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2018年12月24日13:53

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闇の奥

オススメ358。"なにか眼のあたり幻でも見ているように、彼は低声に叫んだ、ー二度叫んだ。といっても、それはもはや声のない気息にすぎなかったが。『“地獄だ!地獄だ!"』。著者の実体験をもとに西洋文化の暗い側面を描写し『地獄の黙示録』に翻案された事でも知られる本書は人間性を強く問いかけてくる。

個人的には、好きな作品【グレート・ギャッピー】や【1984年】ほか、特撮やアニメ作品など、様々な作品に影響を及ぼしたとの事で興味があったのですが、今回ようやく手にとりました。

最初の印象としては、読みはじめてすぐにすっと(それこそ、闇の奥に招かれる様に)作中に入り込まされる割に、しかしなかなかに読みにくい感覚。ただクルツという謎めいた人物を救出するまでの【悪夢のパノラマ】を見せられている様な幻想的な展開が続く本書は中盤から後に関してはグイグイと引き込まれました。

また、著者自身が船員としてコンゴ掠奪を体験し"コンゴ以前、僕は単なる動物に過ぎなかった"と大きな衝撃を受けた直後に書いたとの事ですが。当時の【非人間的に終始扱われる黒人】の描写、【白人の傲慢さを強く感じさせられる】帝国主義の様子に、著者の心境にも思いを馳せたり。

自然と文明の関係や、人間性の荒廃について考えたい誰かに、また没入感をもってアフリカの植民地政策を追体験したい誰かにオススメ。
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