オススメ317。"人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ。"世界的なロングセラーとして知られる本書は、極限状態で人からは何が失われていくのか。深く考えさせてくれる。
個人的には、若者によるホロコーストをテーマにした起業を知り(
https://forbesjapan.com/articles/detail/23817 )ずいぶんと久しぶりに思い出して手にとったわけですが。収容所から解放されて1年後に両親や妻を失って独りになった著者が振り返って書いた体験記である本書は、その淡々とした描写がかえって読み手に読みやすくも凄みを感じさせて、最後まで引き込まれます。
また、一応でも文化に関わっている人間としては、収容所内で開かれていた音楽ライブや文化祭的な催しに食事を削っても(!)参加する人がいてた事実に関しては【人はパンのみで生きるのではない】何とも勇気づけられるエピソードだと思いました。
そして、邦題のタイトルをあえて【夜と霧】とした訳者のセンスも素晴らしいな。とあらためて。
アンネの日記ともまた違うホロコーストについて知りたい誰かに、また生死が理不尽に決定される極限状態における人間の心理や行動とは?など色々考えたい誰かにオススメ。
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