mixiユーザー(id:13333098)

2021年02月13日13:23

35 view

ストーカーぶるーす「アンダー・ユア・ベッド」

アメリカ発祥の有名な都市伝説が、このタイトルの元ネタなのではないかと思います。
一人暮らしの女性の部屋に友人が泊まりに来る。
ベッドは一つしかないので、友人は床に布団を敷いて寝る事に。
主人公が寝ようとすると、友人は外に出ようとしつこく誘う。
仕方なく部屋を出ると、友人は「ベッドの下に男がいた」と言う・・・。
(うろ覚えだったので、ウィキペディアを参考にしました。)

この作品の面白いのは、恐怖の対象であるストーカーを主人公にした事です。
主人公の孤独と、恐ろしいほど不器用な愛情を彼の視点で描かれるため、ストーカーを応援したくなってしまうというのは、なんとも意地悪い試みです。
しかも、彼が学生時代から思いを寄せる女性はすでに結婚しているのですが、この旦那が自宅をジムと勘違いしているらしく、奥さんを毎日ギッタギタのボッコボコに虐待しまくっているのです。

女なんてのはサンドバック兼ダッチワイフ程度にしか思っていない、森元会長みたいな人なので、観ている人は誰もが「誰かこいつを殺せ!ストーカー、お前が殺れ!」と思ってしまいます。
しかし、ウルトラ陰キャでストーキングと熱帯魚を育てる以外は何も出来ない(あと自慰もできる)彼に、彼女を救う事は出来るのか?というお話です。

こういう視点にしてしまったために、ホラー作家の小説が原作にもかかわらず、怖さはあまりありません。
強烈な孤独と満たされない思いから、次第に狂気を帯びていく主人公というのは、「ジョーカー」を思わせます。
彼の様な異常者の心にあるのは、本当にシンプルな願い。
そんな彼の物語をきっちり描く事には見事に成功していると思います。
演じる高良健吾さんが演技もナレーションも素晴らしく、完璧にストーカーになり切っています。
彼を町で見かけたら、「アッ、この人だ!」とウッカリ通報してしまいそうです。

個人的に残念だったのは、観ている人にもストーカーからの情報のみを与えて欲しかった事です。
この映画では前述の家庭内暴行シーンをシンプルにはっきり見せてしまっています。
ここは確かに惨いシーンではあるのですが、ハッキリ言って類型的な暴行ばかりなので、あまり面白いものではありません。
むしろ、ストーカーの主人公が得られる情報、つまり盗聴の音や、窓からたまに覗く視覚、家人がいない部屋の様子だけでおぞましい暴行を想像させる方が、ずっと恐ろしいと思うからです。

なにより、この映画はwowowで観たのですが、いつもの様に「隙あらば大量のボカシを入れて映画を台無しにしてやろう」というwowow特有の凄い意気込みがスパークしていて、暴行シーンが完全にクイズ番組の最終問題になってしまいました。
「何をしているのでしょーか?」
「遠慮の無い暴力と凌辱!」
wowowはボカシばかり入れるくせに官能映画特集とか平気でやるので、完全に嫌がらせだと思います。

あと、ストーカーという限られた情報しか得られない状況と、異常な人間の一人称という作りから、どうしてもミステリー的なサプライズを期待してしまいました。
映画というジャンルにおいて、この特異なシチュエーションはまさに、叙述トリックを活かせるチャンスだったのです。
大体、前述した設定からして、どういうお話になるか、どういう展開を観る人が期待するかは明らかじゃないですか。
これをひっくり返さない手はない!
と思うのは、そういう話ばかり読んでいるからだと思いますが・・・。

でも、終わり方は非常に良かったと思います。
彼のある願いが叶えられたところでスパッと終わり、その後は一切描かない。
これで良いと思います。

ところで、一番重要な事なのですが、このブログのタイトルは近藤真彦「スニーカーぶるーす」のパロディでした。
ハッキリ言って、このタイトルを思い付いたから書いたようなものです。
内容にも合っているし、俺は天才じゃないかと思いました。
それで、タイトルだけだと成立しないので中身も書いたのでした。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年02月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28