キャリア史上はじめて“続編”へ挑むデンゼル・ワシントンが、
ロバート・マッコールになって帰ってきた。
今度の相手は自身と同じイコライザー。
殺し屋 対 殺し屋。だが己を貫く美学が違う。
Lyft *1 のドライバーとなって生活するマッコールが今時だ。
様々な乗客が乗車して人々の人生の顔が覗く――。
そのマッコール表の顔は裏の顔も引き出す。
ホロコーストを生き延び、
妹の絵の権利裁判へと苦しむ老人の苦境へ解決に動く。
乱暴した女性を車に乗せた研修医の若者グループへ無慈悲な私刑を行う。 *2
そういう意味で本作は、ヴィジランテムービー *3 に相違ない。
法の外側の悪を裁き、法の外側の人を救う。
マッコールは必殺仕事人だが、
必殺仕事人は世の義憤を「これは金のため」と隠し悪を裁く。
マッコールは完全な私情で動く。
親友スーザンを殺害した相手に復讐を誓い、金で動くイコライザーと対決する。
「私腹のために人を殺す殺人者」と「善行に頼り哲学をもった殺人者」
マッコールはいわく「どちらも一緒」だと。*4
だが哲学と美学あるからこそマッコールはヒーローでいられる。
マッコールをヒーローたらしめる要素は彼の人生の生き方だ。
一緒のアパートに住み芸術の才能を持つ黒人青年マイルズ。
複雑な彼の人生にマッコールは介入し、救い、人生を教え、更生する。
一種、疑似親子のような関係がマッコールの善性をしめし、
同時に悪を裁く冷酷な裏の顔のギャップをきわだたせる。
※1
https://ja.wikipedia.org/wiki/Lyft。ウーバー(Uber)と同様の運転代行配車サービス(ライドシェア)。ウーバーのほうが各国の利用範囲は多くシェアは広い。だがリフトはウーバーを反面教師に現在猛追しており、数年後には勢力図が変化しているかもしれない。
※2 私刑のあとでマッコールは研修医たちにドライバー評価★5を要求する。そもそも、この一連の場面がリフトのプロモーションかもしれない。
※3 法で裁けぬ者へ自警や私刑を行うジャンル。そもそもヒーロー映画を根本から見れば、ほぼすべてがヴィジランテたちの活躍を描く。たとえば文中に登場する「必殺仕事人」もいってみればヴィジランテたちだ。
※4 そこがいいんだよな。
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