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2018年03月26日10:18

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音楽家の卵の公開レッスン|茨城国際音楽アカデミーinかさま

3/21にはじまった「茨城国際音楽アカデミーinかさま」の初日に続き、3日あけて昨日3/25に4日目を聴いてきました。本当ならこの日は水戸芸術館でマレイ・ペライアのピアノリサイタルを聴くはずでしたが、彼の体調不良によって来日公演が中止になってしまい残念でした。(私、その払い戻し金を4/26のマリア・ジョアン・ピリスとリリット・グリゴリアンのデュオ・リサイタルに振り替えることにしましたw。)

そういうこともあって、3/25は笠間市の音楽アカデミーへ。頑張って早起きしました。私はこのアカデミーの醍醐味は有名講師のコンサートよりも、「音楽家の卵」の公開レッスンと考えています。その日は朝イチで行われる東京芸大学長でヴァイオニストの澤和樹氏の公開レッスン。出演するのは、服部百音、河井勇人、千葉水晶。この3人は国内外のコンクールですばらしい実績がある将来のスター候補生。特に服部さんは高校生ですが、コンサート出演やTVで見かけることも増えました。彼らは小中学生のころからこのアカデミーに参加しているので、ほぼ毎年、その成長を見てきています。サッカーでいうU20日本代表世代と言ったところでしょうか。

ひとり45分のレッスン。
最初にザハール・ブロンの秘蔵っ子・服部百音さんがイザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ第4番の第一楽章。非常に華やかな音色。澤氏の指摘は「かなりよく弾けている。しかしずっとハイテンションで弾いているので、聴き手に緊張をずっと強いるような感じがある。ぬくところがあると、余裕というか、メリハリが出てくるよ」と指摘。私も同じことを考えていました。サッカーでも緩急自在のテクニックが要求されるのと似てるw。その他、ヴァイオリンと弓の位置関係など細かい指導を受けていました。

次は、河井勇人くんがシューマンのヴァイオリンソナタ第2番。柔らかさと大物感がある。第一楽章を弾き終えて、澤氏とおもしろいやり取りがありました。
「この曲を作ったのは誰?」
「シューマンです。」
「では、この曲は誰に献呈されましたか?」
「……。たしか初演はヨアヒムとクララ」
「じゃなくて、誰に献呈されたか!」
「……。」
「答えはメン・コンを初演したフェルディナント・ダヴィット。冒頭のレラファレという音型がダヴィット(david)になっています。シューマンの音楽は言葉を音にのせて弾くことが重要。パガニーニやイザイのようなヴァイオリンの名人がつくった曲とは弾き方が違うことを理解して弾きなさい。」
と指導していました。私も勉強になりますw。
その後の河井くんの弾き方も変わったことが言うまでもありません。

※D(レ)、A(ラ)、V=F(ファ)、D(レ)
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3番目は千葉水晶くんはエルガーのヴァイオリンソナタ。彼の音の持ち味はクールな感じでしょうか。時々、ビックリするような冴えた表現や音が出てきました。私は彼が以前に弾いていたラロの「スペイン交響曲」を表情豊かに弾いていたのが印象的でしたが、今回はちょっとイメージがちがっていました。
私、前日、東京出張でちょっとお疲れ気味。ここで退室。

外はサクラが咲きはじめていました。今、聴いてきた3人の音楽家の卵の音色のイメージに、「雪月花」という言葉が降りてきました。華やかな服部さんが「花」、温かみのある明るい音色の河井くんが「月」、繊細でクールな千葉くんが「雪」。

午後からは川久保賜紀とザハール・ブロンのアフタヌーン・コンサート。それぞれ1時間ほどのプログラムを受講生たちや一般客と混じって聴いていました。川久保はブラームスのヴァイオリン・ソナタ3番の他、エルガーやクライスラーの小品など。ブロンはシュニトケ、チャイコフスキー、ストラヴィンスキーといったロシアの作曲家の作品。やはり中堅・ベテランの音楽家の演奏は、演目の聞かせ処をしっかりと押さえた堅実なもの。それが緩急であったり、音色のパレットの豊富さであったり…、何度も弾いている曲であっても、今、初めて出会ったかのような新鮮さであったり…。ブロンは決して美音じゃないのですが、ボウイングのプレゼンテーションを「卵」たちの前でしているかのようでしたね。
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