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2020年10月23日10:28

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ゾンビ映画じゃなくて電話映画でした「ラスト/ナイト」

先に言いますが、この映画を勧めるつもりは毛頭ありませんし、観ている人も少ないと思われます。
ネタバレになるから、観るまで読まずにおこう等という配慮は一切必要ありません。
今回はウッカリこの映画を観てしまった経験をせめて無駄にしないよう、電話映画について語りたいと思います(電話映画?意味は後述)。

とりあえず誰も観ていないと思うので内容の紹介を。
ハッと目覚めると事故車の助手席で手足を縛られている主人公(女性)。
運転席では他の女が血塗れで、死んでいるよう。
辺りは夜の森の中。
記憶が一切無く、何がどうなったのかサッパリ分からない・・・。

もう、こういった始まりの映画は何度目なんだと思います。
この映画を録画したのはおそらく、予告を観たからなのでしょう。
映画が始まる前に同作の予告が流れており、車の上に逃げた主人公を取り囲んだ大量のゾンビが、ワッショイワッショイとお祭り騒ぎをしている威勢の良いシーンが映っていたので、かつての僕はこれを観てロボットの様に予約録画をしてしまったと思われます。
本当に不覚でした。

そう、これはゾンビ映画、のはずでした。
こういう低予算映画では、「すみません、ゾンビの入りが遅れておりまして・・・。しばらく主人公達の意味の無い時間稼ぎをお楽しみください。」といった感じで、30分くらい(酷いと1時間以上)待たされるのが常です。
ところがこの映画、15分くらいで「現場はここですか?」とゾンビ達が登場し、主人公の車を取り囲む!そしてせっかく出会った生存者を美味しく頂く!予告にあった自動車の上でワッショイワッショイ!と、心配なほどのハイペースで、この後は大丈夫かと声をかけたくなりました。

大丈夫では無かったです。
もう主人公は完全に積んだ、と思いきや、ゾンビ連中はどんどんまばらになり、なぜかすっかりいなくなったりします。
おそらく休憩時間なのでしょう。
こんなにやる気の無いゾンビは初めてです。
たまに思い出した様にやって来ては車の中に手を突っ込んだりしますが、監督に大声を出されて仕方なくやっているに違いありません。
日雇いの方々ですから無理もありません。

その後この映画はどうやって時間をもたせたか。
電話です。
お話の内容はすべて電話での会話で済ます。
電話、電話、電話、ゾンビ、電話、電話。
この映画の比率はそんな感じです。
ちなみに、終盤で遂に電話の充電が切れると、主人公がスローモーションで色々な顔をするのを、時間が来るまで眺める羽目になります・・・。

電話の会話だけで進行する映画は色々あります。
今回の映画に近いのが、棺桶に閉じ込められてその中の映像だけで最後までいく「リミット」。
あれは観ていて本当に息苦しくなるわ、退屈になるわで、気が狂うかと思いました。
一般的に評価の高かった「THE GUILTY/ギルティ」も電話の会話だけのサスペンスでしたが、あれも個人的には退屈でした。
話自体は良かったのですが、映像の見せ場が一切なく、これなら本で読んだ方が眠くもならなかったし、よっぽど良かったと思ったのです。

良かった作品では、「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」があります。
走っている車の中で、家庭と仕事の危機を知らせる電話が同時に到着!
それぞれをやりくりしながら、目的地へと疾走するというお話です。
会話自体に緊迫感があって常に飽きさせないし、車が到着したところでスッパリ映画が終わるのも良い。
その後をベタベタ描かず、何とも言えない余韻を残すあたりが上手いです。

さて、この「ラスト/ナイト」はどうだったか。
途中までは決して悪く無かったのです。
ゾンビは背景で、要は「わたしは何者?」ミステリーとして、複数の人物との電話や車の中にあるものを発見する事で徐々に明らかになる展開は、かなり期待させる部分もあるし、ずっと車の中であってもそこまで退屈にはなりません。

しかし・・・。
終盤の「こうなったら観客との根競べだ。もうこの先何も無いけど、時間までこのまま行くよ!付いて来られるかな?」という監督からの挑戦の様な超牛歩展開と、あまりにも面白みのないガッカリオチ。
ここまで色々用意して、何のツイストも思い浮かばなかったのか?
もっと日本のミステリーとかたくさん読んで勉強してくれよ!

主人公が「自分はこの人だったのだ」との思い込みが裏切られる展開というのは絶対必要だったと思うし、せっかくゾンビものなのだから、自分だと思い込んでいた人がゾンビとしてやって来た事で「違った!」と判明する瞬間等も欲しかったと思います。
それによって、これまで苦心してやってきた事がすべて「本当の自分」にとっては最悪の事だったというオチだったなら、ここまで評価が最低レベルにはならなかったのではないでしょうか。
僕の案だって相当ベタだとは思いますが・・・。

とにかく言いたかったのは、この映画は見えている地雷だという事、そして電話の会話で話が進む演出は、いずれ見せる「映像一発」で何かしらの反転を見せて欲しいという事です。
小説では無い映画としてのミステリーなら、絶対に映像のインパクトで何かを感じさせて欲しいと思うのです。
これのオススメとしては「インビジブル・ゲスト 悪魔の証明」が素晴らしいので。未見の人は是非。
電話では無く、弁護人と容疑者の会話劇ですが。

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