つい先日骨折して、未だギプスも外れていない人間にとっては、何とも皮肉なことに、今日は骨と関節の日なのだそうです。いささかムリがありますが、「十」と「八」を組み合わせると「骨」の「ホ」の字になり、また、以前は10月10日が体育の日であったことから、その日を前にして骨と関節の健康に気をつけようとの趣旨で、1994(平成6)年に日本整形外科学会が制定したとのことです。
気をつけよ〜たって、あんた、すでにこっちは骨折してるというのに…。
まぁ、でも、こういう機会でもなければ骨について考えたりすることもないでしょうし、せっかく骨折したことでもありますから、“骨”関連で少し書いてみようと思います。
振り返ってみれば、人生でほとんど最初に覚えた歌謡曲のタイトルには、「骨」が入ってました。
https://www.youtube.com/watch?v=mYyl3vdQG30
子どもまで覚えているくらいですから、「骨まで愛して」という言葉は、よほど流行ったようですね。結婚式で神父の例の質問に答えて、新郎が「はい、骨まで愛します!」と言ってしまうマンガまであったことを記憶しています。
『骨まで愛して』は、元々は1966(昭和41)年製作・公開の同名の映画(監督:斎藤武市)の中で、出演者の一人、城卓矢(1989年に急死されました)が歌った曲だったようですが、映画における「骨」ということでは、何と言っても『2001年宇宙の旅』のこのシーンは見事です。
https://www.youtube.com/watch?v=ypEaGQb6dJk
と、つい先日まで思っていました。
でも、よく考えてみると、これは少々おかしいです。あの時代にあんな立派な骨があったとはちょっと考えにくいのです。というのは、あれほどの骨なら、中にはたっぷり骨髄があり、これは野生動物にとってのみならず原始人にとってもご馳走だったに違いないので、中の骨髄を取り出して食べるために。とっくの昔に骨は破壊されていたはずと考えられるからです。
ま、あんまりリアリズムで映画を見て楽しめないのでは、これはこれで問題でしょうから、スーパーリアリズムとかシュールレアリスムなんかもある絵の世界に目を転じると、こちらにも、ジョージア・オキーフという骨の絵で有名な人がいらっしゃいました。
例えば、「オキーフ 骨」で画像検索すると、こんなに出てきます。
https://www.google.com/search?q=%E3%82%AA%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%95%E3%80%80%E9%AA%A8&rlz=1C1PRFI_enJP894JP898&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=2ahUKEwiA1PySvaTsAhWbFogKHUdlDCAQ_AUoAXoECAwQAw&biw=1536&bih=754
ものの本によれば、この骨は牛の頭部で、「時代を超越した砂漠の美しさと、揺るぎないアメリカ精神の象徴」なのだそうです。よく分かりませんが、骨は写実的なのに、絵全体としては抽象的な印象を与える奇妙な作品です。
ところで、私の経験した中手骨の骨折は、別名“ボクサー骨折”とも云われ、実はボクシングの世界では、当たり前のようによく見られる骨折なのだそうです。
とくに、有名なのは、WBA・WBC世界フライ級チャンピオンだった海老原博幸です。この人は大ヒットしたマンガ『あしたのジョー』のモデルと云われています。
https://box-p4p.com/contry/japan/67465
骨折すること、実に7回! はっきり中手骨とは書かれていないものの、(指でも手首でもなく)「拳」の骨折とあることから、骨折箇所が中手骨だったであろうことはまず間違いありません。ハードパンチャーの宿命だったのでしょうか。
もっとも、私は海老原氏の全盛期のすごさは知らず、最初に「エビハラ」という名前を聞いたのは、上記引用記事の冒頭で少し触れられているユーリ・アルバチャコフのリングネームを聞いたときでした。アルバチャコフは、「ユーリ海老原アルバチャコフ」のリングネームで闘うようにと協栄ジムから命じられたのです。
海老原がなんぼ偉大な選手であったとしても、これはひどいなと思った記憶があります(悪名高い創氏改名を思わせるものがあります。実際、本人も嫌で嫌でしょうがなかったそうです)。
なので、海老原氏には何の罪もないけれど、あんまりいい印象はなかったのですが、このたびの骨折で、身近な存在となり、印象がいい方に大きく変わりました。
でも、スポーツ選手で骨折といえば、ボクサーではないですが、かつて阪神タイガースに在籍したジーン・バッキーは外せないでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=9svWs6oeYHs
いかにも骨折するために生まれてきたかのようなそのお名前からしてすごいですが、この人は実際に右手親指を骨折しています。阪神−巨人戦で乱闘になり、巨人の荒川コーチを殴って骨折したのです→
http://column.sp.baseball.findfriends.jp/?pid=column_detail&id=097-20190909-01
でも、上掲動画からも伝わってくる陽気なさっぱりした性格だったので、王選手や荒川コーチともその後たいへん仲良くなったということです。
残念ながら、昨年9月14日に旅立たれました。
骨に関連していろいろ書いてきましたが、これだけ書いとけば、少なくともムダ骨にはならなかっただろうと思います。
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