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2018年12月13日08:17

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プリズン・ブック・クラブ

オススメ347。"そういえば、いつだったか彼はこんなことも言っていた。会話といえば犯罪自慢ばかりの刑務所の世界から、読書会はいっときなりとも逃避させてくれる、と。"刑務所の読書会にボランティアとして参加したカナダ人女性の一年間の体験記であり、それぞれの再生物語でもある本書は本好きや読書会好きにはたまらない一冊。

個人的には読書会をテーマにした本としては【江戸の読書会】を以前に読んだことがあり、そちらではかってのご先祖さま達が身分を越えて【丁々発止に学び合う姿】に随分と感心したわけですが。外国の、しかも刑務所で【受刑者向けに行われている読書会】に関しては参加したことはなく、また想像もつかない事から、興味をもって本書を手にとりました。

まず驚かされるのは、自身も暴漢に襲われて精神的ダメージを負っているにも関わらず、性善説を信じてボランティアを引き受けた【著者の勇気溢れる姿勢】そして読書会における【受刑者たちの思慮深い発言の数々】だ。それぞれのギクシャクした最初の出会いから、本を語り合うことで次第に信頼関係を結んでいく姿には、同じく本好きの一人として強い好感を覚えました。

また同じく読書会も主宰する立場としては、本題ではないためか、詳細こそ具体的に描かれてはいないものの、刑務所で読書会を運営するにあたっての【課題図書の選定】や【読書会の当日進行】での配慮すべきことや、それを改善して【他所に拡げていくための工夫】も伝わってきて勉強になりました。(随所における海外のベストセラー紹介も楽しい)

本好きや読書会に参加したり、主宰されている方や、丁寧な再生物語が好きな方にオススメ。
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