https://books.google.co.jp/books/about/%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E5%8C%97%E9%83%A8%E3%81%AE%E4%BB%8F%E6%95%99%E9%81%BA%E8%B7%A1%E3%81%AE.html?id=qEfjAAAAMAAJ&redir_esc=y
https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA35812491
https://photo.mixi.jp/view_album.pl?album_id=500000106647932&owner_id=5160461
p.7
マルクワルトはチャガニアン王Ti-choがタバリーのあげているチャガン・フダト(チャガニアン王)ティシュと同一人物であると考えている。この人物はトハリスタンの葉護(ヤブグー)でもあった。この王名は、バクトリア語でシリウス星を意味するという(リトヴィンスキー、1968、P.38)。
p.6
上記の呪術的なテキストはマニ教のものであるが、しかしそこには北伝仏教文献の強い影響がみられる。ヘニングによると、最古のパルティア語マニ教テキストである物語詩(マール・アンモの作とされる)にはすでに若干のインド仏教的術語が含まれている。…パルティア語のマニ教テキストには、例えば、仏教から借用したつぎのような術語S'qmn bwt(ブッダ サキヤムニ)、Smn(シュラマナ)、nybr'n(ニルヴァナ)、byxs(ビクシュー)、mytrg(マイタレヤ)などである。…「チュルク人の仏教における多くの主要術語はゾロアスター教期限のもので、チュルク人はそれを西方(中央アジア)でソグド人を経由して借用したはずである」(前掲書、P.115)。
p.8
イコノグラフィー的な立場から見れば、相互影響があり、その結果バミアンやドゥフタリ・ノーシルワンの壁画の場合のような折衷的作品が現れた。そこではルスタムと菩薩が多くの点で1つになっている。…ツェーナーR.L.Zaehnerの見解によると、ササン朝時代のゾロアスター教は明らかにインド的宗教哲学の影響を受けている。パーラヴィ語のゾロアスター教典に悪賢いデモンであるAzが登場しているが、その特徴は仏教のavidya(無明ignorance)とその発現であるtrsna(はげしい欲望)は生存をつづけたい欲望と結びついている。…
…バルダイカンBardaican(紀元222年死)派によって編纂された『諸国法制の書』にはクシャンにキリスト教徒の女性がいたと書かれている。…キリスト教がクシャンクK'usank国に広まり、そこからさらに南のインドに入ったとのアルメニアの著者エリシェの記述はシャプール2世(紀元4世紀)の時代に属するものである。549年、ネストリウス派の長老アバはエフタルの願いにより、その支配下の全キリスト教徒のために主教を派遣した。
p.10
フッタルという名称は中央アジア史上に登場する謎の民族、エフタルに由来すると、タジキスタンの考古学者ネグマトフは1996年秋私に語った。…
…クメドは現在のカラテギン、ダルワザ、ワンチャなど、フッタルとシュグナンの間の地域とされている。
p.11
考古学者ゼイマリT.I.Zeimal'はレワカンドをクルガン・チュベ都城址、中世初期のワフシュの主都(これもワフシュとよばれた)をカフィル・カラ(6-8世紀)と考えている。…
…コバディアン(ササン朝の王名に由来)、タフティ・コバド(コバドの玉座)、シャフリ・トゥズ(トゥスの都市)、ケイ・コバド・シャーなどで、いずれも古典古代期とクシャン時代に存在したが、その後荒廃した。
p.12
すなわち、6-7世紀までは今のデナウの30km南にある大都城址ダルヴェルジン・テパであったが、アラブの侵入後(9-12世紀)には、キジル・スー河がスルハンダリヤ河に流入している地点にある大都城址ベドラチ(面積72ha)になった。
p.15
Dコンプレクスの洞窟内寺院の廊下には単色によるジャータカの光景、全身が火炎でつつまれた仏坐像が描かれていた(図2-12)。現地の人たちがこの画像を折衷的と見たことは、「ブッダ＝マズダ」を意味するクシャン文字の書かれていたことで知られる。
p.78
今のところ、カラテパ出土の4つのカロシュティ文字銘文(2、6、36、63)によって、カラテパの教派がMahasamghika大衆部であったことが明らかにされている。…
大衆部教派の著名なテキストであるMahavastuはその刊記において、この教派の北方系流派のより正確な名称をMahasamghika Lokottaravadin(大衆部説出世部)としている。この派は仏陀の超越性(lokottara)の観念を保持するもので、前3世紀に大衆部集団から分離してパタリプトラ地方から西方へ移動した。紀元1千年紀の初めと中頃、多くの資料によると、大衆部説出世部はバミアンにいたことが知られている。…
『マハヴァストゥ』その他の資料によって、大衆部はlokottaraのほか菩薩の教説をも仕上げている。
…
ウェルトグラドワはここに出てくる大衆部教派がmaha-karuna(大悲)教説に属するものと考えている。
ハンガリーの著名な言語学者Harmatta J.は中央アジアにおいて大衆部が説一切有部に変わった可能性についてのべている。彼は中央アジアでカロシュティ文字を用いたのは大衆部であり、説一切有部はブラフミー文字を用いたと考えている。…
古文書学に基づいて、カラテパにおいてブラフミー文字が4世紀末ー6世紀初頭まで用いられたことが明らかにされたが、このことは、はじめはマトゥラーの文化圏から、ついで中部インドとデカン方面から新しい仏僧グループが中央アジアへきたことを示すものである。…
…すなわちカロシュティ文字銘文��37に見えるbudha-sammataの「サンマタ」の語が小乗十八部の1つである正量部sammatiyaに関連していると考えている。…
p.79
「ゴンドファレスの息子のヴィハラ」と書かれた陶片文書はカラテパの北丘で見つかったので、北丘の僧院がこう呼称されたのであろうと考えられる。
p.121
すなわち北はイリ川沿いにビシバリク(北庭)、トゥルファン、ハミであり、中はフェルガナ盆地からカシュガルへ出、そこからクチャ、カラシャル、トゥルファンに至る線であり、南はアライ山地の渓谷からヤルカンド、ホータン、ニヤ、クロライナ(楼蘭)、敦煌のルートである。
p.123
1961年イギリスのチュルク学者クローソンG.Clausonがアクベシム＝スイアーブ(碎葉城)説を提起し、その後遺跡内で発見された砂岩性漢文造像碑に「碎葉鎭」とか「杜懐寶」の文字があったので、今はクローソン説がほぼ定説となっている。一方バラサグンは考古学者ゴリャチェワらによって近くにあるブラナ遺跡に比定されている。
p.159
内藤みどりは『皇華四達記』に「碎葉より西十里、米国城に至る。また三十里新城に至る」にある「新城」がナウェカト、つまり今のクラスナヤ・レーチカ都城址であろうと書いている(内藤みどり、1988、P.15)。
p.186
なお、森安孝夫によると、インダス流域の勃律(バロル)方面には紀元前後頃から仏教を奉じていたインド・イラン系の人びとがいたという(桑山、1992、P.111)。
p.188
アクベシム第1仏教寺院の発掘者キズラソフは、アクベシム第1寺院の建築職人が中央アジア中央部（ソグドとチャチ)と東トルキスタンの両方の建築技術を身につけた人」であったと考えている(キズラソフ、1959、P.195)。…第1仏教寺院の壁画と彫刻も、キズラソフも指摘しているように、シクシン寺院のものと酷似している。
…
…すなわち、チュー河谷で仏教寺院の建築にあたったソグド職人には東トルキスタンの出身者も混じってなかろうか。とすると、建築上のソグド的要素をもって、ただちに中央アジアと結びつけることはできないと考えられる。しかもソグド本土では仏教寺院は今のところ発見されていない。するとトハリスタンからソグドを経由せずにチュー河谷に伝来した可能性も全く否定するわけには行かない。
p.189
建築技術者はソグド本土または新疆のソグド人であったが、内部の彫刻や壁画などの職人は東トルキスタン出身の中国人、ウイグル人、あるいはソグド人の仏教徒であったと考えられる。内陣のまわりに三方から回廊をめぐらす設計思想は中央アジア起源ではないと考えられる。
■えりすぐりの「毘沙門天」集結 奈良国立博物館で特別展
(朝日新聞デジタル - 02月03日 20:40)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5959982
全国えりすぐりの毘沙門天（びしゃもんてん）像を集めた特別展「毘沙門天―北方鎮護（ほっぽうちんご）のカミ―」（奈良国立博物館、朝日新聞社など主催）が4日、奈良市の奈良国立博物館で開幕する。3日、報道陣向けの内覧会があった。
特別展では国宝2件、重要文化財18件を含む37件が紹介される。毘沙門天は仏教世界や仏法を守る四天王のうち北方の守護神とされる「多聞天（たもんてん）」の別名。日本では仏教世界の守護神にとどまらず、修行者を守り、福を与える存在とも信じられてきた。
注目は半世紀ぶりの展覧会での出陳となる京都・鞍馬寺の国宝像。左手を額にあてる希少な作品で、鞍馬寺の南に広がる平安京を見晴るかすポーズとされる。米ロサンゼルス・カウンティ美術館保管の2メートルを超す巨像は、島根の古寺から流出したもので、華麗な装飾やずっしりとした体格が印象的だ。このほか2体が背中合わせに表現された奈良・東大寺の勝敵（しょうじゃく）毘沙門天立像など個性豊かな顔ぶれがそろう。博物館の岩田茂樹・上席研究員は「奈良時代から鎌倉時代までの各時代を代表する優品が集まった。像の多様性を実感していただけたら」と話す。
3月22日まで。月曜休館（振り替え休日の2月24日は開館し、25日休館）。観覧料は大人1500円、高校・大学生1千円、小・中学生500円。問い合わせは奈良国立博物館ハローダイヤル（050・5542・8600）。（根本晃）
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