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2021年06月28日17:14

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銀河辺境シリーズ3 連絡宇宙艦発進せよ!

を読んだ。
今巻は連作短編集となっている。

グライムズの実験
 ある惑星が人類が植民可能か調査するチームのキャンプの管理者となったグライムズ。
しかし調査隊の科学者たちは管理者を小間使いとしか思っておらず、ひたすらこき使われる。
その合間を縫って散歩に出たグライムズは、現地の原始人レベルの生命体と遭遇し、ある実験を試みる・・・。
 タイトルを「モノリスになったグライムズ」にした方がいい(笑)
オチの意味がちょっとわかりにくかった。
それにしても監察宇宙軍的になんかルールは無かったのか(笑)?

V・I・Pは名コック
 連絡宇宙艦アッダーの艦長に任命されたグライムズ。
超小型の船だったが、初めての自分の城に愛着を持ってはりきるグライムズに、要人を移送する任務が与えられた。
乗り込んできたのはなんの変哲もない中年男だったが、これが実に料理がうまく、むしろクルーの方が彼のサービスを受ける展開に。
目的地に着くと男は本当に料理長だったことが判明し、宇宙軍の現地在住の高等弁務官が迎えに来て船を降りた。
いくつかのパーティーに参加することになったグライムズは、大学のパーティーで「生命体連合」を標榜する魅力的な女性と出会い・・・。
 驚きの展開に目が点になる。しかしそれよりも驚きなのは、監察宇宙軍が実にやばい組織だということに加えて、その陰謀をよくあることのように大尉程度の士官にしゃべってしまうところである。
実は悪の組織(汗)?

ブリキの神様
 今度アッダーに乗り込んできたのは、超高性能なアンドロイドだった。
グライムズは精神波通信士であるディーン大尉に、アンドロイド「アダム」の精神に「伝道」という意識があると聞かされ、不安になってくる。
やがて機関士がアダムと仲良くなっていると聞いたグライムズは、機関士の精神を探るようにディーン大尉に指示する・・・。
 最初はデータかと思ったが、実はデヴィッドだった。
意外なオチはともかくとして、この話でますます監察宇宙軍が悪の組織だとわかってくる。本文中に出てくる宗教的侵略など、ヨーロッパから南米に植民したときと全く同じ手段である。
わからないのは本編アダムを送り込む意図で、これはアダムの意図が宇宙軍の陰謀の更に上を行ったということなのだろう。

眠れる美女の眼がさめて・・・
 人物を輸送させるとろくなことが起きないということで、物を輸送する任務が回ってくる。
しかしこれは物は物でも卵であり、そんなときに限って宇宙船は不調をきたし、卵はかえってしまうのだった・・・。
 とにかく命令されると逆らえない宇宙軍士官というのが面白いが、ほとんどドタバタと言える展開がこれまた面白い。
なんかちょっと筒井康隆を思い出した(笑)

頓馬な浮標(ブイ)
 なにもないはずの空域に球形の物体を発見したアッダー。
その物体は金属が近寄るのを拒否する能力を持っていた。
そこでグライムズのアイデアはプラスチックと黒色火薬だけの装備で接近するというもので、見事に成功し内部に進入することに成功する。
その物体の中でグライムズとディーンは不思議な体験をすることになるが・・・。
 「猿になったグライムズ」(笑)
モノリス的物体に関わる話というのはいろいろあるが、その物体の方もヘマをやらかすというのは珍しいのでは(笑)

目をさました宇宙船
 惑星オルガナで時間をつぶすことになったグライムズは、ディーン共に現地の観光地に出かける。
それは宇宙最大の一枚岩と言われているクラッグ岩で、そのあたりには原住民たちが暮らし、人類が手を触れていない本当の異文明を体験できるとあったが・・・。
 オーストラリアの環境や原住民をモデルにしたエピソードと思いきや、大元の方もひっくるめてくるところが面白い。
なんだかすごく諸星大二郎風(笑)
単純に観光を楽しむという面でも雰囲気があって面白い。

ロボットの仕返しは
 美人だが冷徹なダルウッド行政官とその従者3人(娘1人、ロボット2台)が乗り込んでくる。
アッダーは行政官のルールに支配され、行きの詰まるグライムズとクルーだったが、事故が発生し、アッダーは航行不能に。
ダルウッドは反対したが、銀河連邦とは微妙な付き合いであるスカンジア帝国の軍艦に曳航されることになるアッダー・・・。
 前半と後半で話の雰囲気がガラリと変わる。
結局ロボットの仕返しって、それで、その結果がこれ?と、ちょっとびっくり。
とりあえず挿絵がエロくていい(笑)

 というわけで非常にバリエーションに富んでいて面白かった。
ちうかほとんどコメディーになってるんですけど(笑)
それと今巻では精神波通信士のディーンが実にいいキャラで、この手のキャラクターは神経質で人間嫌いと書かれることが多く、本シリーズでも1巻に出てきたのはそんな感じだったのだが、ディーンはジンを飲ませてもらえればなんでもしゃべるし、なんだか人懐っこいしで出てくるだけで楽しい。
そのディーンをグライムズはどう描写するかと言うと、一緒に観光に行ったときには「けばけばしいポンチョにくるまれたエクトプラズムの塊りという風情」である。
自分の部下をエクトプラズム呼ばわりするか(笑)
 イラストレーターの加藤直之大先生も楽しんで描いていた感じがするイラストばかりで、巻末には珍しいイラストレーターあとがきなんてのもついていて興味深い。
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