今年の旅の集大成　…　yucatさん＠横浜12/15（PARALLEL LIVE 16）

以前にも、どこかの稿で書いたかもしれませんが、筆者の勤務先が入居しているオフィスビルのBGMが、ことしも12月の声を聴くと同時にクリスマスソングオンリーになっています。クリスマス自体は、”12月25日”だけなはずですが、ここではBGMが”毎日クリスマス”をやっています…。

さて、BGMくらいですとささやかなものですが（まぁ、あくまでもオフィスビルのクリスマス…ですから）、このようにずばり「毎日がクリスマス」というお名前のシリーズイベントになりますと、それが行われる場所も、中の雰囲気も段違いにクリスマスっぽくなります。




ということで、先月に続いてのyucatさん。前回は「新譜リリース記念ツアー」としてのステージでしたが、今回はPARALLEL LIVEシリーズ。yucatさんとして、もう9年目。シリーズも16回目であります。

先月の”レコ発”とは違って、yucatさんライブでは最も基本的なスタイルである、ストーリー仕立てのステージ。半分演劇っぽいところもありますね。お題もそのようになっていますが、今回は時期的にもずばりクリスマスがテーマ。まだクリスマス当日までは若干の日があるこの時点では、開演前はお祭りムードであり、年末のあわただしい時期とはいえ、8割がたの客席が埋まって活気のある状態になっています。

さて本来のキリスト教圏では、クリスマス当日といえば荘厳な空気感が漂う日。したがって、客電が落とされて劇が始まると、yucatさんと妖精たち（ダンサーさんが2名います）は、ほのかにライトを捧げ持ち、しずしずと客席側から入場してきます。

もっとも、”毎日がクリスマス”であるこのイベント。まずは楽しもうとばかりに、ステージに到着すると、カラフルな光景が展開します。荘厳ではあるけれど、イルミネーションに代表されるような華やかな時期を象徴するかのようです。

一方、クリスマスを唄いながら楽しんでいるyucatさんに、敵役であるMr.PerfectPain（ミスター・パーフェクト・ペイン）の影が忍び寄ってきます。痛みを支配するというダークな存在。一応”男性の衣装”ではありますが、人類が普遍的に逃れられないものであるだけに、ふるまいは幾分ユニセクシャルなところがあります。そして、わきを固める死神2体。こちらはそれぞれに黒子がついて、死神の人形を操演していきます。”死神”だけあって、なよっとした風体で表現されています。

忍び寄ったMr.PerfectPainは、yucatさんに近づき、暗くつらい世界へと連れて行こうとします。
現実世界と同様、痛いと確かに気が滅入る…そう、暗い部分を一手に引き受けるこの敵役。無理やり連れていくことはしないジェントルマンではありますが、それでも誘いは執拗です。

一方、唄の世界観は常々ダークな部分を表現されているとするyucatさん。まさにダークな世界を体現するこの敵役も、yucatさんの曲をステージ上でカバーしていきます。もしも途中で入場して、最初にその場面を見せられると、男女の恋物語のようにも見えてしまう…。そんな雰囲気があります。敵役＝100％敵なのではなく、誰にでもある普遍的な一面としてとらえるからこそ、このように融合したものができるのでしょう。

やがて、ダークなところを克服したyucatさんは、再び彩鮮やかなクリスマスの街へと帰ってきます。もう、あとは楽しむだけという感じで、ステージはクロージングしていきます。


ワンマンライブを5回執り行った、ことしのyucatさん。当日記ではこのうち岡山城編を除く4回乗り込んでおりますが、プラネタリウムにお城に恐竜レストラン…と、次々と居場所を開拓し、どこまでも続く旅路にいる…といえそうですね。
その、ことしのワンマンの集大成ともいえるこの日の横浜赤レンガ倉庫でのクリスマスパーティー。

最近のアンコールではおなじみのFairly Storyの前に、役者さんやバンドメンバーの紹介とともに、このイベントの経緯が語られていきます。もう、前身のRYTHEM時代よりもyucatとしてのお姿のほうが長くなっていますが、9年前のおそらくはこちらのイベントと主宰が同じ…。地元のFM局と、元キマグレンの井関さんのオファーがあったそうで、こういったところからも昔から変わらない上質さが感じられますね。

（2010年12月24日＠横浜ランドマークホール）
https://open.mixi.jp/user/1875020/diary/1646627461


本来のクリスマスとは、いろんな縁あるひとびとの幸せを願うものだったのだとすれば、まさにそのコンセプトにぴったりと一致しますね。9年たっても、またさらに何年たっても…、こんな雰囲気を大切にしたいものであります。

まだまだ旅が続くyucatさん。来年はどんな景色を見せてくれるでしょうか。

ありがとうございましたぁ。