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2020年07月15日10:50

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今一番のビックリドッキリホラー!「透明人間」

これはこちらが勝手に予想していたのですが、なんとなく「通常のモンスター映画を装った一味違う作品」ではないかと想像していました。
それで観たいと思っていたのですが、後に監督が「アップグレード」のリー・ワネルだと分かって、ちょっとどうかと思ったのです。

「アップグレード」は面白いアイデアを生かしたレトロチックな純SF作品で、良い映画だとは思います。
ただ、自分には少し合わなかった。
どうしても眠くなってしまうのです。
おそらく監督のテンポ感と自分が合わないのだと思うのですが、面白いシーンが終わると急に眠くなるというのが連続して、なかなか最後まで観るのがキツかったです。
ブラックな終わり方はとても良かったのですが。

この「透明人間」も、案の定と言うか、まったく同じ印象でした。
まず、予想と違ってかなりシンプルなモンスター映画でした。
前半は主人公が精神的に追い詰められておかしくなっていく展開のため、本当に透明人間はいるのか?というようなサイコ・スリラータッチなのですが、後半は純粋なホラーとなります。

これは悪い意味で言っているのではありません。
僕の予想と違っていただけで、透明人間が暴れる映画が観たかった!という人にはむしろ朗報でしょう。
しかも、かなりショッキングなシーンがあります。
劇場で「ウワ〜!」と大きく口を開けてしまいました。

ここは本当にやられたし、透明人間が大暴れするシーンの映像的な面白さはなかなか迫力があります。
見えないって最強だな!と痛感します。
なにしろ、犯人は近くにいた人間だと皆が思ってしまうので、まさしく一切「注目」されないで済むからです。

ラストも「アップグレード」同様、メデタシメデタシとはいきません。
これ、どう思ったら良いのだ?と困惑させられる、意地の悪い終わり方となっていて、なかなか好印象です。

この2作に共通するのは、監督は決して奇抜な事がやりたいわけでなく、昔ながらのジャンル映画を今の時代に合わせてまさしく「アップデート」した作品を作りたいのでしょう。
透明人間映画と言えば、ポール・ヴァーホーヴェン監督の「インビジブル」がありましたが、あれは多くの予算を使って派手な映像(透明化する過程の人体模型ビジュアルなど)をこれでもかと見せつけるパワフルな作品で、なるほど、これなら透明人間ネタを今更やる価値があるな、と感心したものです。

しかし、この「透明人間」は、もっと低予算映画らしさをあえて全面に出して、むしろビジュアルよりも演出や音によるショックにこだわっていると思います。
この違いは、単純に予算の違いもあるでしょうが、監督の意向も大きいと思います。
独特のゆったりしたテンポも、かつてのジャンル映画に合わせた意図的なものかもしれません。

そう言えば、この映画のド迫力の音楽はかなり印象が強いです。
映像的にも展開的にも「そこまで盛り上げるとこか?」と思うほど、随所で音楽が爆音で唸ります。
一番過激なのはエンドロールで、ドギャン!バリバリ!とノイズが容赦なく爆発する部分があって必聴なので、是非明るくなるまで席を立たないでいただきたいと思います。

シンプルなホラーと書きましたが、この映画は一応、深読みも可能な作りとなってはいます。
主人公の女性が恋人から逃げるところからスタートし、恋人が死を偽装して透明人間となって彼女を襲う、というのが基本のストーリーですが、描かれるべき部分が一切描かれていない点、そして終盤で発覚する意外な事実。
そこを踏まえた上でラスト部分を考えると、果たしてそのまま受け入れて良いのか?と疑問が生じる・・・と言えなくもありません。
でも、あくまで「そう考える事も出来なくもない」レベルです。

実は、ここを中心としたミステリー的な展開(明確なオチは無くても良い)の映画だったら、まさに期待通りの作品でした。
でも、監督はそこよりも大暴れ映画を優先しました。
彼がやりたい事をやり切ったのなら、何も問題はありません。
単に自分とは少し噛みあわないだけなのです。
ただ、それならもうちょっとコンパクトにして欲しかった(透明人間映画に2時間を超えるのはどうか)。
つまり、今回もやっぱり随所で眠くなってしまったのでした。

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