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春分の日の祝日で休みだった3月20日金曜日、福井県では11月5日から始まった名産のズワイガニ漁の最終日でもあった。
中でも、隣の石川県では年間を通して禁漁だが、福井県では末期の2月19日から解禁される「水がに(「ズボガニ」とも呼ぶ)」は、種類としては同じオスのズワイガニなのだが、脱皮してからさほど経過しておらず身が詰まっていない代わりに値段は数分の1と安い。
ズワイガニの中でも大型で身が詰まった高級な1万円以上する「越前がに」と比べたら味は落ちるんだろうが、カニミソが苦手な自分はそんな高いカニなど食べたいとも思わず、安い「水がに」で十分である。
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福井県内最大のズワイガニの水揚げを誇る越前町にある「青海食堂」では、親父さんの弟さんが漁師なので安く仕入れることができるようで、「水がに」ではなく高級な「ズワイガニ」を半身分使った「ズワイ丼」が破格とのことで3月1日に食べに行ってみた。
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すると、脱皮で体力を消耗して回復していない「水がに」のミソは緩くおいしくないと言われており、水揚げ後すぐに浜茹でにされ、解体して内臓部分は外して捨てられ、通常は半肩ずつ流通しているが、生きたまま仕入れることができるため、短い「水がに」の漁期限定で珍しい「水がに」のミソも含めたフルコースに仕立てもっと破格の1980円(税込)で「水がにランチ」として提供しているなどと言う。
翌週にはカニに目がない兵庫のマイミクさんがカニを目当てに福井を訪ねてくることになっており、その「水がにランチ」のご飯だけを「ズワイ丼」に替えてもらうことはできないか相談したら3500円(同)でやってくれた。
半肩は定番の茹でがに、もう半肩は刺身、脚の付け根の部分は焼きがに、甲羅の部分はミソに味付けして他のカニ身も添えて甲羅焼きにして提供された「水がにランチ(ご飯なし)」は想像を遥かに超える素晴らしさだった。
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福井市から越前町まではクルマで1時間10分ほど、漁期最終日が祝日で休みだから行けるので、とどめに「水がにランチ」を食べに行くことに決めた。
ただし、カニミソが苦手な自分は甲羅焼きは相当無理しないと食べられず、フルセットで出されても困るので、予約時に「甲羅焼きだけは要らない」と伝えていた。
代わりに別のものを添えてくれなどとも要望していないのに、甲羅焼きの代わりに越前町では「ベタガレイ」と呼ぶカレイの揚げ物を出してくれた(写真3)。
まずは定番の茹でガニだが、これで身が詰まっていたら確実に「越前がに」と名乗れタグ付きで1杯(匹)数万円で売れるレベルの太さの脚の個体である。
いちばん細い脚でもこの太さである。
確かに身が詰まってはいないが、スカスカではない。
甘くてみずみずしくてめちゃめちゃ旨い。
「こんなのズワイじゃない、やっぱりパンパンに身が詰まった越前がにじゃないと」などと言う輩がいたとしたらバチ当たりだと思うくらい、はっきり言って「水がに」で十分である。
確かに刺身は少々身が細く見える。
でも、甘くてジューシーで何もつけなくても非常においしい。
ただし、生だと細い部分の身は殻にくっついており、上手に外すのが難しく少々食べづらい。
焼きがにとベタガレイも旨そうである。
これでも「水がに」なのかと思うほど、しっかり身はあるではないか。
焼いて縮んでいてもこれだけ身があれば十分だろう。
ベタガレイのから揚げも普通においしい。
ハサミの部分の身だって刺身でこれだけあれば十分である。
最後は茹でガニのいちばん太い脚とハサミをいただく。
もう手はベトベトなので、あとは食べ終えるまで写真は撮らなかったが、じっくり1時間ほど掛けて丁寧に「水がに」を食べ尽くした。
同じ内容で「越前がに」だったら最低でも1万円コースだが、「水がに」だとこれで1800円(税別)だなんて素晴らし過ぎる。
結局、31日間と短い「水がに(ズボガニ)」の季節だったが、福井市で3回(うち1回はmixi日記にせず)、越前町で2回の合計5回楽しんだ。
福井の「水がに」、最高である。
この頃はまだ福井県では新型コロナウイルスは東京出張で感染したと思われる感染者が2日前に1人確認されただけで、わずか3週間前のことだが今とは別世界である。
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