mixiユーザー(id:7886422)

2019年06月30日13:34

111 view

マルセイユで見た絵と17年ぶりに対面した話

私、欧州など旅先で見た絵画が企画展のために来日し、それらと美術館で再会したりすると、時空を超えて旧い知り合いに会ったかのような喜びを感じることがあります。みなさんは、そのような経験ありませんか?

先週、上京した時、なんとか時間を捻出して目黒の東京都庭園美術館の『キスリング展』に行ったのは、『ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル) 』(1933年)という作品をみるためでした。数ヶ月前、他の展覧会場で見かけたチラシにこの絵画の写真があり、その時、「どこかで見たことがある!」と感じたのですが、すぐには思い出せませんでした。説明書きをみて、南仏マルセイユのカンティーニ美術館蔵とあったので、おそらく2002年秋にマルセイユを訪れた時、駆け足で美術館を見て回った時でしょうね。
私の記憶にあったのは、ベル=ガズー嬢が着ているタータン・チェックのドレスが、新宿の伊勢丹デパートの手提げぶくろのデザインと似ていて、大きい絵ということだけでした。(下の画像は、庭園美術館のショップで買った絵葉書です。ちなみにキスリングの個展が開かれるのは12年ぶりだそうです。)

フォト


17年前、現地でよく見られなかった作品を、しみじみと見てきました。キスリングらしいクールな目元、しかし彼女は無表情。やや憂いがあるかなw。キュビズムからの影響を思わせるフォルム、ユリを持ったベル=ガズー嬢は少し首を傾けています。背景にはアンリ・ルソーが描くような南国系の植物。格子状のタータン・チェックの模様は、背景の植物の曲線に対して際立って、色彩が響き合っているように見えます。タテ160センチと表示があったので、もしかしたら彼女と等身大ぐらいなのかもしれませんね。ちなみに彼女が20歳の姿。

キスリングの絵画の特徴のひとつは、絵を見ている人(=画家)と、モデルの視線が合わないことだと言われています。ベル=ガズー嬢もやや斜め下を見ています。どことなく私たちと距離感を感じさせるところがあります。せっかく久しぶりに会ったのにw。

壁にはこの作品の解説がありました。モデルのベル=ガズーはフランスでは有名な作家シドニー=ガブリエル・コレットの娘。「シェリ」や「青い麦」が代表作らしい。(読んだことはないが書名はきいたことがある。)この母親は非常に恋愛遍歴で有名な女性だったそうです。ちなみにベル=ガズーが純潔を示す百合を持っているのは皮肉が込められているのでしょうか。その後、批評や映像制作で活躍したそうです。

2002年にマルセイユへ行ったのは、建築家ル・コルビュジエが設計したユニテ・ダビタシオンという集合住宅を見ること、スタッド・ヴェロドロームという巨大サッカースタジアムで試合を見ること、名物のブイヤベースを食べること、キレイな地中海をみることでした。マルセイユでこのキスリングの絵をみたことは、あまり印象に残ったことではありませんでしたが、この絵と再会した時、「マルセイユでは、私をスルーしてあなたは何様のつもり!」と叱られたような気がしました。ごめんさいw。

(下の画像は私が初めて買ったカシオのデジカメで撮ったもの。当時は28ミリの超広角レンズ付きのものはなかったんですよね。カシオはデジカメの先駆者だったのに、スマホに負けてデジカメの生産を止めてしまいました。)

フォト


フォト


フォト

7 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年06月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

最近の日記