mixiユーザー(id:9783394)

2019年05月03日05:46

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燃えやすいのはどっち?(0165 ガソリン)

いきなり問題です。ガソリンってレギュラーとハイオクがありますけど、燃えやすいのはどちらでしょう?
答は続きを読んでいただければわかりますよ。 

そもそも「ハイオク」って何でしょう?廃屋ではなく(笑)、レギュラーに対して高い(ハイな)オクタン価のガソリンのことです。
高いオクタン価?どういうことでしょう?
タンクから供給されたガソリンは、キャブレターで空気と混ぜられて混合気となり燃焼室に送り込まれます。そしてピストンが上昇して圧縮されると温度が上がります(断熱圧縮)。酸素も含んでいますから、発火温度に達すると自然に燃えだします。スパークプラグで火をつけなくても燃えるのです。これは「自己着火」という現象ですが、一般的には「ノッキング」と言います。エンジン故障の原因になる悪者です。エンジンがシャックリしなくてもキンキンという音を発したら、それはノッキングです。
ハイオクはこのノッキングが起こりにくい、つまり燃えにくいんです。オクタン価が高いほど。要するにレギュラーの方が燃えやすいんです。これが答です。

何となく逆のように思えますが、ハイオクって燃えにくい(自己着火しにくい)んですよ。エンジンに悪いノッキングを起こしにくいように作られているのです。だから圧縮比が高い(断熱圧縮で温度が上がりやすい=自己着火しやすい=ノッキングしやすい)エンジンにはハイオクを。ハイオクガソリン仕様の高圧縮エンジンにレギュラーを入れるとノッキングを起こしますから。不快この上ないですし、エンジンが壊れますよ。ノックする時に放出されるエネルギーは凄まじく、エンジンブロックやシリンダーヘッドが割れることがあります(脅しではありません)。

では反対に、隣のオバチャンが乗っているレギュラーガソリン仕様のフツーのクルマにハイオクを入れたらどうなるのでしょう?
結果は…何も起こらないです。もともとレギュラーでもノッキングしにくいように設定されているコンピューター制御の燃料噴射ですから、ハイオクなら平和そのものです。が、全くパワーも上がりません。
何だか性能が向上するような気がしますけど、それは単なるプラシーボ(本稿0107参照)です。レギュラー・ガソリンもハイオク・ガソリンも熱量は同じ(約8000キロカロリー/L)ですから出力も同じです。燃えやすい/燃えにくいは単に燃焼速度の違いです。
同様に、圧縮比が低いクラシックカーにハイオクを入れることもまったく無意味です。ハイオクの方が高価ですからお金がムダなだけです。
燃えにくいので、むしろ性能が悪くなるかも(始動性が悪くなったことがあります)。

ところで、サーキット内のガソリンスタンドではメチャクチャ高価なガソリンが売られています。スゴくオクタン価が高くてそんじょそこらのハイオクとは比べ物になりません。圧縮比が非現実的に高いレーシングカーのエンジン用です。公道用のクルマに入れる意味は全くありません。
ひとつ知っておかなければならないことは、このサーキット内で売っている高価なガソリンは、よく「アブガス(AVGAS=Aviation Gasoline, 航空機用燃料)」と言われますけどそうではありません。レーシングカー用にオクタン価向上剤を配合した無鉛の超ハイオクガソリンです。
ホンモノのアブガスは有鉛て一般には手に入りません。自動車用に有鉛ガソリンを販売することは法律で禁止されていますから。鉛をガソリンに混入すると簡単にオクタン価を上げることができますけど、有毒ですから大量消費される自動車用は鉛NGなんです。違反すると厳しく罰せられます。

燃えにくい燃料といえばケロシン(灯油)です。
ジェット機の燃料として使われていますけど、フツーのガソリンと違って簡単には火がつきません(一旦火がつくと熱で気化して多少は燃えやすくなりますけど)。オクタン価はメチャクチャ高いでしょうね。どれぐらいなんでしょ?
某映画で雪の滑走路にこぼれたジェット燃料が一瞬で燃え上がるシーンがありますが、あれはウソです。映画をオモシロクするための演出でしょう。
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