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2018年05月28日19:01

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壺を這い出した蛸

 普段は蛸壺でまどろんでいるような生活をおくる閑人が、この一週間は結構アチラコチラと動き回わり多忙な日々だった。

 20日、朝から興聖寺で坐った帰り道、茶どころ宇治のコーヒー・スタンドに立ち寄ったら、先ほど僧堂で見かけた人と出会った。「おや、ご同輩ですな」と立ち話。横で我々の雑談を聴いていた店の常連らしき若い女性が「坐禅って、「無」になるんですよね」と言った。「「無」? いや「無駄」に座っているというのが正解」と、二人して笑った。

 21日、終日陶芸工房で製作(?)。前週に成形しておいた四角い水盤に見事な亀裂を発見。しきりにボヤいている私奴は、技術指南いただける大先輩から「陶芸では、四角形は丸い形よりよほど難しい。乾燥・焼きのプロセスで変形したり、亀裂が入ったりしてね」と慰めていただいた。
隣りの人がメダカを飼うための大きな鉢を作っているので、「メダカを泳がす鉢とはいいなあ」と真似をしてみようと挑戦してみたが、コレマタ難しい。大きくすり鉢状に土を積んでゆくのが難問(すぐに形がだれてしまう)。諦めて方針変更。結局出来上がったのは縦方向に土を積み上げた縦長の花瓶(?)のごときもの。イヤハヤ、マッタク…。
 
 22日終日、久しぶりに旧交を温めようと高校生時代からの友と示し合せて兵庫県の加西フラワーセンタヘ。中央にある大きな池を囲んで花壇や温室が並ぶ園内をブラブラ散策。カフェテラスに座り込んだり、レストハウスでの昼食をはさんで、アレコレの雑談。最後に園内にある古代鏡博物館を覗いた後、また雑談。古代鏡のコレクションは圧巻。ノンビリとした良き日でした。

 24日、早朝散歩後、午前中は学校の図書館で半分は朝寝。午後一番の講義は「禅とは何か」。盛んに大量にインドから流入した仏教経典を前に、「畢竟、仏教とは?」の問いを問い続けた諸僧によって、則天武后から玄宗・楊貴妃の時代かけて、中国禅宗は一宗の態勢をとって登場するってな話。
午後二番目の講義は、数年来続く「倶舎論」講義の中で、初期仏教の律における破僧の定義にまつわるお話と、「律」におけるその破僧定義の変遷が大乗仏教への 仏教変移が…、というお話。
10分の休憩を挟んで、ふたコマ連続で講義を聴いていると、寄せる年並のお陰で頭はボンヤリ、眼はトロリ。帰路、二条寺町通りの珈琲屋で生気を取り戻した。

 26日、四条烏丸でワル友三人(元エンジニア2名と日本語達者なアメリカ人)と飲み食いしながらのバカ話会。
バカ話ばかりじゃあツマランから何か話題を提供しろと言うので、俳句についてのよしなしごとを披露。AIが作った俳句だの金子兜太さんのいう「俳句はアニミズム」説だのを並べ立て、最後にイスラム哲学の井筒俊彦さんによれば「芭蕉の不易流行」ってのはねなんて話で煙に巻いておいた。(ホント私奴も、
酒が入るとペラペラと良く舌がまわる!)

 27日、朝から陶芸仲間たちと親善日帰りバス旅行。灘の酒蔵を訪ね、三宮の南京町で中華料理を平らげ、神戸港一周のベイクルーズを楽しむ。南京町といいハーバーランドといい、若者がワンサカいて、日頃の私奴の周囲とは大違いなのには感心した。
帰路のバス車内でのビンゴゲームで、三十人弱の中で最後にビンゴにたどり着いた。「なあに、最初を引き当てるのもスゴイが、どん尻になるのも簡単ではないのよ」とうそぶいた。

 28日(今日)も、朝から疲労でダルイ体を引きずり、陶芸工房で過ごした。なんとも、閑人の忙しい一週間だった。大好きなモーロク俳人坪内稔典さんが選んだ「今日の一句」。
   蛸壺やはかなき夢を夏の月  芭蕉
 (明日には壺から引き出され人間の胃袋に入れられるであろう蛸を芭蕉さんは思いやっ
  ている。「はかない」といえば、残る明日も数少ない高齢の身で、蛸壺でジッとして
  いない蛸のような我が身ってのも「はかない」かも知れんなあ)
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