ベーレンライタ―版（デルマー監修）は嫌いだ
ベートーヴェン時代のピッチやテンポを調べ取り入れたと言われ、昨今の演奏の大半は1980年代後半からの演奏は何かしらこの版の影響を受けていると言われる。
ただ、何種類か聴けば聴くほど違和感を禁じ得ない。
唯一素晴らしいと評価出来るのは、オスモ・ヴァンスカ指揮のミネソタ管弦楽団による演奏だ。2番と7番は絶品だ。
これを聴いた最初の印象はジョージ・セルが指揮していた時代のクリーブランドに匹敵するか超えているかもしれないと思った。
ド田舎の三流オーケストラじゃない。米国内でも超一流の実力を有するオケだろうと本気で思った。
ところがである。9番は最悪なのだ。
その理由はテンポ設定。異常なスピードなのだ。1〜3楽章は未だ良い。
4楽章はあり得ない速度だ。
首都高速を150�劼任屬暖瑤个靴討い覺兇犬噺世辰燭蚓匹い世蹐Δ�。
当時のオーケストラの楽器と演奏家があの速度で演奏出来たとは思えないし、歌手の息継ぎにも無理があり過ぎて聴くに堪えなかった。
ラトル/VPOは代表的なベーレンラーター版の演奏らしいが、ちょい聴きしてすぐ聴くのを止めた。
どうもベートーヴェンの交響曲を聴いた満足感が得られない。
私の好きな演奏は、全集ならばジョージ・セル指揮クリーブランド、オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア、フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、そしてアンドレ・クリュイタンス指揮ベルリン・フィルくらいか。
ただ、クレンペラーの全集演奏は総じて遅く間延びしている部分もあるがモノラルの3番、7番はすこぶる名演だ。
そして7番単体なら、ヘルムート・ブロムシュテット指揮ドレスデン歌劇場がある。
ベルリン・フィルの機能性、ウィーン・フィルの雅ではなく、重厚かつ揺るぎない機動力とでも呼ぶべきか、オーケストラの最高の見本みたいな存在を感じる。
ただ、9番は今一なのだ。全集盤もゼンパーオーパーの再建復興記念演奏会ライブも聴いたがダメ。
特に後者は記念すべき再建復興のこけら落としだったらしいが、興奮して暴走している感が強い。誰か呪文でバーサクでもかけたのかと思った。
因みにブロムシュテット。キリスト教プロテスタントの中でもマイナー（でも全世界に2000万人以上いるらしい）なセブンスデー・アドベンチスト信者。菜食主義と飲酒喫煙、刺激物摂取の禁止等々。第二次大戦の沖縄ハクソー・リッジで活躍したデズモンド・トーマス・ドスが敬虔な信者として有名。
しかし、このブロムシュテット、1975〜85年まで…つまり未だバリバリの共産主義国家であった東ドイツ国内でどのように教義を守ったのか…謎だ。
ログインしてコメントを確認・投稿する