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2018年03月12日19:44

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オール・プロコフィエフのヴァイオリン・リサイタル

3/8木曜、ジャパンアーツさんから招待券をいただき、滝千春氏のヴァイオリン・リサイタルを聴いてきました。オール・プロコフィエフ(以下、プロコ)という滅多にない意欲的なプログラム。私、プロコのヴァイオリン作品、わりと好きです。ロシア的な憂愁の中にあって斬新なリズムとモダンで甘美な響きに惹かれるからです。

実は7~8年前、私は滝氏の演奏を聴いたことがあります。それは私の地元の茨城県で毎春に行われている「クールシュベール国際音楽アカデミーinかさま」(現名称:茨城国際音楽アカデミーinかさま)。演目は覚えていないのですが、硬質でシャープな音色という記憶。なんとなく彼女の演奏スタイルとプロコの音楽だったら、なんとなく相性が良さそうと予感しました。

■滝千春ヴァイオリン・リサイタル
■デビュー10周年記念 プロコフィエフ―作曲家の肖像
■2018年3月8日(木) 19:00~@紀尾井ホール
■出演:滝 千春(ヴァイオリン)・沼沢 淑音(ピアノ)
<オール・プロコフィエフ・プログラム>
バレエ音楽≪シンデレラ≫から"グラン・ワルツ"(編曲:M. フィフテンゴリッツ)
バレエ音楽≪ロミオとジュリエット≫ Op. 64(編曲:L. バイチ/ M. フレッツベルガー)
ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ヘ短調 Op. 80
【休 憩】
交響的物語≪ピーターと狼≫ Op. 67(編曲:根本雄伯)<世界初演版>
ヴァイオリン・ソナタ 第2番 ニ長調 Op. 94bis
【アンコール】
キュイ:《万華鏡》から“オリエンタル”
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

このプログラムをみて感じたのは、プロコの2曲のヴァイオリン・ソナタが映えるように全体が設計されていることです。冒頭のシンデレラのワルツはオープニング(A)、ロミ・ジュリがソナタの前奏(B)。そしてソナタ1番(C)。したがって前後半の構成は相似形になっています。内容を図式化すると
(A)→{(B)+(C)}→(休憩)→{(B’)+(C’) }
実演を聴いてみると、おそらく上記のようなことを意識していたと感じました。例えば、前半のロミジュリの終曲「ティボルトの死」の悲劇性は、それに続く不安な響きではじまるソナタ1番と流れがよかったです。(B)と(C)の流れは、ある意味で物語的とも言えるかもしれません。
彼女はプロコのソナタ2曲、相当に弾き込んでいるようです。他より圧倒的に完成度が高かった。私は2番より1番が良いと思いました。孤独感と絶望感、それと微かに見える希望の兆しが見えた。しかしながら、2曲ともプロコの特徴でもあるメタルタッチな音の粒とスケールの大きさを意識されていたようです。音色的には、前半は悲劇的なクールブルー、後半はロマンティックなローズピンクに音を染められていました。プロコの音楽を聴くと私はカンディンスキーの抽象画をイメージすることが多いのですが、この演奏からはピカソの新古典の時代の絵画のような健康的エロスを感じました。20代後半ぐらいと思われる滝氏らしいと言えるかなw。

アンコールに演奏されたのは「亡き王女のためのパヴァーヌ」。プロコはラヴェルを非常に尊敬していたという説明がありました。確かにパヴァーヌの長音を活かした息の長い旋律は、プロコのソナタ2番や協奏曲1番の冒頭部分に通じるものがありそうです。

終演は午後9時半。ヤバイ。予約していた高速バスに乗り遅れないように、雨の中、ダッシュでホールを発ちました。東京駅八重洲口についたのは発車10分前。冷や汗w。
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