mixiユーザー(id:66468869)

2018年12月16日11:47

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昭和の犬

オススメ350。"獲得したものを数えるのではなく、彼らの厚情により、被らなくてすんだ不幸を数えれば、それは獲得したものとちがい目に見えないが、いっぱいいっぱいあるのではないか。近いと大きくて掴めないが、遠いとぎゅっと掴める"第150回直木賞受賞作の本書は、昭和の時代を追体験させてくれる。

個人的には、理由あって滋賀県ゆかりの作家の本を探す中で初めて手にとったのですが。事前に知っていた自伝的内容といった情報から受けるイメージと違って、昭和30年代から平成までをイクという女性の視点に重点を置いて【近くのことはクッキリと、遠くのことはボンヤリ】と意図的な淡白さで描いていて印象に残りました。

また著者自身が犬好きであると公言し、しかもタイトルが【昭和の犬】としているにも関わらず?一匹一匹の犬たちとの交流を感情的に描くのではなく、各時代の【通り過ぎていく道標】のような記号的存在として描いているのも新鮮に感じました。

平成があと少しで終わる今ですが、あらためて親世代の育った【昭和を追体験したい】誰かに、かっては明確に存在していた【都市と地方の明確な違い】をイメージしたい誰かにオススメ。(犬好きには。。?)
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