山がつの垣ほにさけるあさがほはしののめならで逢ふよしもなし
貫之
題しらず
新古今和歌集 巻第三 秋歌上 344
「山家の垣根に咲いている朝顔ははかなくて、夜明けでなければ見ることもできないよ。」『新日本古典文学大系 11』p.113
古今六帖二・読人しらず、五句「見るよしもなし」。
山がつ 山賤。山里に住む人。
あさがほ はかない譬えの花の名に寝起きの顔の意を響かせる。
しののめ 夜明け。原義は篠の目で、篠竹で編んだ筵(上代の住居で窓の代りとした)の荒い目、隙間という。この原義の「目」と「顔」「逢ふ」は縁語。
「あな恋し今も見てしが山がつのかきほに咲ける大和撫子」(古今 恋四 読人しらず)と同類の歌で朝顔を女に見立てている。
「朝顔」の歌。
紀貫之(きのつらゆき 872-945)平安時代前期の歌人。古今集撰者、仮名序作者。
古今入集九十九首。三代集(古今・後撰・拾遺)最多入集歌人。勅撰入集四百七十五首。
隠岐での後鳥羽院による『時代不同歌合』では藤原顕輔と番えられている。
小倉百人一首 35 「人はいさ心も知らずふるさとは花ぞ昔の香ににほひける」
http://bit.ly/11nzSPR
http://bit.ly/11nzMrH
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