先ほどNHKの追悼番組を観た。
何であんなに素晴らしい歌声の女性が、世界に出なかったのだろう…と長年思っていたのだが、やっと疑問が解けた。
森島英子
メトロポリタン歌劇場の主演オファーを自身の妊娠のために断り、その結果、支援者が去っていったとの話があった。
なるほど…才能を持って生まれ、チャンスに恵まれたなら、芸術に全てを注ぐのが当然という向きには、自らの妊娠でチャンスを棒に振るなんて…という人も多かったのかもしれない。
でも、せっかく出来た子供を産まないという選択肢は彼女には一切無かったのだろう…
世界に大きく羽ばたくチャンスこそ逃したのかもしれないが、その後の彼女の活動は素晴らしかった。
バングラディッシュのストリート・チルドレン、旧ソ連のチェルノブイリ原発の犠牲になった子供たちへの慰問。
歌で子供たちを癒す…しかも外国の子供に…出来るのかな?と思ったら、子供達には通じていた。
彼女の歌を喜びの目をキラキラさせながら、聴く子供たち。
「蛙の歌」を教わり、大合唱する。
彼女の子守歌に涙を流しながら、女史に寄り添い眠る。
首に甲状腺手術と思しき、傷跡を残しながら、彼女の歌に涙する旧ソ連の施設の子供たち。
日本語でも通じるんだ…歌は…
人生で歌える時間は短い。
ならば、天(神)に声を返すまでの期間に何が出来るか…
最後に彼女が遺したのが、原子爆弾による被害者を出さないため、その記憶を薄れさせないよう歌にした。
今年9月29日、彼女は声と共に自らも天に帰った。
享年61歳…未だ若い、というか後進を指導すれば、彼女の想いを継ぐ歌手がもっともっと増えただろうに…
謹んでご冥福をお祈り致します。
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