mixiユーザー(id:1506494)

2018年11月19日21:25

188 view

前進座公演「ちひろ」@大井町きゅりあん大ホール

というわけで、予告通り本日行って参りました
先週から都内で巡演し、明日・明後日がさいたま彩の国、そこから富山・青森など、再び東京に
戻り、その後松本・名古屋・越前と地方を回って、横浜の関内ホールが千秋楽のようです
なので、本日は演出家先生のお姿は見かけませんでした

しかし、最後の挨拶で「出演者がロビーでお見送りいたしますので、是非撮影してFacebook等に
アップしてください」とのことでしたので、遠慮なくそうさせていただきました
前進座をよろしくとのこと、あまり拝見することのなかった劇団ですから、インターネットでの
番宣をお手伝いすることになりますね(肖像権なんかより知名度アップでしょう)

先週のちひろ美術館訪問に続いて、ご夫君の松本善明氏とご子息の猛氏がそれぞれお書きに
なった文庫本2冊を事前に拝読いたしました
今回の舞台が、戦後すぐちひろの上京に始まって、善明氏との結婚に至るまでの4年間を扱っ
ておりますので、まずは夫から見た妻ちひろを読みました
時間的余裕があったので、昨夜から今朝にかけて息子から見た母親を

善明氏は先日も書きましたが、共産党員でありますから、画家である妻というよりは同志的
捉え方をしております(やはり共産党プロパガンダの印象が強い)
氏は東大法学部出身の弁護士で、文学・音楽・美術への関心は殆どないので仕方ないですね
一方ご子息の方は母親の血を引いたのか、二浪して藝大に進み、ご自身が画筆を揮うことは
ないようですが、絵本の関係のお仕事をされている
なので、「母ちひろのぬくもり」(講談社+α文庫)がお勧めです

本日の舞台は猛氏の原案・監修ということですが、前進座という劇団の性格上、共産党のことに
全く触れないということはなく、但し善明氏のお書きになっているほどの国家による弾圧という
色彩は強くなく、エピソードの範囲にとどまっております

あまりイデオロギーに捉われることなく、ヒューマニズムと善意の人間としてのちひろを見て
取ればいいのだと思います(あくまでもワタシの勝手な観点で、鵜山君はそうはしたくなかっ
たようですが)

脚色した朱海青さんは、これが戯曲処女作ということで、ちょっとエピソードてんこ盛りに
した感があります(20分の休憩込みで2時間50分の長丁場は井上ひさしを思わせます)
役者の演技も、全くの初舞台の方を含め、いかにも芝居芝居していて、ちょっと観ていて
疲れますが、ちひろにほのかな思いを寄せる野々山青年を演じた中嶋さんと、ちひろが
文部大臣賞を受賞するきっかけを作った紙芝居作家稲村を演じた黒河内さんが鵜山流の
デフォルメ演技で逆に存在感を示しました

原爆の図で知られた丸木俊に相当する丸山俊子(浜名さんが演じる)の人物像は、今まで
抱いていたイメージとは違った豪放さで、これは興味深かったです
丸木夫妻は共産党に異を唱えて除名されただけに、善明氏の著書では冷淡な扱いを
受けていますので、その線に沿うとこのような描き方はされなかったでしょう

BGMにはモーツァルトのピアノソナタ数曲と、ペルトの弦楽のためのフラトレス(だと思い
ます)が使われておりましたが、これの意味はなんでしょうね、鵜山君の選曲でしょうか
ちひろがピアノを弾き(作画に疲れた時弾いていた)、漠然とピアニストと結婚することを
考えていたけれど、現実との差がフラトレスの軋んだような曲想に表現されているのかな

今回の公演はこれで仕方がないとして、もうちょっと刈り込んで、ちひろの人物像が浮かび
上れば良かったかなと思いました
彼女の写真・自画像から、意志の強さが見て取れるのですが、それがあまり感じられない、
ちひろ美術館を訪ね、猛氏の著書を読む以上のものが得られなかったのが残念
☆2.8かな
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年11月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930