８０歳以上は住めない？

　新聞の投稿欄で、難しい問題提起をやっていた。それは８０歳の女性が賃貸
物件を探したところ、大家との面会もなしに断られたのだとか。人権に関わる
ような問題だが、現実にはあちこちで起きている。これだけ空き家の増加が社
会問題になっても、家を借りられない層が存在するのだ。いかにも日本的と言
えるが、問題の根は深い。
　高齢者が入居を断られるのは、病気で苦しんでいるかもしれない、孤独死し
ているかもしれない、という懸念材料があるから。この投稿欄には宅建業者も
登場するのだが、「家主が住居を貸すのは営業のため。ご希望には沿いかねる
とお断りすることになる」と明言しているのだ。中には体験談として娘さんが
借家人となり、家賃を通帳から引き落とすことを条件に借りられた、という人
もいる。つまり、経済的な問題というわけ。
　ここまで問題が深刻だと、行政やＮＰＯの出番だろう。実際、東京都文京区
の福祉担当の職員は高齢者や障害者、ひとり親を対象にプロジェクトを開始。
不動産業界と連携し、区が入居者を見守ることで、家主の不安を取り除いてい
る。その結果、３２件が成約し、９２歳の人も入居したという。こういう取り
組みを全国で展開する必要がありそうだ。まさに行政に求められている事案で
あり、ゆるキャラやふるさと納税にうつつを抜かしていう場合ではない。