mixiユーザー(id:13333098)

2021年08月15日14:27

22 view

今度のドンブリは盲目版96時間だ!あなたが望まなくとも・・・「ドント・ブリーズ2」

前作「ドント・ブリーズ」は紛れもない傑作ホラーで、自分もその年のベストだと素直に思えた作品でした。
限られた舞台と登場人物だけで、こちらの予想を超えまくる展開と、圧倒的なサスペンスのつるべ打ち。
90分の中でたくさんのアイデアがたっぷり詰め込まれた、練りに練られたホラーだったと思います。

じゃあ、ヒットしたから続編をと言われても・・・。
長い構想の末に遂に生み出された作品と同じようなものをすぐに生み出すのは、困難と言うか、まあ無理です。
同じ様な映画を作れば、前作のアイデアの焼きまわしか、ボツ案を提出するしかなく、確実にレベルは下がるはずです。
そもそも、また長い時間を似たような映画に費やすストレスを、監督やスタッフは選びたくないでしょう。

前作と同じ監督が2もやっているのかと思ったら、今回は前作の脚本家が監督となっていました。
なるほど、観終わってみると確かに今回は脚本が凝っていたと思います。
前作は特殊なシチュエーションを用意したら、後は一気に突き進むシンプルな流れでしたが、今回は何度かツイストがあって、観客を翻弄する内容になっているからです。

盲目のモンスターだったはずのジジイが、何故か少女と一緒に暮らしていて、その家に彼女を誘拐しようとする屈強な集団がやってくる・・・。
前回は敵だったキャラクターを今回は主人公として、敵は強力かつ大人数にし、前作同様の家内バトルを行うというのは、ゲームとかではありそうな設定です。

ただ、このバトルはあくまでも前半の展開のみで、そこから徐々に彼らの過去が描かれ、どうしてこのような状況になったのかが分かっていくという流れのため、油断は禁物です。
少女の出生の秘密がカギとなります。
この少女、ジジイに鍛えられているためそれなりに戦えるものの、やっぱり非力な少女のわけで、ただのアクション映画ではなくサスペンス要素を残すためには必要なキャラクターになっていると思います。
知り尽くした自分の家の中を、悪党から華麗に逃げる序盤の活躍はなかなか面白かったです。

・・・まあ、賛否分かれる映画にはなっていると思います。
ガッカリしたという人が少なくないのは、前作同様の恐怖を前面に押し出した作品を期待していたら、かなり違う映画になっていたからでしょう。
大事な娘のためならどんな行為も躊躇しない、というのは「96時間」のリーアム・ニーソンそっくり。
華麗に悪人を殺す彼にエールを送る自分に「そういえば俺は何を観に来たんだっけ」と我に返ってしまうと、つらい感じになってしまうと思います。

僕はかなり面白かったです。
「今回はこういう感じね」と思った前半より、どうなっていくのかが分からなくなっていく後半の方がより楽しめました。
最終的な落としどころも、とてもきれいにまとまった気がします。

シリアスだった前作に比べると、笑ってしまう部分が多くなったのも気に入っています。
犬が無事じゃない点だけは、愛犬家の方々のために先にお伝えしておきたいと思います。
憎むのは敵にしてもらって、この映画自体や監督を憎むのだけは勘弁願います。
スタッフロールで、実際のワンちゃんの元気な姿を見せておけば良かったかもしれません。
「演じた犬は無事です」というメッセージとともに。

ただもちろん、前作と比べたら厳しいです。
あの強烈なインパクトは、当然ありません。
でも、あの映画の続編をこの映画以上にするのは、ほぼ不可能ではないかと思います。
監督はこの難しい挑戦をどうにか乗り切ったと思いますし、このスタッフで別のホラーやサスペンスを作ったならば、是非また観たいと思わせるクオリティだったと思います。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年08月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031