mixiユーザー(id:66468869)

2018年12月23日15:39

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オススメ357。"『出ていくなんてできない』と、Kが言った。『ここにとどまるためにやって来た。だからここにいる』"20世紀を代表する作家の1人と評価される著者の死後に発刊された長編3作の内で【最も長い作品】である本書は、測量士として城を目指すKと、周囲の村人たちの【会話劇の様なカオス】が魅力的。

個人的には【未完の作品)と読む前から知っていたので、どのような結末になるのかと多少不安に思いながら読み始めたのですが。冒頭でKが村に到着してから、さっそく城へと測量士の仕事をもらいに行って話が展開するのかと思いきや、どことなく不穏、あるいは不快な村人たちとの【それぞれに長い】会話が延々と続くばかりで終わったのには驚かされました。(そういう意味で。最後も唐突感はないのですが。)

一方で、起承転結で大きな物語を【わかりやすく】共有させるのが著者の目的ではなくて、主人公自体がKと既に【記号化されている】様に、様々な登場人物たちそれぞれを【暗喩的な存在】として配置、話すがままに矛盾も放置して描き、後は【読者に解釈を委ねている】と考えると、Kも含めて登場人物の誰もが疑わしく、誰もが理想的な人物とは決して言えないことが【かえって余韻となって】印象に残りました。

夢の世界を覗く様な作品を探す誰かに。わかろうとせずにそれぞれに感じたい誰かにオススメ。
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