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2019年12月06日23:53

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オールドスクール以前に古臭い 『ジェミニマン』

オールドスクールといえばそうだが、本作の印象は最新のテクノロジーに反し古臭い。

アメリカ政府の依頼で暗殺を行う凄腕のヘンリー(ウィル・スミス)。
あるときヘンリーは、虚偽の情報をつかまされ、罪の無い標的を射殺する。
以来、政府は彼を狙う。

逃亡しながら黒幕を探し出すヘンリーに相手は極秘特殊部隊「ジェミニ」
の尖兵を差し向ける。その尖兵とはヘンリーのクローンであった。

現在のウィル・スミスとCGで再現した過去のウィル・スミスが対決する。

ユニークなしかけだが「CGで完全再現した俳優」に自分はびっくりできなかった。
たとえば最近のAAAゲームでは、
実際の俳優をモデルにフォトリアルで実写と遜色ない映像を作り出す。*1

現在のウィル・スミスと若い頃のウィル・スミスの競演は、
この技術の高度な延長線上にあたるが、
コンピューターゲームを日々プレイする自分にとっては新味がなかったのだ。

もっともこの技術は映画館の上映形態で精度が変る。*2
そこはふまえるべきだろう。

ともあれ物語の筋書、演出、撮影など全体の印象が古臭い。
殺陣の長回しと工夫はあるがベタな撮影で編集も冗長。
ヘンリーの早さも強さも感覚しずらい。*3

登場人物の掘り下げも浅い。
ヘンリーとヘンリークローン「ジュニア」はなんのひねりもなく、
共闘する路線ですすむ。最後の黒幕の行動もよくわからない。

その理由は本作のあらゆる側面で“過程”の描写が不足しているからかもしれない。*4


※1 たとえば『ゴーストリコン ブレイクポイント』では、 ジョン・バーンサルが敵側のボスとなって出演している。『デスストランディング』はノーマン・リーダスが主役でマッツ・ミケルセンも登場。今後発売の『cyberpunk 2077』にはキアヌ・リーブスが登場する。演者は実写と遜色ないレベルのモデルで構築され、物語で重要な役割を担う。これらはすべてがCG映像だ。大抵、俳優は体を動かす演技を実際にはしててない。

※2 真価はIMAXやIMAXレーザーで発揮されるものだ。

※3 ようするにアクションの撮影がアン・リーは得意ではないのだろう。あと最後の舞台って絶対『ランボー』意識してるよなあ。

※4 いきなりヘンリーに協力するジュニアが代表だが、とにかく「物語と物語の接続」や「登場人物がどうしてそういう行動へといたったのか?」行動や心理の積み上げが不足している。そのため突然の行動に「?」となるし、物語が飛び飛びになるし、観客は「とばした?」と不安になってしまう。
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