今日は、このヴァイオリニストに会えただけでもここに来て良かった。
大阪 ザ・シンフォニーホール
センチュリー第233回定期演奏会
ミシェル・タバシュニク指揮 日本センチュリー交響楽団
(コンサートマスター 後藤龍伸)
ヴァイオリン独奏 アレクサンドラ・スム
ラロ:スペイン交響曲 作品21
モーツァルト:交響曲 第36番 ハ長調「リンツ」K.425
ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)
ぐすたふくん、かつてはアマチュア・ヴァイオリニストの端くれ、ヴァイオリンの音に関しては、それなりの嗜好だとか審美眼だとかは持ってます。そんなもんで、ヴァイオリンコンチェルトとなると、若干辛口になるんだけど・・・今日に関しては・・・
冒頭のtuttiの後で飛び込んでくる、「ラッラッミ〜、ラッラッラミーー!!」・・・瞬間思いましたね〜、あかん、やられた、と。
このアレクサンドラ・スムという女性ヴァイオリニスト、すっごい美人に加えて、赤いドレスが妖艶の極み、そして太く深く朗々と鳴り渡るその音色の艶っぽいこと!12型に増強されたセンチュリーがフルに鳴ってもなんのその、そんなもん突き破ってガンガンに聴こえてきます。
こういうヴァイオリン、大好きなんだよなあ・・久し振りに、恋をしたかのように胸が熱くときめくのがわかる。加えて、スペイン交響曲を生で聴くのが、ぐすたふくん、初めてなんですよねえ。やっぱりイイ曲だなあ。
特に1楽章の熱気が凄く、思わず楽章が終わったところで自然発生的に拍手が起こったほど。と思えば、勢いだけではなくって、4楽章の息の長い旋律で見せる深いヴィヴラートの陰影の深さも唸るほどの魅力。
と思えば、アンコールのテレマンでは一転、ノンヴィブラートで青空のように透き通る音を真っ直ぐに響かせる。曲紹介で見せた片言の日本語といい、なんともチャーミングです。
こんな人がまた出てきたんだ。すごいなあ。今日の入りは、今期の中では一番に近い入りだったように思ったが、あながちこのヴァイオリニスト目当ての人が多かったんじゃないかしら。
そんなもんで、後半のリンツと火の鳥が霞んでしまいました。この二つでは、リンツの方が、往年のペーター・マーク/フィルハーモニア・フンガリカを彷彿とさせるような、細かなニュアンスと表情に富んだ佳演。火の鳥は、たしかに二管12型として望みうる十二分なサウンドではあるものの、こんなものかな、という感じで聞いてました。そう思った理由のいくつかは、客演のホルン主席を始め、管に散発した「らしくない」事故のせいかもしれないけど。
今日の演奏は、もう一度聞けたら聞きたかったです。いつかまた2日公演に戻る日が来たらなあ。
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