すすめられて見てみたがこれは力作。もちろん名作といっていい。
TVで毎年夏に再放送すべき作品
導入部分は日本人引揚者の特に女性が受けた性暴力について語られているが、性暴力については日本人も行った記録が残っているなど、多方面からの史実を伝えているのがいい。
例えばソビエト兵による性暴力については、あそこの国は前線に懲罰部隊と呼ばれる囚人兵を配置していたことも原因の1つだが、ソビエト兵がすべてそうだったわけではなく、国籍や人種の分け隔てなく民間人に治療したソビエト人医師もいたわけだし、この番組ではなく別のソースだが、ロシア語ができる少年に対し、フレンドリーに接してくれた懲罰部隊の囚人兵もいた。
日本軍も中国において暴行や強姦を繰り返している。軍は慰安所を作って強姦防止に努めようとしても、実際は慰安所の料金が兵隊にとっては高価なので、強姦したほうが安いということで性暴力がやまなかったらしい。この元日本兵のインタビューはなかなか興味深かった。
日本だけではなく、軍隊の周りには商売をする女性の集団がほぼ必ずいるのは、兵士による暴行を防ぐための措置でもあったりする。
性暴力以外にも言及されているが、基本、力を持つものは弱いものを虐げる。そして立場が変わったら今度はかつて虐げた対象に向っての暴力が向かう。戦争という異常な環境の中では強い方に属している方が正義であり、絶対なのだ。
満州の開拓団については国策がらみで見る人によっては「棄民」とも呼ばれている。安全も保障されないまま外国に入植してしまったが、満州に住んでいた人からみればこれも立派な侵略だったりする。
戦争における二面性をきちんとまとめあげている非常に優れたドキュメンタリーであった
ゲームの中の戦争と違って現実の戦争で苦しむのは結局のところ多くの民間人だったりする。だから戦争を安易に始めたらいけないし、参戦するのであれば規律が求められる、のだけど、死ぬか生きるかの瀬戸際になったらそんなものどうでもよくなってくるのだろう。
たぶんこの日記を書いている自分もいざとなったら卑劣な奴に成り下がるのだろう。絶対それは断言できる。
(その他)
以前日記にも書いたNHKによる「告白〜満蒙開拓団の女たち〜」で紹介された黒川開拓団の若い女性による接待も取り上げられている。
このおかげで黒川開拓団は助かったのだけど、これは絶対美談にしちゃいけない。
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