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2018年07月09日04:08

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やはり日本の気候が変わったのかも?

局所的豪雨が継続して振り続ける要因として「線状降水帯」っていう言葉が最近よく聞かれます。
その正体は列状に並んだ積乱雲なのですが、これはメソスケールの気象現象で、これまでは全国的なスケールの総観気象学がもっぱらだったのに対して、近年になって気象観測の細密度があがったことからそのメカニズムが明らかになってきたもの。

豪雨を降らせる積乱雲の発達は、まず暖かく湿った空気が山の斜面にぶつかったり寒冷前線に乗り上げたりして持ち上げられることから始まる。
大気の状態が不安定…つまり上空に冷たい空気があると、対流で強い上昇気流が発生し、急速な断熱膨張が積乱雲を発達させる。
このとき、上空に一定方向の風が吹いていると発生した積乱雲は風で流されていくが、湿った空気がさらに供給されれば、その後にまた新たな積乱雲が発生する。
これが繰り返されると、積乱雲が連続的に発生してまるでベルトコンベヤーのように直線状に送り出されることになる。
これが“バックビルディング(後方形成)”っていう現象。
結果として積乱雲の行列がその通過線上の地域に継続的に大量の雨を降らせ続ける。

記録としては線状降水帯は90年代から観測されていたようですが、こうした局所的な気象は観測データの蓄積が足りないため今はまだ精度の高い予測が難しい。
また積乱雲の発達は短時間で起こるため、警報が出てから避難するまでの時間の余裕が短いということもあって大きな被害につながりやすいと言えます。

複数条件が重なって発生する線状降水帯こそ件数は横ばいだということですが、「ゲリラ豪雨」とも呼ばれる局所的豪雨は近年明らかに増えています。
昔は「入道雲」といえば夏の風物詩というイメージがありましたが、昨今は夏に限らず積乱雲が集中豪雨を降らせる事が多いようです。
積乱雲発生の第一条件である、暖かく湿った空気が供給されやすい状況があるということでしょう。
これは地球温暖化の影響の可能性があります。
日本の気候が亜熱帯のそれに近づいているという感覚はたしかにありますね。
九州・四国で線状降水帯の発生が多いというのも符合する気がします。

しかしながらこうした現象は条件がそろえばどこでも発生する可能性はあるということ。
日本は山がちの地形であり、湿った空気が同じ地点で押し上がる条件はどこにでもあると言えます。
恒常的に湿った空気が供給されやすい状況があれば、線状降水帯成立の条件の二つが揃ってしまいます。
そしてそこには山の斜面にへばりつくように造成された宅地があります。
もともと土砂崩れのリスクをはらんだポイントが各地にあり、これまでは耐えていたものが継続的な豪雨によって想定外の被害をもたらすとしたら。
あるいは河川にしても、比較的流路が短い小規模な河川が数多く存在する日本では短期間の降雨で大量の増水が起こることはあまり想定されておらず、異例の継続的な集中豪雨が決壊のリスクを押し上げているとしたら。

もし日本の気候が不可逆的に変わってしまっているとすれば、これまでの災害対策では通用しない事態が頻繁に起こるのかもしれません。

石破氏が“防災省”の設立を言い出したのはかなり唐突な印象がありますが、こうした背景を踏まえてのこととすれば一理はあるのかも。
積乱雲のような降水セルは、単一での規模は10キロ圏程度、通常は数時間の降雨でエネルギーを使い果たしますが、局所的な現象なうえ急速に発達するため充分な予測は難しい。
一方でリスクのある地域に人々が住まざるを得ない日本の現状では、土砂災害や河川の氾濫に対して予防的対策を短期に行うのは極めて困難です。
だとすれば、当面は事後的な災害対応を速やかに行うしかありません。
現状が組織の縦割りの為に素早い対応ができないのであれば、それを統括して打開するための強い権限を持つ組織が必要ということはあるのかもしれません。

いずれにせよ、これまでの常識が通用しないステージに入ったのかも知れないって心構えは必要なんだと思います。


■西日本豪雨、増え続ける被害者 死者11府県81人に
(朝日新聞デジタル - 07月08日 20:34)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5191384
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