それながら昔にもあらぬ秋風にいとどながめをしづのをだまき
式子内親王
秋の歌とてよみ侍(はべり)ける
新古今和歌集 巻第三 秋歌上 368
「秋風は秋風であるが、昔とはまるで違った秋風を聞きながら、いよいよ繰返し昔をしのんで物思いをすることだ。」『新日本古典文学大系 11』p.119
式子内親王集「前小斎院御百首」、三句「月かげに」。
本歌「古(いにしへ)のしづのをだまき繰返し昔を今になすよしもがな」(伊勢物語三十二段)。
いとど 「糸」に掛けて「しづのをだまき」の縁語。
しづのをだまき 倭文(しづ 日本古代の織物)を織るのに用いた苧環。苧環を繰ると言うことから「繰り返し」の意を呼び込む。「しづ」と「「眺めをしつ」と掛詞。
「秋思」の歌。
式子内親王(しょくしないしんのう 「しきし」とも「のりこ」とも読まれる 1149-1201)後白河天皇皇女。賀茂斎院(1159-1169)。
千載集初出(入集九首、女性歌人で最多)。新古今四十九首。勅撰入集百五十七首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では斎宮女御と番えられている。
小倉百人一首 89 「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることのよわりもぞする」
http://bit.ly/10bUYTA
http://bit.ly/XugWzt
ログインしてコメントを確認・投稿する