ながめわびぬ秋よりほかの宿もがな野にも山にも月やすむらん
式子内親王
百首歌たてまつりし時、月歌
新古今和歌集 巻第三 秋歌上 380
「もう月を見て物思いをすることに堪えられない。どこか秋でない住みかがないものか。しかし野にも山にも月は澄んで、遁れるすべはないのであろう。」『新日本古典文学大系 11』p.122
正治二年(1200)[後鳥羽]院初度百首。
本歌「いづこにか世をば厭はむ心こそ野にも山にもまどふべらなれ」(素性 古今 雑下)。
すむ 「澄む」「住む」を掛ける。「住む」と宿は縁語。
参考「いかにして物思ふ人のすみかには秋よりほかの里をもとめむ」(相模 新勅撰)。
「月前に志を言う」の歌。
式子内親王(しょくしないしんのう 「しきし」とも「のりこ」とも読まれる 1149-1201)後白河天皇皇女。賀茂斎院(1159-1169)。
千載集初出(入集九首、女性歌人で最多)。新古今四十九首。勅撰入集百五十七首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では斎宮女御と番えられている。
小倉百人一首 89 「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする」
http://bit.ly/10bUYTA
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