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2019年11月29日04:45

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朝ドラ「スカーレット」感想

今週の録画分をまとめて見ました。
いやあ、戸田恵梨香の“壁ドン” 良かったよ!
壁ドンは壁ドンでも、完全にLOVE感ゼロのヒロインからの怒りの壁ドンだから!
ひねるなあwww
「ウチはよそとはひと味違うモノを見せますよ!」っていうBK制作の“意地と誇り”の演出でした。
どうやら世間はあまり気付いてないんだけど「スカーレット」めちゃくちゃ面白いんだよ。正直“朝ドラ”でここまでレベルの高いドラマが見れるとは思ってなかったわ。


「スカーレット」は制作統括、脚本、演出が女性チームで気を使う偉いひとがいないんですね。
だからこれまでの朝ドラの定番ヒロインとは違う新しいヒロイン像、女性から見てカッコいい女性像を自由に目指していると思う。
主人公・喜美子だけじゃなく、喜美子のそばの女性との関係性(友情)の描かれ方も目新しくカッコいい。

あとたぶんAK制作の話題作だった「なつぞら」への対抗意識もある(まあ知らんけど)んだと思うけど、非情に挑戦的なドラマ作りをやっている。
もうわかりやすく受ける“数字の取れる”タイプの演出は意地でもやらないかんじだね。
言ってることと内面の気持ちが違うシーン、異なる感情が同時に湧き上がるシーンとかを説明抜きで見せる。
「ほらみんな、ついてきてる?」ってかんじ。とても映画的なんだよね。
「ああソコはそうくるんだ、ソコはそれやらないんだ、カッコいいなぁ…」とか思いながら見てる。

ストーリーも最近の朝ドラではほとんどやらなかったレベルのヘビーな展開。
これって悪意のあるひとがひとりも出てこない(愛すべきダメなひとは結構出てくる)んだけど、時代の価値観や取り巻く状況やタイミング、ときには他人の善意が主人公の壁になって立ち塞がるタイプの儘ならない物語だから意外としんどい話なんですね。
喜美子の夢が挫かれるのは今回でもう何度目かだけど、毎回完全に道を絶たれるからな!
しかも先にフカ先生のアレを聞いちゃったらもう文句も泣き言も言えないじゃん!
それでも台詞は「…カッコええなぁ〜」だからな。
喜美子、どうすんねん!

たぶんこれってジリジリしながら見てる人も多いと思うんだけど、ドラマはそんな視聴者の気持ちにカタルシスをぜんぜん与えないまま、喜美子自身の意志が展開を切り開いてくつくりになっててだな
深いわ、このドラマ(泣いちゃう)


そんなヘビーな物語なんだけど、若者たちのシーンがすごく瑞々しくてドラマ全体のトーンはむしろ軽やかなのがすごくいい。
若者たちの会話シーンは本当に素敵ですね。
オーソドックスが基調の朝ドラではあまり見かけない、でも奇をてらうわけではなく自然でリアルな若者のダイアローグになっている。
この感じって「半分、青い。」には少しあった(あのドラマの数少ない美点だね)
でも「スカーレット」はあまりベタベタさせず清々しいぶんもっともっと生き生きしてる。

「スカーレット」の若者たちの会話はあちこちで脱線し、冗談を挟み、互いにいじりあい、延々とツッコミ合い、ふざけて笑う。(「鼻に新聞紙詰めたったわ」「鼻血かぁ」「いや出てへんwww」のくだりはホンマ爆笑したわ)
話がなかなか先に進まないもどかしい感じを含ませつつも、関西特有の速いテンポでトントントンとやりとりが進む。
小気味いいんですね。
時代考証的にはどうかわかんないけど若者の会話としてとてもリアルだし見ていて楽しいダイアローグです。

こういう感じの会話演出って難しいんですよね。
なぜかっていうと、脚本にはやりとりのニュアンスまではなかなか書けないんですよ。
台本って基本的に台詞のト書きしか書かないから、演出のトーンまで指定はできないから。
かといって現場演出だけでもできない。
台本に書いてない台詞をそう勝手に変えるわけにはいかないからね。
ということは「スカーレット」は、脚本家と現場スタッフがしっかり打ち合わせをして狙う方向を共有してる。充分な意思疎通ができてる。
距離感が近いんですね。
おそらく直接のやりとりをして現場で台詞を練ったりしてんじゃないかな?
フットワークの軽さを感じます。
こういうことができるのも「スカーレット」の女性制作チームの一体感あってこそだと思う。座組の妙ですね。


「スカーレット」は他にも随所にこういう女性特有のエネルギーを感じさせるところがありますね。
ドラマのテーマ的にはこれ、「現代を生きるひとたち(特に女性)に向けた生き方の提案」だと思うんですが、最近ちょっと見逃され気味の“生きかたの処方箋”を主人公・喜美子のキャラクター性を通じて示してくれます。

このドラマって「やりたいことを仕事にする」こと… 逆境を「涙に負けるもんか」って情熱に繋げて「炎は再び舞い上がる」物語なんだけど、
喜美子の場合、「なつぞら」の“なっちゃん”みたいまわりが便宜を図ってくれるわけでもなく、かといって“おしん”みたいに滅私奉公でひたすら耐え忍ぶわけでもない。
じゃあどうするかっていうと、喜美子は
「ハァ、しゃあないな… でもウチはやっぱり諦めへんよ〜」
って楽天に切り替えてくんですね。
そうやって、たとえひとつの道を絶たれても、そこから気持ちを切り替えること。
「わたしがやりたいことってつまりなんだろう?」って別のやりかたを考えることで模索していく。
 「夢を見る」「夢を諦めない」ってこういうことなんだよ
っていうのを描き出そうとしているんだと思う。

そういう非常に野心的なドラマなんだと思ってみています。
本気のメッセージがこもっている(泣いちゃう)



『スカーレット』戸田恵梨香の強烈な“壁ドン”にネット騒然「惚れてしまう」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=100&from=diary&id=5880324
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