが(笑)、冒頭の目撃者の証言がいい加減すぎたり、あまりにも偶然その証言を覆す情報が手に入ったり。
 だいたい1984〜85年頃に書かれているのだが、図書館が導入した最新のコンピューターによる情報検索シーンも出てくる。
キーワード検索で過去の新聞をリストアップし、記事をプリントアウトできるシステムで、その記事がすごいスピードでプリントアウトされるのを見て主人公が目玉が飛び出るほど驚くという描写があって笑える。
しかし当時裕福な施設ならIBMやらのコンピューターを導入していてもおかしくないが、新聞のデータベース化はコンピューターの金額を遥かに上回るお金と時間がかかるので、それができていたとは考えにくいのと、写真まで出てきたのはあり得ないだろう。
性能が低いものであればスキャナーもあったかもしれないが、そんなデータを保存&処理できる環境があったとは考えにくい。
まあリアリティよりも軽いエンターテイメントを目指した作品ということで、目くじらを立てるところではないだろう。
 そして本題たる稀覯本の調査過程は、入手経路は勿論、使用した紙の問題、フォントの問題、誤植の問題など、しっかりとディテールが描けているので興味深く楽しめる。
そして・・・実はラブコメだったりもする(笑)
ちうわけでライトでニコニコしながら読めるミステリーだった。
3 0

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