久々に「出番が少ないから降板します」と言われてガックリ来てる。
も一度奮起して降板取り消してくれとは思わない。自分が選んだことは通してもらっていい。
でも、ほぼ俳優経験なくてこれから活動していこうという人が今からもう端役やアンサンブルの価値は低いと考えているのなら、それは集団創作の否定でもあるし、本人にとっても「いきなり大抜擢」でもされない限り役を獲得できないことになるわけなので、誰にもいいことないですよね。
一例を挙げますと、ゴドーを待ちながらは大体1時間45分ほどの作品で、5人の登場人物のうち大半の台詞をウラジミールとエストラゴンが喋る。使者の少年の出番は2分もない。
でもゴドーやる時に少年の役を断る俳優がいるだろうか。夕鶴で権ずと惣どの出番が少ないと不満に思う俳優がいるだろうか。ロミオとジュリエットでワンカットしか出てこない毒薬売りの役が回ってきたらそれこそ大抜擢ではなかろうか。三人姉妹なら乳母のアンフィーサが、幸福な王子ならツバメの死骸を片付ける掃除夫が、ピーターパンならスターキーが、一本刀土俵入ならいわしの北が(以下略
…画竜点睛ということがありますがな。
芝居は細部の集合で、細部は大勢が分担してるものです。端役やアンサンブルは必要だから配置されるのです。端役やってるあなたが評価されないのだとしたらそれは端役だからではなくて、評価されないような端役として板に立つからでしょう。むしろ端役の方がやりがいあると考える俳優も普通にいるのですよ。
まぁね、遺憾ながらそう真っ当に考えないプロモーターや演出家もいるでしょうし、端役であることがリスクにしかならない企画も実在するのだろうとは思います。でもそれは改善されるべき点であって、そんなものかと受け入れたら俳優の存在は搾取されるものに固定されてしまいますね。
少なくとも僕らは彼が別の現場のため稽古を抜けていたひとつきの間、この役が画竜点睛になるためのキモを探り続けてきましたし、経験値の少ない彼にも取り組めるようなパッケージを工夫してきました。きのうやっと、これならイケるのじゃないかという線が出せたところです。
その努力と成果を知らないまま立ち去ることには一言申しておく方がいいかと思って、長々書きました。頑張ってください。
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