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2021年09月11日11:30

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同名映画対決、泣く女VS彷徨う女!「ラ・ヨローナ」

ラ・ヨローナというタイトルの映画を知っている人は少なく無いと思いますが、このタイトルで全く別の映画が2本あるのを知っている人はあまりいないのではないでしょうか。
この印象的なタイトルを持った作品はどちらもホラーであり、公開時期も近かったため、同じ映画だと思っている人が多いと思います。

最初、地元の映画館で公開されていた「ラ・ヨローナ〜彷徨う女〜」のタイトルを見て、「あれ、この前公開終了したはずだけどな?あまりの評判にアンコール上映でもしているのかな?」と不思議に思ったのがきっかけで、このややこしい事態に気付きました。
なんでこんな印象的なタイトルを同じままで公開してしまったのか?
観る人が困惑するだろうに・・・。
はっきり言って、それぞれの映画にさほど興味が無かったのに、この同名タイトルの件でずっと印象に残っていたのです。

それで最近、「ラ・ヨローナ〜彷徨う女〜」がwowowで放映されたので、以前録画してあった「ラ・ヨローナ〜泣く女」と連続で観てやろうと思ったのでした。
他に観るべき映画は山ほどあるのにもかかわらず・・・。

一般的に知られているのは「泣く女」の方でしょう。
公開もこちらが先です。
「死霊館」シリーズのジェームズ・ワンが製作という事で、正統派ビックリドッキリホラーである事は保証されています。
「死霊館」の3作目はこの作品の監督マイケル・チャベスが手掛けるという事で、その手腕を見込まれたという事なのでしょうか。

「ラ・ヨローナ」というのは中南米に伝わる怪談だそうで、夫に捨てられた妻が2人の子供を溺死させたのちに自殺し、それが化けて出るというものだそうです。
つまり、この2作はどちらもこの怪談が元になっているというわけです。
日本だと「口裂け女」や「トイレの花子さん」みたいなものでしょうか。
「泣く女」ではこの話がそのまま登場し、狙った子供や親を呪い殺すというシンプルなお話となっています。

序盤から子供が襲われるという容赦ない展開と、Jホラーを彷彿させるユニークな恐怖シーンがテンポ良く続き、なかなか楽しめます。
後半は心霊バスター的な男も登場し、幽霊退治となる流れは「死霊館」と同様です。

実は、先に「彷徨う女」を観ていたので、これは非常に有り難かったです。
「彷徨う女」は、ジャンルは一応ホラーに該当すると思いますが、どちらかと言うとアート系の映画の様な非常にゆっくりとしたテンポと地味なシーンの連続で、疲れてしまったからです。

ただ、終盤の対決部分は残念でした。
もうこういうオカルト系映画では何回も見た様なシーンばかりで、一気に退屈になってしまったのです。
これは「死霊館」もそうなのですが、あちらは面白いアイデアによる恐怖シーンを物凄い数で畳み掛けてくるので楽しいのですが、こちらはアイデアも数も普通なのです。
「ラ・ヨローナ」伝説ならではの見せ方や展開があれば良かったのですが・・・。
心霊バスターの男も驚くほど役に立たないボンクラで、登場した時のワクワクを返して欲しいです。

さて、では「彷徨う女」はどうだったか。
先にも書きましたが、王道ホラーの「泣く女」と比べると非常に地味で静かな作品です。
「ラ・ヨローナ」伝説をアレンジし、グアテマラの軍事政権による虐殺で子供を殺された女性による怨念となっています。
子供が2人であるのは同じだったりしますが、自分で殺したわけでも自殺したわけでもないので、随分印象は変わります。

また、この恐怖の対象になるのは虐殺を指揮した容疑で逮捕され、後に何故か無罪となる(この流れ、日本でもお馴染みです!)将軍とその家族です。
日本と違って、こういう悪い権力者には国民が黙っておらず、毎日家の外では抗議活動が続くのですが、そんな中、将軍は異様な言動を見せ始めます。
最初、家族は「アラ、恍惚の人。ボけて悔しい花いちもんめ」とバカにしたりするのですが・・・。

こちらはホラーというより「怪談」ですね。
日本の怪談同様、そこには恐怖以上の「悲しみ」があるのです。
終盤に至るまでははっきりとした怪異を見せないため、ホラーというジャンルには思えないです。
ただ、映画としてのクオリティは高く、終盤の「きっかけとなった悲劇」の見せ方もなかなかユニークで、こちらの方がより日本のホラーに近い印象を持ちました。
ちょっと分かり辛いため、終盤だけ何度か観返しましたが、なるほど凝っています。

女幽霊の怖さは「彷徨う女」の方が上ですね。
「泣く女」は顔をハッキリ見せる様になってからは怖さが消えて、「ビジュアル系バンドのライブ帰りか?」と思う程度になります・
「彷徨う女」の方は、日本人では無いものの、長髪黒髪で情念を感じるルックスに「呪怨感」を感じました。
また、「横溝正史感」を感じる部分もあり、グアテマラの映画に日本らしさをこんなに感じるとは思いませんでした。

こんな国にも「Jホラー」の影響があるのでしょうか。
あるいは、単にどこの国にもこういう怪談はあるという事なのでしょうか。
日本では完全に息の絶えた「Jホラーのテイスト」は今、むしろ海外の映画で感じる事が多くなりました。

そういえば、日本のレトロゲームの意思を受け継いで、正当に継承しているのも海外ゲームに多いです。
日本はすっかりダメになってしまいましたが、その意思は遠い国で受け継がれて、今も生き、進化している。
それは希望と言っても良いのではないでしょうか。

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