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2019年04月20日18:38

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(特許事務所)無資格者による検査と無資格者による明細書作成(その3)

特許事務所では、弁理士資格を持たない人を「特許技術者」として雇い、明細書、補正書、意見書等を作成させていることがほぼ一般化している。ところが特許事務所に特許出願手続代理の依頼をしているクライアント(各企業の知財部など)は、明細書等の作成者がかならずしも弁理士資格を持たない人であっても、格別気にかけることもない。

ところがスズキ、日産自動車、SUBARUといった自動車メーカーでは、完成品の自動車の出荷前検査は、かならず有資格者が所定の手順で行うことを求められている。そして検査を担当した人が無資格者であったり、その検査手順が所定の手順を踏んでいなかったりすると、このように本格的に問題視される。この違いは何に起因するのだろうか。

過去にこの問題について考察してみたことがある。それは下記「関連項目」に記している。ところが、これまでの考察とは異なる新たな視点として、「自動車メーカーは自動車の完成品の検査の工程を外注していない」という点が関係していることに気が付いた。

つまりこういうことである。各自動車メーカーは、法令に従い完成品自動車の検査工程を、自社の工場内で自社の従業員にやらせているわけであるが、これが、例えば「自動車検査法人」のような外部機関に検査の工程を外注することが許されている仕組みになっていたとしよう。「自動車検査法人」の内部では、「自動車検査士」のような国家資格を持った人が検査を行う。そして検査の結果の「合格」の認証は、この「検査法人」に雇われている「自動車検査士」の名義の許で発行することが許されているとしよう。そうすると、この「検査法人」の内部で、検査工程は無資格の者に行わせ、「合格証」だけは、有資格の自動車検査士が発行したかのように見せかける偽装検査工程が横行する可能性があるということに気がついたのである。

なぜ私がこのポイントに気が付いたかというと、特許事務所において、弁理士資格を持たない人がクライアントのために明細書作成をしている場合、この無資格の明細書作成者は、いわば「ゴーストライター」と観念されるのである。書き上げた明細書には、「代理人 弁理士 ○○○○」と明記された願書が添付され、あたかもその代理人弁理士が明細書を作成したかのように見えてしまう。そして実際の明細書作成者の存在は、完全に影に隠れるのである。この意味で、この実際に明細書を作成した無資格の明細書ライターは、まさに「ゴーストライター」であるといえよう。

では、自動車の完成品検査工程において、特許事務所の「ゴーストライター」に対応した「ゴースト検査員」のようなものが存在しないのはなぜなのだろう、と考察してみたのである。その結果得られた結論は、自動車メーカーは検査工程を外部機関に外注していないからだと考えられるのである。


【関連項目】

(特許事務所)無資格者による検査と無資格者による明細書作成

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963351096&owner_id=3879221

(特許事務所)無資格者による検査と無資格者による明細書作成(その2)

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963353142&owner_id=3879221

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■スズキ202万台リコール=過去最多、経営に打撃−ブレーキなど検査不正で
(時事通信社 - 04月18日 14:31)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5586464

 スズキは18日、ブレーキなどの検査不正問題を受け、保安基準に適合しない恐れがあるとして、軽乗用車「スペーシア」など29車種計約202万1500台(2015年5月〜19年2月製造)をリコール(回収・無償修理)すると国土交通省に届け出た。1回の届け出台数としては国内で過去最多。大規模な検査不正により、スズキの信頼は失墜し、経営への打撃となった。

 同社は12日の記者会見で、今回のリコール費用を約800億円と説明した。国交省は19日に道路運送車両法に基づき、同社本社(浜松市)へ立ち入り検査に入る。同社の報告内容を確認し、今後、行政処分などを検討する。

 リコール対象車はスズキのスペーシアと「ワゴンR」「ハスラー」「アルト」など17車種、日産自動車やマツダ、三菱自動車からの受託生産が12車種に上った。

 スズキが公表した調査報告書によると、静岡県内の湖西、相良、磐田の3工場で、四輪車のブレーキ検査を行う際、駐車ブレーキを使って合格の数値を出したほか、内容を一部省略するなどしていた。速度計などの検査でも、手順通りに作業せず合格判定を下していた。

 問題が見つかり、本来は不合格となる車両を、上司の指示で合格として処理したり、チェックシートの記録を改ざんしたりした。検査員の証言などから不正は1981年6月ごろから行われ、今年1月ごろまで続いていた可能性があるという。

 これまで否定していた無資格者による検査も判明。さらに、無資格検査の隠蔽(いんぺい)工作も行われ、工場の課長クラスが関与していたとされる。

 スズキは「多大なご心配ご迷惑をおかけいたしましたこと、心よりおわび申し上げます」とコメントした。
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