昨今ホラーにおけるジュヴナイルはジャンルとなった。*1
同時に雨後の筍の様な作品の乱立は内容の似た作品を乱立させてしまう。
本作も「よくあるジュヴナイルホラー」から脱却できておらず、
どうやらジャンルの中に埋没してしまいそうだ。
有名なアメリカの児童怪奇小説が原作の本作は、*2
選り抜きの短編へ中心の話をくわえ1本の映画にしたものだ。
物語の中心は、まさしく「怖い本」。
地元の幽霊屋敷で、
この「怖い本」を発見した十代の少年・少女が怪奇現象へと巻き込まれる。
「怖い本」は次々と怪談をつづり実現させてしまう。
「トウモロコシ畑で動くカカシ」
「シチューへ入る足の指を探す死体」
「毛が生えたおできの毛を引き抜くと?」
「青白い顔の女」
「バラバラの身体を持つジャングリー・マン」
内容も映像も豊富であきさせない。
本作の強味だし、かつての子供が昔を回想するような懐かしさもある。
物語は「怖い本」の書き手、非業の少女サラの謎を追う展開ですすむ。
この展開もそれなりに興味を引く。
一方、主人公のステラとレイモンをふくめ、キャラクターは凡庸だ。
主役2人以外はさらに活躍が雑で、犠牲者という以上の立ち位置を用意できていない。
幽霊屋敷を代表に、画面が非常に暗く見辛い場所が多く、
なかなか素直にほめられない。*3
最大の問題はホラーとしての基本的なパンチとパワー不足で、*4
凡庸な絵作りも印象に残り辛い。これらが本作をこれまた埋没させてしまうのだ。
※1 「IT」と「ストレンジャー・シングス」の成功以来そればかりだ。
※2 原作は81年〜91年に米国の児童作家アルヴィン・シュワルツが執筆した3冊の児童書ホラーだ。日本では87年に「だれかが墓地からやってくる」の邦題で翻訳をされた。ちなみに原作は90年〜99年までの「アメリカの図書館で最も批判をうけた本100冊(100 most frequently challenged books)」のなかの堂々1位に輝く。(
http://www.ala.org/advocacy/bbooks/100-most-frequently-challenged-books-1990%e2%80%931999)それだけ社会的影響力があったことになる。
※3 劇場の環境によるが、前半と後半の“現在”の幽霊屋敷の場面は、画面が黒で潰れ、なにをやっているかぜんぜんわからない。
※4 R指定ではない時点でグロ・ゴア描写はいれられないしね。
ログインしてコメントを確認・投稿する