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2020年10月03日21:53

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静岡でも現在絶賛公開中!「映画 人間椅子 バンド生活三十年」

まずは、公開時期が少し遅くなったものの、静岡でも公開してくれた事は本当に有り難いです。
全国的にもまだ決して多くの劇場で公開されていない作品で、人気が出てきたとは言え一般的にはとてもメジャーとは言えないバンドのライブ映画です。
コロナ禍で公開できる作品が少ないという状況によるものだとは思いますが・・・。

鑑賞前にパンフレットを買い、映画が始まる前にパラパラと読んだだけで泣けてしまいました(バカなので)。
すでに出ている書籍である、バンドの歴史を収めた「椅子の中から」と、ギターの和嶋慎治の自叙伝「屈折くん」からの抜粋が書かれているだけ(映画本編にも登場する)なのですが、あらためて読むとなかなか感動的だったからです。

まあ、こういうバカなファンが書く感想ですから、まともなものはあまり期待できませんよね。
映画の内容はほとんどが中野サンプラザで行われた30周年ツアーのファイナル公演の演奏ですから、映画としての出来がどう、というものでもないのですが。
今回は、他の音楽映画との比較等により、出来るだけ冷静な感想を書いていきたいと思います。
ちなみに、僕はこの公演を生で観ています(残念ながら映っていなかったので、映画出演は果たされませんでした)。

音楽映画と言っても、知らないアーティストの映画をわざわざ観に行くほど暇ではありませんので、自分が好きなアーティストの映画との比較しかできません。
Perfume、電気グルーヴ、細野晴臣、メタリカ・・・。
音楽的にバラバラなのはもちろんですが、映画としてもそれぞれ違った作品になっているのです。

「WE ARE Perfume」は海外ツアーのドキュメンタリーとなっています。
ライブシーンもありますが、どちらかと言えば舞台裏とメンバーのオフショットが中心で、はっきり言ってライブDVDのボーナス映像みたいなものです。
トラブルが起きても冷静に対処する男前な姿には感動しますが、基本的には淡々とした内容だと思います。
メンバーが過呼吸になったり、親類が危篤になったり、メンバー同士が口汚く罵り合う場面があると盛り上がると思いますが、ヤラセが無いとまあこうなります、と言った感じです。
こんな事を言っていますが、自分は鑑賞中ずっと号泣しっぱなしでした(バカなので)。

対して、「メタリカ 真実の瞬間」は、メンバーが辞めたり揉めたりして四苦八苦しながらアルバムを作るという内容であり、映画としては楽しい出来です。
ようやく新メンバーが加わりアルバムが完成しライブをやってメデタシメデタシで終わるのですが、その後このアルバムが結構酷評されたりして、なかなか苦労の絶えないバンドです。

細野晴臣の映画「NO SMOKING」は、前半は彼の歴史を振り返る内容なのに、途中で「もう時間が足りない」となったのか中途半端になり、近年のライブ映像を連発して終わるという作品でした。
歴史が長い人だと、とても2時間以内じゃ収められないのです。
作品とするなら、どこかに焦点を絞らないとならないのです。
YMOのドキュメンタリーなら、活動期間は短いのでどうにかなりそうですが。
これはおそらく今後、出来そうな予感はあるのです。
みんな観たいし。

一番バランス良く出来ていたのが「DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-」だと思います。
フジロックのライブ映像と、アルバムごとに振り返る歴史を交互に編集してあり、知らない人にも経歴と音楽性をコンパクトにまとめて知る事の出来る内容だったと思います。
本人は一切ノータッチ(代わりに、辞めたメンバーのまりんが監修している)という点が懸命だったのかもしれません。

さて、ようやく人間椅子の映画についてですが、一番特徴的なのは「曲をカットせず最後まで流す」点です。
序盤から「宇宙からの色」「品川心中」「芋虫」と、7〜8分の長尺曲が並びます。
しかも、「芋虫」は途中のギターソロが延々と続くライブ仕様で、10分は超えているでしょう。
映画として考えると明らかにテンポが悪くなる部分です。

しかし、インタビューや舞台裏のオフショットでは無く、演奏をカットせずに生かす方を優先するという点が、何より人間椅子らしいと思いました。
今回のこの映画は、豊洲PITでのライブ(これも僕は生で観ています)を観た監督から持ち込んだ企画との事で、おそらくアーティストの意向を十二分に汲んだ内容であるはずなのです。
きっとライブをすでに生で観ているファンなら、舞台裏こそを見たかったと思いますが、演者からすれば演奏シーンを優先したいのは当然です。

映画を面白くするなら、はっきり言ってアーティストの意向は完全に無視した方が良いに決まっています。
こんなもの公開しないでくれ、と訴えられるくらいの内容の方が、みんなの見たいものが確実に見られるでしょう。
普段の姿(ダラダラしたり、些細な事でケンカしたり、彼女とイチャついていたり)なんか、誰だって見られたくないのです。

今回の映画だって、これまでのバンドの歴史ドキュメンタリーにした方が絶対に面白いはずです。
先ほどの2冊の書籍を読めばそれが分かります。
特に「屈折くん」は、バンドを続け、良いアルバムを作成するために人生すべてを捧げている(犠牲にしている)事がよく分かる内容なのです。
よくバンド内での金銭関係や異性関係で揉めて解散、といった事がありますが、そんなの迷わずバンドだろ、音楽だろ、他はどうでもいいだろ、すべて捨てれば良いだろ、という迷いの無さに呆れ、同時に感動します。
夢を続ける事の残酷さと素晴らしさ。
この本は人間椅子に興味の無い人にも面白い作品だと思います。

しかし案の定、そういう内容にはアーティスト側も気乗りしなかったようです。
やっぱりライブを観て欲しい。
そういう作品です。
ただし、ライブで演奏された18曲の内映画では12曲(アンコール曲3曲は一部のみ)。
ライブ映画としては中途半端です。
ドキュメンタリー部分はごく一部で、過去の映像も一瞬登場するだけ。
欧州ツアーの部分はエンドロール後のボーナストラック的扱い。
色々な事情があったのでしょうが、作品としてはどこかに重点を置いた方が良かった気がします。

とは言え、ナレーションも入れず、有名人が登場してベタベタ褒めたコメントを言ったりする映像や、メンバーへのインタビューを入れたりせず、書籍からの発言の抜粋を曲間に挟むだけという控えめな演出は良かったと思います。
バンドの歴史については、そこから浮かび上がる程度で良い、という判断なのでしょう。

まあ、色々偉そうに書きましたが、実際はこの映画を観ている最中、僕はノリノリになっているかボロ泣きしている(バカなので)の二択だったので、明らかに制作者側が意図した以上に楽しんだのは間違いありません・・・。
興味があれば、劇場で観られる内に是非!

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